西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

唾液②

 こんにちは、歯科医師の豊原です。

今年はいつもよりもかなり早く梅雨入りしましたね。

昨年くらいからシトシト雨ではなくザーザーと

しっかり降る雨の印象を強く感じます。

まだ梅雨は続きそうですが、

今年は農作物への影響が少ないといいですね。

大きな災害が起こらないことを祈ります。

今回は前回に続き、唾液の作用について書きます。

まずは粘膜保護機能です。口の中に唾液が潤うことで、

粘膜同士や歯と粘膜との接触時のこすれを緩和し、

結果的に粘膜を保護をします。

歯自体も唾液に覆われることで摩耗や脱灰を防げます。

唾液は粘膜保護するとともに粘膜間に介在することで、

自浄作用も期待できます。唾液が多く流出される方はそれだけで食物が洗い流されやすく、

虫歯のリスクが減ります。

赤ちゃんや幼児は唾液がたくさん出ますよね!

あれもまだちゃんと歯磨きできない幼い時期には理に叶った現象なんです。

口腔内は呼吸することで乾燥しやすい環境になりがちですが、

唾液が流出されることでそれを免れます。

口腔内が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなるため、

舌炎や口唇炎の原因にもなります。

こういうことから、唾液は粘膜にとってはすごく大切なものなのです。

また、唾液には炭酸・重炭酸・リン酸などの成分が含まれていて、

口腔内のpHバランスを保っています。これをpH緩衝作用といいます。

口腔内のpHは本来は中性ですが、

唾液が少なく口腔内に砂糖や酸がさらされる環境にあると、

虫歯菌がそれをエサにして、それらを分解したときに酸が発生し酸性に傾いて歯の脱灰につながります。

すなわち、虫歯の第一歩です。

何らかの原因で唾液が少ない方は虫歯のリスクが高いことを意識して、

より一層歯ブラシやデンタルフロスを頑張っていただきたく思います。

唾液はその他にも、リゾチームやペルオキシダーゼ、免疫グロブリン、

ラクトフェリンなどを含んでおり、口腔内に侵入した細菌の活動を抑え、

抗菌作用を発揮します。ラクトフェリンは母乳、特に初乳の中にもたくさん含まれていて、

新生児にとっては大事なタンパク質です。

口は消化管の入り口とよく言われますが、

外敵である細菌やウイルスなどの入入り口でもあります。

こういう点でも唾液の重要性がわかりますね。

次もまた唾液について書きますね。

そろそろ暑くなってきますので、みなさま、

水分接種をしっかりなさってくださいね。