2024/03/07
こんにちは。訪問担当の岩本です。
今回は、
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう:PPP)
という疾患についてお伝えしたいと思います。
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に
小さな水ぶくれがたくさんでき、
かゆみが出る病気です。
厚生労働省のデータによると、
日本での患者数は約14万人と推定され、
その多くは中年期以降に発症し、
また男性よりも女性に多いとされています。
水ぶくれは
やがてうみをもった膿疱(のうほう)となり、
見た目は水虫などと似ていることもあります。
水虫の場合、
白癬菌という真菌による感染症ですので、
人に移してしまう可能性があります。
しかし、掌蹠膿疱症の膿疱には
病原性のある菌やウイルスは含まれていないので、
他人に感染することはありません。
膿疱はやがてかさぶたとなり剥がれますが、
周りの皮膚にも炎症が広がり、
赤くなったりがさがさになったりします。
症状が爪にあらわれると、
爪が変形したり剥がれてくることもあります。
また、掌蹠膿疱症の合併症として、
身体の骨や関節に炎症が起き、
激しく痛む
「掌蹠膿疱症性骨関節炎」があります。
起こる割合としては
掌蹠膿疱症患者の約10~35%と報告されています。
胸骨やその周りの肋骨との結合部、
鎖骨などに起こることが多いですが、
背骨や腰の骨、手足の骨にも起こり得ます。
その痛みから、
心臓の病気や腰痛と勘違いされることもあります。
これらは自己免疫性の疾患であり、
自身の免疫系が正常な細胞や組織を攻撃し、
炎症を引き起こすものと考えられています。
原因については不明な部分もありますが、
以前より、病巣感染との関連が指摘されています。
扁桃腺炎が原因となっているケースが多く、
その他にも歯性感染症、副鼻腔炎、
上顎洞炎などが発症の誘因と考えられています。
歯科との関連性でいうと
従来は金属アレルギーとの関連が
重要視されていましたが、
その割合は実はごくわずか(約5%)で、
それよりも慢性的な歯周病や
歯の根の周りの炎症のほうが
影響が大きいと言われています。
無症状で、
通常では治療の必要がないような状態であっても、
掌蹠膿疱症を起こしやすい人にとっては
発症の引き金になっていると考えられています。
口腔内の感染症を治療することにより、
劇的に症状が改善したという報告も見られます。
上記のような原因不明の皮膚症状が続く場合は、
皮膚科だけでは無く、
歯科も受診することをお勧め致します。