2022/06/23
こんにちは、豊原です。
もうすっかり初夏の陽気になり、蒸し暑くなってきましたね。
今回もアレルギーの続きです。
アレルギーは予防できるのでしょうか?
アレルギーは自己免疫の過剰反応のため、
感染症などと違い予防はなかなか難しいと考えられてきました。
しかし、アレルギーの治療や研究の積重ねの結果、
新たな指針のようなものは確立されつつあります。
例えば、アトピー性皮膚炎では、
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが
3割以上低下することが分かりました。
大人でも、皮膚のバリア機能が障害された状態で
早期に十分なケアがされず荒れの改善が遅れると、
食物アレルゲンの皮膚感作が進行し、症状が悪化します。
スキンケアを徹底することで皮膚バリア機能を改善し、
新たな皮膚感作を起こさないようにすることが大切です。
食物アレルギーについても、
アトピー性皮膚炎のある乳児に対してその湿疹のケアを十分行いながら、
加熱鶏卵を少量ずつ経口摂取させることで、
卵アレルギーの発症を減少されることができると研究発表されています。
かつては妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去することが良いと考えられていましたが、
今はその効果が否定されています。
むしろ、母親の栄養状態にはマイナスの行為であり、推奨されなくなってきました。
乳児に対して特定の食物の摂取開始時期を遅らせることも、
アレルギー発症リスクを低下させることにはつながらないことが報告されてきています。
離乳食の開始時期を遅らせたり、予防的に除去したりすることは、
経口免疫寛容の誘導の機会を奪うことにつながりかねなく、
結果的に食物アレルギーの感作を参考させてしまうこともあるそうです。
自分の思い込みで判断せず、専門医による正しい診断に基づいた制限をするように気をつけてください。
気管支喘息の予防では、
喘息の契機につながるような感染症などに気をつけることが大切です。
例えば、乳児期のRSウイルスやライノウイルスといったウイルス感染を繰り返すと
喘息を発症しやすくなることがわかっています。
そのため、手洗いやうがいなどを行い、感染症にかからないようにするのが大切です。
また、最近の研究から、2歳までに抗菌薬を使用したことのある子供では、
5歳時にアレルギー疾患に罹患する可能性が高いことがわかってきました。
このため、幼少期の不用意な抗菌薬の乱用は避ける方がいいのかもしれません。
また、アレルギーの原因であるアレルゲンも、乳児期から幼児期にかけて、
食物からダニやハウスダストなどに変わっていくとされています。
このため、ダニ対策などの環境整備を行うことも発症予防につながると報告されています。
自動車の排ガスやペットの毛なども喘息発症のリスクになるため、
これらの因子を避けることも大切です。
さらに、アトピー性皮膚炎を発症している場合は、
皮膚を炎症がない状態に保つことで
皮膚から体内にダニやハウスダストなどの吸入アレルゲンが進入するのを防ぎ、
喘息発症予防につながる可能性があるとされています。
アレルギーは国民病になりつつあります。
大人になってからも発症しますから、
普段から、かからない努力をできる範囲ですることは大切かと思います。
夏本番に向けて、熱中症にならないよう体を慣らしつつ、
無理は避けて、しっかり水分補給と休息を取って下さいね。