西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

高血圧

こんにちは。訪問歯科医師の村山です。

訪問診療に携わり、高齢者や障がい者の方々と接する機会が一般診療よりも多くなりました。
何らかの基礎疾患を持っておられる方がほとんどで、治療の際には負担が少なく済むようにと
大変な緊張感が伴います。
そんななか「ちょっと血圧が高いくらいで他は健康です。血液サラサラのお薬も飲んでないです。」と
おっしゃる方がいます。高血圧について深く考えたことはありますか。
厚生労働省の情報提供(e-ヘルスネット)によると20歳以上の国民のおよそ2人に1人は高血圧であり、
喫煙と並んで日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因としています。

表は日本高血圧学会の高血圧診断基準です。
診察室血圧と家庭血圧とがありますが、これらは測定場所によって分けられており、
前者は病院の診察室で測定した血圧、後者は家庭用の血圧計や24時間携帯型自動血圧計で測定した血圧のことです。
高血圧には原因不明の本態性高血圧と二次性高血圧があり患者の約90%は本態性高血圧とされています。
症状としては頭痛、めまい、肩凝り等があるも、統計的にはこれらの症状の頻度は高血圧の程度と
ほとんど関係がなく自覚症状にも特徴的なものはないようです。
したがって検診等で早期に発見し、治療・管理しなければ高血圧の進展とともに
やがて心臓、脳、眼、腎臓および血管等に合併症がみられ症状が出現するのはこの時期であり、
これらの合併症がしばしば致命的となります。
血圧を上昇させる因子として、食塩過剰摂取、喫煙習慣、寒冷、肥満、アルコールの過飲、
持続する精神的ストレス(緊張、不安、恐怖、怒りなど)、運動不足、高インスリン血症などが挙げられます。
さらに血圧値は季節、温度、時刻、精神緊張、運動、食事、排泄、入浴など多くの日常生活の中でも
容易に変動します。
したがって、個人の血圧値は一度の測定で断定をせず、いろいろな状況で数回測定してから判断するべきでしょう。
特に近年、24時間血圧を追続的に測定した結果から、1日のうち血圧値の変動幅が大きいほど前述した
臓器障害を発症する頻度が高くなるともいわれています。
このように少しの環境変化で変動する血圧。
歯科治療中に血圧は多少とも上昇しますが、特に高血圧の患者では元々の血圧が高いだけでなく
痛み、恐怖に対する反応も強い為、治療中はかなり血圧値の上昇を示すことが多く、老齢者高血圧患者では、
圧反射による血圧の調整機能が低下している為、血圧は簡単に上昇のみならず下降することもあるのです。
「ちょっと血圧が高いだけ…。」
これは大切な情報なのですよ。