西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

掌蹠膿疱症

こんにちは。訪問担当の岩本です。

今回は、

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう:PPP)

という疾患についてお伝えしたいと思います。

掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に

小さな水ぶくれがたくさんでき、

かゆみが出る病気です。
厚生労働省のデータによると、

日本での患者数は約14万人と推定され、
その多くは中年期以降に発症し、

また男性よりも女性に多いとされています。

水ぶくれは

やがてうみをもった膿疱(のうほう)となり、

見た目は水虫などと似ていることもあります。
水虫の場合、

白癬菌という真菌による感染症ですので、

人に移してしまう可能性があります。
しかし、掌蹠膿疱症の膿疱には

病原性のある菌やウイルスは含まれていないので、
他人に感染することはありません。
膿疱はやがてかさぶたとなり剥がれますが、

周りの皮膚にも炎症が広がり、

赤くなったりがさがさになったりします。

 

 

症状が爪にあらわれると、

爪が変形したり剥がれてくることもあります。

また、掌蹠膿疱症の合併症として、

身体の骨や関節に炎症が起き、

激しく痛む

「掌蹠膿疱症性骨関節炎」があります。
起こる割合としては

掌蹠膿疱症患者の約10~35%と報告されています。
胸骨やその周りの肋骨との結合部、

鎖骨などに起こることが多いですが、

背骨や腰の骨、手足の骨にも起こり得ます。
その痛みから、

心臓の病気や腰痛と勘違いされることもあります。

これらは自己免疫性の疾患であり、

自身の免疫系が正常な細胞や組織を攻撃し、

炎症を引き起こすものと考えられています。
原因については不明な部分もありますが、

以前より、病巣感染との関連が指摘されています。
扁桃腺炎が原因となっているケースが多く、

その他にも歯性感染症、副鼻腔炎、

上顎洞炎などが発症の誘因と考えられています。

歯科との関連性でいうと

従来は金属アレルギーとの関連が

重要視されていましたが、

その割合は実はごくわずか(約5%)で、
それよりも慢性的な歯周病や

歯の根の周りの炎症のほうが

影響が大きいと言われています。
無症状で、

通常では治療の必要がないような状態であっても、

掌蹠膿疱症を起こしやすい人にとっては

発症の引き金になっていると考えられています。

口腔内の感染症を治療することにより、

劇的に症状が改善したという報告も見られます。
上記のような原因不明の皮膚症状が続く場合は、

皮膚科だけでは無く、

歯科も受診することをお勧め致します。