2016/11/23
最近ある週刊誌の記事に「口腔ケアが認知症を防ぐ」という特集が有りました。
記事の要点は、低栄養が認知症の大きなリスクファクターになっていることが、近年はっきりとわかっできているということです。
国をあげてメタボ対策には取り組んでいる裏側で、高齢者に低栄養の方が増えているのもまた事実です。
記事にもあるように、65歳以上だと6人に1人、85歳以上だと4人に1が低栄養に陥っているというデータが厚生労働省の国民健康・栄養調査からも出ています。
低栄養になると、鉄分、脂質、タンパク質の数値が減少します。
そしてこの3つの要素の一つでも減少すると認知症になるリスクが高まるということです。
低栄養になる原因はいくつか考えられますが、その一つが口腔機能の崩壊です。
例えば歯周病で歯を失ったまま入れ歯やブリッジ等で歯を入れないと、食べる物の種類や量も制限されます。
低栄養への入り口です。
また噛めないと食物を粉砕できないので飲み込みにくくなります。
そうすると嚥下障害に陥り、誤嚥性肺炎にもなりかねません。
このように口腔ケア(上記は口腔ケアというより、口腔の機能修復ですが)をすることによって認知症へのリスクをかなり下げることができます。
また口腔ケアよって、高齢者によくある口腔乾燥の改善も見込まれます。
当院ではチームを組んで訪問診療に取り組んでいます。
ベテランの歯科医師や衛生士が施設や居宅に往診して、ご自分や、ご家族でなかなか口腔ケアができない方をサポートしています。
口腔内の治療はもちろん、定期的な口腔ケア、呑み込めない方の嚥下診療もおこなっています。
お困りの方がおられましたらお気軽にご相談ください。
2016/11/09
今日は誤嚥性肺炎についての講演を、兵庫県介護老人保健施設協会阪神支部様からのご依頼でさせていただきました。
場所は宝塚商工会議所多目的ホール。
私の講演の後には、当院の主任衛生士の講演とチーフ衛生士による実習もさせていただきました。
ケアマネジャーさんや管理栄養士の方を対象の講演会で、皆さん熱心に聞いていただきました。
誤嚥性肺炎は近年増加傾向にあります。
日本人の死亡原因の4位であったのが、ここ数年で脳血管疾患と入れ替わり3位になっています。
肺炎について言えば、その90%以上が70歳以上の高齢者で、その中の実に80%以上が誤嚥性肺炎で亡くなられているというデータもあります。
当院でも、居宅や施設の方の訪問診療で口腔ケアを行いながら、VE(嚥下内視鏡)を使った嚥下診療で、誤嚥性肺炎の早期発見とその治療に取り組んでいます。