2023/08/10
こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
高齢社会を迎え、生活機能に支援が必要な人が多くなり、
医療・保健・福祉の密接な連携が必要とされています。
介護を必要とする人達の生活の場における支援を考えると、
医療・保健・福祉を分離して考えることなく、
それぞれの領域が密接に連携して「よりよく生きる」ための支援が必要です。
歯科からみると、口腔保健・歯科医療は生活機能の大きな柱である食物摂取機能と
言語表出機能の維持や回復を通して、自立と社会参加を支援していく領域で関与します。
今後も高齢社会に不可欠な福祉と連携した生活支援型保健・医療に積極的に参画して
介護を必要とする多くの人達の生活の質の向上に寄与することが求められます。
〔介護保険法〕
介護保険法は高齢者の自立支援を基本理念に、1997年に成立し2000年から施行されました。
これはわが国の高齢化に伴い、要介護高齢者が増加することに対して医療と福祉のサービスが
対応しきれなくなったことから、社会保険方式を創設し、
国全体で高齢者の介護を支える仕組みをつくろうとしたものです。
歯科医師はかかりつけ歯科医を中心に関与するとともに、
介護認定審査会の審査委員として介護認定にかかわる場合も多く、
また介護支援専門員の要請に応じてサービス担当者会議に出席して意見を述べる機会もあります。
要介護者・要支援者の多くが歯科治療や口腔ケアを必要とすることから、
介護保険法の内容とそれに基づく保健・医療と福祉の連携内容を理解することが求められているのです。
・介護保険法の目的
介護保険法第1条
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、
入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、
これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、
必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、
その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
・介護保険の制度としての特徴
→老後の最大の不安要因である介護を社会全体で支える制度
→社会保険方式により給付と負担の関係を明確にした制度
→利用者の選択により、さまざまな保健・医療・福祉サービスを総合的に受けられる制度
→介護を医療保険から切り離し、社会的入院解消の条件整備を図る制度
・介護保険の保険としての特徴
→北欧型の税金方式と、ドイツの保険方式の両者の長所を取り入れている。
→要介護に加えて、虚弱老人に対しての要支援(要介護になることの予防)を給付に加えた。
→残された能力を伸ばし、自立を図ることを積極的な目的として掲げている。
次回、歯科との関係についてもう少し詳細にお伝えしましょう。