2021/01/21
こんにちは。訪問担当の岩本です。
今回は「舌の力」についてお伝えしていきたいと思います。
口の機能でとても重要な役割を果たす「舌」。
食べるとき、話すとき、舌は無くてはならない器官です。
食べ物が口に入ってきたとき、
舌は奥歯のかみ合わせ面に食べ物を運んで、かみ砕けるようにします。
また、味や温度を感知し、異物(魚の骨など)をうまくより分けることもできます。
唾液の分泌を促し、食べ物に消化液を混ぜ合わせ、飲み込みやすい形にまとめあげます。
そして、上顎に舌を押し付けることによって、食べ物を口の奥に運び、嚥下できるようにします。
言葉を話すときは、舌を上顎や歯茎の部分にあてることによって
色々な種類の音を出すことができます。
舌は柔軟にその形を変え、上顎にくっつけたり離したりして音の区別を作ります。
このように大切な「舌」ですが、残念なことに、加齢とともに機能は衰えます。
舌は筋肉の塊ですので、その筋肉量の減少や、筋力の衰えによって
滑舌が悪くなる
よく舌を噛んでしまう
食事に時間がかかるようになる
嚥下がしづらくなる
飲み込んだ後に口の中に食べ物が残ったままになる
といった症状が現れることがあります。
加齢による舌の機能低下は、トレーニングやリハビリを行うことにより、
低下のスピードを緩やかにすることが可能です。
そこで、現時点での機能低下の程度や、
その後の変化を調べることが必要となってきます。
舌の運動機能については、その
「運動できる範囲」
「筋力」
「巧緻性(器用さ)」
で評価を行います。
運動範囲(可動域)検査では、
左右の口角をなめることができるか、
前方・上方・下方に突出できるか、を調べます。
筋力が落ちていると前に突き出すことができません。
筋力については、舌圧計という機械で測定します。
プローブの先についているバルーンを口腔内に入れ、これを舌と上顎で挟んで潰すようにします。
その時の力を測定します。
最大舌圧の年代別標準値は、成人(29~59歳)で男性は45±10kPa、女性で37±9kPaですが、
60歳代になると38±9kPa、70歳代では32±9kPaと低下します。
最大舌圧が30kPaより低下しますと、「低舌圧」とされます。
巧緻性については、オーラルディアドコキネシスという方法が用いられます。
これは、パ、タ、カの音をそれぞれ一定時間(5秒間)に何回発音できるか(「パパパ…」)というテストです。
回数を数える機械もありますが、
録音して数えたり、スマートフォンのアプリで数えることもできます。
一秒間に6回未満しか発音できない場合に「舌の機能低下あり」とされます。
また、こういった舌の機能低下は、「食べられる食形態」にも大きく影響することがわかっています。
その人の状態に合った食形態を選ぶことにより、誤嚥や低栄養状態を予防するといった面からも、
これらの検査は有意義であると思われます。