2024/07/18
こんにちは、川村です。
暑くなってきて、毎日大変ですね
最近、訪問診療で顎が外れたとの急患があり、
診療することがありました。ですので、
そこまで頻度が多いわけではないですが、顎関節について
(少し難しいですが)です。
下顎頭と呼ばれる顎の関節は、口を大きく開くと関節結節を超えて
前方に動きます。
口を閉じるときはこの逆の動きになりますが、
前方に移動した下顎頭が関節結節に引っかかって動かなくなり、
通常収まるべき下顎窩と呼ばれるくぼみに戻らなく
なってしまった状態です。
一度脱臼を起こすと再発しやすく、
何度も脱臼してしまう場合は特に習慣性顎関節脱臼
と呼びます。
原因は、様々な物があります。
口の開けすぎ、骨の変形、靱帯や筋肉の緩み、
加齢や寝たきりによる筋力低下・・・など
下の顎は、靱帯につながれて引っ張られています。
靭帯が緩むと普通は伸びない部分まで伸びてしまいます
よって、靱帯が緩む高齢者が顎が外れやすくなります。
口が開いたまま閉じられない、食事が出来ない、
うまく話せない、などの症状が出ます。
・手術しない方法
顎を元の位置に戻す整復と、
顎が外れにくくするために固定をします。
下顎頭を牽引し,顎を整復します。
口と顎を完全にリラックスさせるよう患者に指示します。
頭部を固定し、頭部を動かさず、ヘッドレストに
しっかりと固定するよう患者に指示します。
まず、顎の後部にしっかりと持続的な
下向きの力を加えて、母指で下顎頭を下げます。
安定した力を加えます。
同時に下顎骨前方に逆方向の上向きの力を加えます。
(すなわち、顎先を上方に揺り動かす)
その後,この牽引力を維持しながら、脱臼した側
(または脱臼が両側性の場合は両側)に後方への力を加え,
下顎頭を整復します。
(すなわち、下顎骨を正常な位置に押し戻す)
・手術をする方法
顎を動きにくくする手術
頬骨突起形成法、障害物移植・埋入法、瘢痕硬縮法 など
顎が簡単に戻るようにする手術
関節結節削除術、関節頭削除術 など
大きく開けないようにしてもらう
あくびをするときは、顎の下に握りこぶしを当てて、
大開口しないようにしてもらう
顎が外れた後はしばらく外れやすくなります。
靭帯が伸びてしまっているため、口を開かないように
固めていくことが必要です。
帽子で顎を固定する(オトガイ帽)、
包帯を巻いて口が開かないようにする、ネジを
顎の間に固定して、そこにゴムをつけて
固定するなどの方法があります。
2週間から1ヶ月程度大きく開けないようにすると
顎は外れにくくなりますが、それでも
顎が外れてしまう場合は「習慣性顎関節脱臼」となり、
更なる治療を検討します。
このような感じです。
頻度はそこまで多くはありませんが、
特に高齢者の方は起こりやすいので、
もしなってしまったら、早く診てもらってください。