西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

とろみ剤

こんにちは。訪問担当の岩本です。

 

今回はとろみ剤の話をします。

とろみ剤とは、

嚥下障害がある方の飲食物に混ぜて粘度を調整するための製品です。

 

「嚥下障害」とは、

食べ物や飲み物を飲み込む際に困難を感じる状態を指します。

嚥下障害があると

誤嚥(飲食物が誤って気管に入ること)が発生しやすくなり、

窒息や肺炎の原因となり得るため、出来るだけ避けなければなりません。

毎日の食事にとろみ剤を使用することで、

適度な粘度を与え、嚥下がスムーズになり、誤嚥のリスクを低減することができます。

 

 

とろみ剤には、

主に以下のような特徴があります。

1. 粘度の調整
とろみ剤は、食べ物や飲み物の粘度を細かく調整することができます。
例えば、水のような流動性の高い飲み物にとろみ剤を加えることで、
ジュースやスープ、ペースト状に変えることができます。
これにより、飲み物が喉を通過する速度が遅くなり、嚥下しやすくなります。

 

2. 使用の簡便さ
とろみ剤は、粉末状や液状の形態で市販されており、使用が非常に簡便です。
粉末状のとろみ剤は、飲み物や食べ物に混ぜるだけで粘度を調整でき、
液状のものも同様に簡単に使用できます。
また、即座に溶けるため、食事の準備に時間がかかりません。

 

 3. 安全性と味への影響
とろみ剤は安全性が高く、日常的に使用しても健康に影響を与えることはありません。
また、多くのとろみ剤は無味無臭であるため、
食べ物や飲み物の味を変えることなく、自然な状態で嚥下を助けることができます。

 

4. 適用範囲の広さ
とろみ剤は、飲み物だけでなく、スープやソース、デザートなど
さまざまな食品に使用できます。
また、固形食を嚥下しやすい状態にするために、ピューレ状にする際にも利用されます。

 

5. 栄養の保持
嚥下障害があると、栄養を充分に摂取することが難しくなることが多いです。

とろみ剤を使用することで、栄養価の高い飲食物を安全に摂取できるようになり、
栄養状態の改善にも寄与します。

このように、とろみ剤は嚥下障害者の生活の質を大いに向上させる重要なツールです。

 

ですが、注意すべき点もあります。

薬を服用する際、さらさらの水ではむせるからと
とろみ剤入りの水で服用すると、
薬が体内で消化分解されずに排出されてしまうことがあります。

 

※岩手医科大学薬学部のHPよりお借りしました

 

これでは薬の効果が期待できなくなるため、
服薬時にはとろみ水ではなく、服薬ゼリーの使用など
別の方法を選ぶ必要があります。

高齢者施設などでは食事の際に提供された
とろみ水でそのまま服薬することもあると思います。
薬効に影響しない、新しいとろみ剤の開発が待たれるところです。