「 歯を守るための力のコントロール Ⅷ 」

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

「 歯を守るための力のコントロール Ⅷ 」

こんにちは、歯科医師の武田です。

「歯を守るための力のコントロール」について数回にわけて

お話しさせていただいております。

どうぞよろしくお願いします。

 

◆ 有歯顎における前方ガイドの設定基準

 

アンテリアガイダンス設定の原則は残存組織保全の見地から

適正な力のコントロールを図り、力学的負荷を顎口腔系の局所

に集中することなく均等に配分させることである。すなわち、

左右の顎関節、咀嚼筋に対して力学的負荷を均等に配分し、

ガイドする部分にも力学的負荷を生じさせない構成が望ましい。

 

有歯顎で前方残存歯によりガイドが構成できる場合は、

可及的正中に近接した位置でのガイドとし、前方誘導は切歯誘導、

側方運動は犬歯誘導が有利である。

 

有歯顎における前方ガイドは、まず咬頭嵌合位で

上顎前歯舌面は下顎前歯切端部を緩斜面でうけとめることにより

上下顎前歯の歯根膜全体へ機能圧を分散できるように設定する。

よって切歯による前方ガイドの設定は、咬頭嵌合位から前方へ

300μmの自由域を与えることにより、急速閉口時に切歯が急斜面での

衝突を避けることが望ましい。その後は矢状顆路傾斜度と同程度の

角度で前方へ2.0~2.5mm程度ガイドする。その後口唇等と調和した

位置まで2段階でガイドさせて切端咬合位に至る。この上顎前歯切縁

の位置は、リップサポートの要素や機能的下口唇閉鎖路との機能的

に調和する位置、さらに微笑時の下唇の示すスマイリングラインに

対する審美的位置関係により決定し、切端部の適正な厚さを確保する

ために2段階でガイドさせる。咬頭嵌合位から前歯の切端咬合位までの

矢状切歯路傾斜度の平均値は、矢状顆路傾斜度の10度増し、あるいは

20%増しであり、従来からこれがアンテリアガイダンスを設定する基準

とされてきた。また、中切歯の垂直被蓋は、切端咬合位までの

前方ガイドであり、臼歯部を適正にディスクルージョンさせる目的で

3.0~5.0mmの範囲に設定するとされているが実際の臨床では、

上顎前歯切端の位置を口唇との審美性と機能性の要素を主体として

決定することになる。

 

Rudolf Slavicek 前歯誘導路角と矢状顆路傾斜角は同じ角度が理想

◆ 歯列と口唇の調和と前方ガイド

 

歯列と口唇は、審美性と機能性の両面で調和させなければならない

上唇との審美的調和では、上唇線から下方に露出する上顎前歯歯冠部唇面

の長さは前方の歯ほど長く、犬歯:側切歯、側切歯:中切歯の露出量の比率

を、大和比(1:1.414)や黄金比(ゴールデンプロポーション1:1.618)を

参考にして設定する。実際の臨床では約1:1.5として治療に組み込むことが

合理的であり、この基準を無視してはならない。上顎前歯切縁と尖頭を連ねた

線をスマイリングラインと呼ぶが、このスマイリングラインと下唇との調和は

下唇の微笑線であるスマイリングラインと平行に移行させることにより

上唇線との1:1.5の審美的比率を浮き立たせることができる。

 

正常被蓋の機能的下口唇閉鎖路は、閉口時に下口唇の口輪筋やオトガイ筋が

緊張することなく下唇のドライウェットラインよりも舌側のウェットゾーンで

上顎前歯切端をくぐりぬけて、わずかに上顎前歯唇面を上方へ移動し、

上顎前歯歯冠の切縁側1/3の位置で下唇が上唇と接触する過程をとる。

もし過大にオーバージェットを設定すると、上下の口唇が結ぶ際に上顎前歯は

下口唇閉鎖路を障害し、口唇の筋疲労が増大し常時オトガイに過緊張による

しわがよることになる。

 

Rudolf Slavicek 各個人の骨格パターンによって連続性をもって変化

 

歯の健康、美しさを保つには、

定期的なクリーニングがとても大切です

ぜひタニダ歯科クリニックで定期健診を。

ご来院お待ちしております。