口の中に水ぶくれ?〜粘液嚢胞について〜

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

口の中に水ぶくれ?〜粘液嚢胞について〜

こんにちは。歯科医師の村重です。夏も本番という感じで、

日ごとに暑さが増していますね。子供の頃は夏の方が日が長く、

遊べる時間が多かったので好きでしたが、今はダメですね(笑)。

暑さに負けずに頑張っていこうと思います。

さて、みなさんは”口内炎が治らない”、

“水ぶくれが口の中に何度もできる”といった経験をしたことはありませんか?

それはもしかすると「粘液嚢胞」という疾患かもしれません。

口の中には「大唾液腺」と「小唾液腺」と呼ばれる唾液の生成機関があります。

大唾液腺は耳下や顎下・舌下、

小唾液腺は口腔粘膜やのどの粘膜などに存在しています。

小唾液腺からは細い管が無数に出ており、

管を通じて唾液が口内に分泌され、口の中の粘膜を湿らせています。

この唾液腺から出ている管が傷つくと、詰まったりもれたりして、

唾液が正常に分泌されずに粘膜の下に溜まってしまうことあります。

これが「粘液嚢胞」と言われています。

その原因としては、誤って唇や頬の内側などを噛んでしまったり、

ぶつけてしまったり、外傷性の場合が多いです。

歯並びが悪い人や口内炎の患者さんは、粘液嚢胞にかかりやすい傾向があるとされています。

また、唾石がある場合にも、粘液嚢胞が発生しやすくなると考えられています。

そうして出来た傷が治るときに、

唾液を出す管が詰まってしまうことによって粘液嚢胞が生じます。

下唇を噛む癖なども粘膜を傷つける原因となるの好発部位は下唇ですが、

唾液腺がある所はどの部位にもできます。

 

 

粘液嚢胞は潰れて治ってしまう事もありますが、

繰り返していくうちに繊維化して硬くなり、丸い形になってだんだん大きくなってしまいます。

治療法としては、前述のように自然に治ることもあるため、

粘液嚢胞を生じたばかりであれば 暫く経過をみるのも良いのですが、

自然治癒しない場合には治療が必要になります。

切開などで内容物を出しただけでは 一時的に小さくなっても再発するため、

嚢胞だけでなく原因になった小唾液腺も摘出します。

術後は、多少腫れます。予後は、取り残しをすると再発することがありますが、

悪性化することはありません。また再発を予防する為に、

悪い習癖(咬唇癖、吸唇癖)などがあればその改善や、

のう胞部に接触する歯や、かぶせ物の鋭い角があれば除去して再発防止することも大切です。

 

状態によっては提携市中病院等に紹介させてもらうこともありますが、

気になる症状がある方は一度診察にお越しください。