ブラキシズム(歯ぎしり食いしばり)について

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

ブラキシズム(歯ぎしり食いしばり)について

こんにちは。歯科医師の村重です。

梅雨入りしてからというもの、雨空と猛暑が交互にやってきて

身体には厳しいですが、皆さんもなんとか乗り切っていきましょう。

さて、皆さんは朝起きたときになんとなく顎が疲れていたり、

日中ふとしたときに歯を食いしばっていることに

気づいたことはありませんか?

そういった症状に心当たりがある場合、

ブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)を行なっているかもしれません。

歯ぎしり(ブラキシズム)とは、

上下の歯が非機能的な接触を生じている状態を言います。

寝ている時に起こる場合と、目覚めている時に起こる場合とにより、

睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムとに分けられます。

また、ブラキシズムは下顎の運動を伴う

グラインディング(いわゆる歯ぎしり)とタッピング、

一定の下顎位で行われるクレンチング(食いしばり)とに

分類することができます。

睡眠時ブラキシズムは基本的には中枢性の問題であり、

睡眠関連疾患と考えられています。

一方、覚醒時ブラキシズムは、様々な条件に伴って

獲得された習癖であると考えられています。

以下にそれぞれの治療法について説明します。

 ①睡眠時ブラキシズム 睡眠時ブラキシズムに関連する

因子は患者個々で異なるため、

現時点では確実にブラキシズムを抑制できる単一の治療法はありません。

ストレス、飲酒、喫煙、服薬、睡眠障害等の関与が疑われれば、

ストレスマネージメント、飲酒や喫煙に対する指導、

服薬の変更や中止などで抑制できる可能性があります。

これらは口腔の健康のみならず全身管理の面からも

まず行われるべきことです。

代表的な治療法として以下のものがあります。

 

スプリント療法:スタビリゼーション型スプリントを用いた

スプリント療法が、短期的にブラキシズムを抑制することが

報告されています。ただし、全ての患者に対して

有効であるわけではないこと、また有効であっても

これらの効果は短期的なものであり、長期間スプリントを

使用しているとブラキシズム・レベルは元に戻ることが

示されています。しかし、スプリントには歯や歯冠修復物を

ブラキシズムから保護することができるという利点があり、

スプリントによって睡眠中に生じる顎関節への負荷を

軽減できる可能性もあります。

 

薬物療法:薬物に関しては、筋弛緩剤である

ジアゼパムやメトカルバモール、

高血圧の治療に用いられるクロニジン、

ベンゾジアゼピン系のクロナゼパムなどにブラキシズム抑制効果が

あることが示されていますが、薬物依存、

副作用などの問題があり長期的には使用できません。

 

 ②覚醒時ブラキシズム 覚醒時ブラキシズムは、

咀嚼や会話などの機能時以外に観察されます。

覚醒時ブラキシズムについても、ストレスなど様々な因子が

関連してくる可能性がありますが、

睡眠時ブラキシズムと異なり、

無意識で行われるものばかりではなく、

意識的に行われる場合もあります。

いずれにせよブラキシズムが強い力を伴う場合や、

弱くても長時間持続すれば顎口腔系に対して

様々な為害作用を及ぼす可能性があります。

覚醒時ブラキシズムについては、覚醒時の現象で様々な

条件に伴って獲得された習癖と考えられるため、

理論的には患者指導により是正が可能です。

ブラキシズムは知覚過敏や、歯の破折や被せ物の脱離、

顎関節症に至るまで様々な症状の原因となります。

歯ぎしりの自覚があったり、

指摘されたことのある方は気軽にご相談下さい。