2023/08/31
こんにちは。訪問担当の岩本です。
当院の訪問診療は
電話やFAXで受け付けていますが、
その依頼理由として
「どこかが痛むようなので見てほしい」
というものがあります。
今回は、口腔の痛みの原因について
頻度の高いものをいくつか
お伝えしたいと思います。
①義歯による痛み
合っていない義歯や
清掃不十分で不潔な義歯により、
粘膜に炎症が起き
痛むことがあります。
この場合は義歯の調整や
清掃及び管理方法の説明、
必要に応じて義歯の作り直しなどを行います。
②歯周病による痛み
歯周病が進行すると、
歯肉の腫れや歯のぐらつきにより
痛みが生じます。
口腔ケアの継続や抗菌薬の使用で
炎症を抑えることにより
楽になることが多いです。
③歯根の炎症による痛み
以前に神経をとる処置を行った歯に
多いのですが、
歯根の先(顎の骨の中)で
炎症が起きて
痛むことがあります。
抗菌薬の使用や歯根の再治療、
抜歯などを
状況に応じて行います。
④口腔乾燥による痛み
胃ろうや経管栄養の方で、
口腔内が極端に乾燥し
カラカラになっている場合に
多く起こります。
粘膜の老廃物や汚れの乾燥したものが
口の中にこびりつき、
口や舌を動かそうとするだけで
痛みがあるような状態です。
言葉による意思表示ができない方で、
口腔ケア時に強く抵抗されるような場合は
乾いた口を触られることによる
痛みが生じている可能性があります。
この場合、保湿材を用いて
口腔内を柔らかくしてから
ケアを行うなどの工夫をお伝えします。
⑤歯の破折に伴う痛み
加齢により歯質は脆くなっています。
歯の先が欠けたり、
噛む力に負けて歯根が折れて
痛みが出ることがあります。
また、欠けた部分の尖端が
粘膜に傷をつけたことによって
出る痛みもあります。
小さい欠けでしたら
少し削って丸めるだけで
解決することもあります。
⑥う蝕(虫歯)による痛み
若年者に比べて
頻度は少ないですが、
う蝕の進行により
歯髄炎(神経の炎症)が起きて
痛むことがあります。
歯の神経を取り除き、
かぶせ物を作るなどの
処置を行います。
⑦顎関節の痛み
歯ぎしり等の影響で生じる痛み、
また顎の関節が
外れてしまったことによる痛み
などがあります。
「顎が閉じられなくなった」なら
関節が外れていることが
ありますので、
関節を元に戻し固定を行うなどの
必要があります。
このように痛みの原因は様々で、
ご家族や介護なさる方が
お口を覗いても
分からないケースも多いです。
通院が難しい心身状態で
「歯科医院に行くのが大変…」
という時は一度、
訪問診療を利用されては
いかがでしょうか。