2024/03/21
こんにちは。訪問歯科医師 阿部です。
3月も後半に入りいよいよ春本番。
お出かけにぴったりの季節になりました。
しかし花粉症の方にとっては辛い季節でも
あります。
花粉症は若い人に多く、年とともに症状が
緩和されると言われていますが、最近は
高齢者にも増えています。
今日は
【1】花粉症とお口のトラブルの関係とその対策
【2】花粉症薬と歯科治療
の2つについてお話ししたいと思います。
【1】 花粉症とお口のトラブルの関係とその対策
●花粉症とお口のトラブル
花粉症の鼻水、鼻づまりで鼻呼吸し辛くなると、
口で呼吸しがちになります。
口呼吸になると、お口の中はカラカラに乾燥して
しまいます。
また、花粉症のお薬の中には、唾液の分泌を
抑制するものもあります。
お口の中が乾燥し唾液による自浄作用が低下
すると、細菌が繫殖しやすくなり、歯垢が付き
やすくなります。
放っておくと、虫歯や歯周病、口臭などを引き
起こします。
また、花粉症による副鼻腔炎(上顎洞炎)が原因
で、歯痛を もたらすこともあります。
副鼻腔(上顎洞)とは、鼻の両横にある空洞で、
上の奥歯の根元の近くにあるため、炎症を起こす
と歯の根っこの先が刺激され 痛みが出るのです。
●お口のトラブルを防ぐために
花粉症に関連したお口のトラブルを防ぐために、
花粉症の方は、日常の口腔ケアを 念入りに行い
ましょう。
こまめに水分補給し、お口の乾燥を防ぎましょう。
口腔の保湿ジェルなどを用いるのもよいでしょう。
よく噛んで食べたり、お口の体操や唾液腺マッサー
ジをするなどして、唾液の分泌を促すのも効果的
です。
また、バランスのとれた食事、十分な睡眠などを
心がけ、生活のリズムを整えて免疫力低下を防ぎま
しょう。
(注)鼻や口をすっきりさせるために、ガムや飴を
口にする 機会が 増えますが、 虫歯になりにくい
商品を選びましょう。
【2】花粉症薬と歯科治療について
花粉症の治療に、舌下免疫療法薬(シダキュア)を
使用される方が増えています。
また、ダニアレルギーの治療には、ミティキュア
という薬剤もあります。
これらは、舌下投与される薬剤で、舌の下で溶か
して使用します。
アレルギーの原因物質(アレルゲン)を、少しずつ
舌下から体内に吸収させることで、アレルギー反応
を弱めていく治療法です。
これらの薬剤に関する添付文書には、
「抜歯後、口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症が
ある場合には、口腔内の状態を十分観察し、本剤
の投与可否を判断すること。
口腔内の状態においては、本剤の吸収に影響を与
える恐れがある。また、本剤が傷や炎症部位に
刺激を与える恐れがある。」
という記載があります。
舌下投与されるため、お口の中に傷があると、そこ
から薬剤が通常の粘膜から吸収される以上に体内に
吸収されるため、アレルギー反応が起こり、腫れな
どの副作用が生じる可能性があるのです。
特に、使用開始後1ヶ月以内にアレルギー反応が起
こる可能性が高いと言われているため、注意が
必要です。
これらの薬を使用されている患者様は、
必ず歯科医師にお知らせください。