「~歯の外傷について〜歯をぶつけた時どうしたら良い?〜」

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

「~歯の外傷について〜歯をぶつけた時どうしたら良い?〜」

こんにちは。歯科医師の村重です。

お正月気分も抜けて2024年も本格的にスタートしましたね。

皆様今年も引き続きよろしくお願いいたしします。

まず、新年に石川県能登地域で発生した地震、羽田空港で発生した航空機事故と、

心の痛む災害や事故が起こりました。

被災された方々や事故に遭われた方々へ心からお見舞い申し上げますとともに、

犠牲となられた方々に心よりお悔み申し上げます。

 

さて、今回のブログは歯の外傷について、その種類と対応方法を2回に分けてご紹介します。

①破折(歯が折れた)

転倒や衝突により強い衝撃を受けると、歯が欠けてしまいます。

欠け方が部分的で軽度な場合は、痛みなどの症状は出にくく、

神経(歯髄)や歯周組織への影響も少ないことが多いのですが、欠けた部分から歯髄が感染を起こしたり、

数ヶ月たった後に歯の変色や歯肉の腫れが生じる可能性もあります。

歯医者さんを受診して詰めたり、かぶせたりという処置をするとともに、

しばらくは経過をみる必要があります。

歯が欠けて神経まで達するような重度の場合は、炎症が起きて強い痛みや

歯肉の腫れなどを引き起こすことが多いので、早めの処置が必要です。

欠け方に応じて神経の処置を行って、最終的に歯を元の形に修復します。

永久歯でも神経の処置をした後は経過をみていく必要がありますが、

乳歯の場合は次の永久歯に生え替わるまで定期的にチェックをしていくことが必要です。

②打撲(歯の揺れ)
歯を打ったことで、歯がグラグラになったり、周りの歯肉から出血することもよくみられます。

歯の動揺は、歯を支える骨の部分がダメージを受けた場合に起こりやすいです。

まずは、レントゲン写真を撮って、歯の根の状態や周りの骨の状態を確認する必要があります。
動揺が軽度な場合は、受傷した歯をできるだけ安静にして様子をみますが、

明らかな動揺がみられる場合は、両脇の歯と固定して安静を図ります。

また、頻度は少ないのですが、歯根の破折や歯槽骨骨折で歯が動揺している場合は、

受傷した歯が保存できるかどうかを診断する必要があります。歯茎の近くのところで根が折れていたり、

根が斜めに折れている場合などは、抜歯になる可能性もあります。

 

③転移、陥入(歯がずれた、めりこんでいる)
乳歯や生えたての永久歯の場合、外傷による歯の位置のずれや歯のめり込みが比較的多くみられます。

治療としては、歯を元の位置に戻し(整復)、両脇の歯と連結して安静を図り(固定)、

歯の周りの組織の回復を待ちます。 一方、低年齢児の乳歯や生えたての永久歯がめり込んだ場合は、

歯根がまだ未完成なため自力で再び生えてくることが期待できるので、

無理に元の位置まで戻さずに様子をみることが多いです。
また、乳歯の位置がずれたり、めり込むことで、乳歯の下で育っている永久歯に影響が出ることもあります。

永久歯の生える方向や、歯の形・色などに影響が出る可能性があるので、

永久歯への生えかわりまでレントゲンを含めた定期的なチェックが必要です。

次回は脱臼(歯が抜け落ちた)や受傷後の変色(歯の色が変わった)についてご紹介します。