西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

顎関節脱臼

こんにちは、川村です。

暑くなってきて、毎日大変ですね

 

最近、訪問診療で顎が外れたとの急患があり、

診療することがありました。ですので、

そこまで頻度が多いわけではないですが、顎関節について

(少し難しいですが)です。

 

  • 顎関節脱臼とは。

下顎頭と呼ばれる顎の関節は、口を大きく開くと関節結節を超えて

前方に動きます。

口を閉じるときはこの逆の動きになりますが、

前方に移動した下顎頭が関節結節に引っかかって動かなくなり、

通常収まるべき下顎窩と呼ばれるくぼみに戻らなく

なってしまった状態です。

一度脱臼を起こすと再発しやすく、

何度も脱臼してしまう場合は特に習慣性顎関節脱臼

と呼びます。

 

  • 顎関節脱臼の原因

原因は、様々な物があります。

口の開けすぎ、骨の変形、靱帯や筋肉の緩み、

加齢や寝たきりによる筋力低下・・・など

下の顎は、靱帯につながれて引っ張られています。

靭帯が緩むと普通は伸びない部分まで伸びてしまいます

よって、靱帯が緩む高齢者が顎が外れやすくなります。

 

  • 顎関節脱臼の症状

口が開いたまま閉じられない、食事が出来ない、

うまく話せない、などの症状が出ます。

 

  • 顎関節脱臼の治療法

・手術しない方法

顎を元の位置に戻す整復と、

顎が外れにくくするために固定をします。

下顎頭を牽引し,顎を整復します。

口と顎を完全にリラックスさせるよう患者に指示します。

頭部を固定し、頭部を動かさず、ヘッドレストに

しっかりと固定するよう患者に指示します。

まず、顎の後部にしっかりと持続的な

下向きの力を加えて、母指で下顎頭を下げます。

安定した力を加えます。

同時に下顎骨前方に逆方向の上向きの力を加えます。

(すなわち、顎先を上方に揺り動かす)

その後,この牽引力を維持しながら、脱臼した側

(または脱臼が両側性の場合は両側)に後方への力を加え,

下顎頭を整復します。

(すなわち、下顎骨を正常な位置に押し戻す)

 

 

・手術をする方法

顎を動きにくくする手術

頬骨突起形成法、障害物移植・埋入法、瘢痕硬縮法 など

顎が簡単に戻るようにする手術

関節結節削除術、関節頭削除術 など

 

  • その後

大きく開けないようにしてもらう

あくびをするときは、顎の下に握りこぶしを当てて、

大開口しないようにしてもらう

顎が外れた後はしばらく外れやすくなります。

靭帯が伸びてしまっているため、口を開かないように

固めていくことが必要です。

帽子で顎を固定する(オトガイ帽)、

包帯を巻いて口が開かないようにする、ネジを

顎の間に固定して、そこにゴムをつけて

固定するなどの方法があります。

2週間から1ヶ月程度大きく開けないようにすると

顎は外れにくくなりますが、それでも

顎が外れてしまう場合は「習慣性顎関節脱臼」となり、

更なる治療を検討します。

 

このような感じです。

頻度はそこまで多くはありませんが、

特に高齢者の方は起こりやすいので、

もしなってしまったら、早く診てもらってください。