2022/01/27
こんにちは!
歯科医師の今泉です。
今回は訪問歯科について
ポイント10個に絞り
重要なことを説明します。
①口腔内の特徴と
口腔内の細菌について
口腔は、温度、湿度、栄養供給、
複雑な形態、環境など
あらゆる点において、
細菌が繁殖しやすい条件が
そろっていることから、
呼吸器感染症をはじめ
全身の疾患の発症と密接に
関連しています。
それゆえ口腔の細菌の
コントロールは極めて重要です。
②口腔ケアとは
口腔ケアは、
広義には口腔のもっている
あらゆる働き(摂食、咀嚼、嚥下、
構音、審美性・顔貌の回復、
唾液分泌機能等)を健全に維持する、
あるいは機能の障害がある時、
それをケアすることを指します。
一方、口腔衛生管理に主眼を置く
一連の口腔清掃と義歯の清掃を
狭義の口腔ケアとして
この言葉を使うときがあります。
③プロフェッショナル口腔ケア
プロフェッショナル口腔ケアとは、
歯科医師や歯科衛生士が行う
専門的口腔ケアです。
歯科専門職がケアを
必要とされる方の身体、
精神的状況や環境に配慮する形で
口腔のケアプランをたて、
実施する口腔ケアを指します。
④なぜ口腔ケアが重要か
口腔の細菌数は生活行動や
生理的作用によって1日の内でも
大きく変動します。
長期臥床の入院患者さんや
要介護者にとって口腔のケアが
おろそかになれば、歯垢に加え、
痰が舌と口蓋にこびり付き、
細菌数が最大に達します。
さらに義歯が衛生的に
管理されていなければ、
細菌の温床となってしまいます。
このように感染や
病気の原因となる細菌を
減少させることは、疾病の予防に
つながります。
また口腔内をきれいに清掃すると
食事がおいしくなったり、
さっぱりして生活の質が
高まります。
⑤口腔リハビリテーション
脳血管疾患などの影響で
口腔機能が低下してる場合や
日頃、口を使わないことによる
廃用性変化が起こっていることが
あります。このような場合、
口唇、頬、舌を積極的に刺激し、
口腔機能を高めたり、
飲み込みを改善したりします。
このことを
口腔リハビリテーションと言います。
⑥歯科治療と口腔のケア、
口腔リハビリの組み合わせ
歯科治療と口腔のケア、
口腔リハビリはより健康な
口腔を回復するために
非常に大切な組み合わせです。
またケアはご自分で行う
セルフケアと歯科衛生士による
専門的なケアがあります。
在宅医療においては
ご自身によるセルフケアが
難しいケースがほとんどです。
口腔リハビリでも
同じことが言えます。それゆえ、
口腔の専門家がかかわり、
どのような口腔のケアが必要か、
それぞれの分担をどうするかを
プランニングすることが重要です。
⑦高齢者の健康を脅かす
誤嚥性肺炎
肺炎は日本における
死因の第3位です。
肺炎の発症率は加齢とともに
増加し、肺炎で死亡する人の
大部分は65歳以上の高齢者であり、
年々増加傾向にあります。
また、
肺炎のために入院を余儀なくされ、
長期の安静臥床を続ける間に
廃用症候群が進行し、
様々な合併症を引き起こし、
結果的にさらに進行した
要介護状態となる危険性も
はらんでいます。すなわち、
肺炎は高齢者の罹病率や
死亡率を上昇させ、
医療費や介護費用を
増大させる大きな要因です。
肺炎を発症した高齢者の多くは、
食事のときにむせこんだり、
食べ物が喉につかえたり
するという症状がなくとも、
夜間睡眠中に唾液を
下気道や肺に不顕的誤嚥している
ことがわかっています。
肺炎になると、
栄養や免疫機能がさらに低下し、
繰り返す不顕性誤嚥のために
肺炎が反復、重症化し、
ついには死に至ることも
稀ではないのです。
⑧歯ブラシの選択はたいへん重要
長年にわたって
療養されている方の場合、
適切に口腔清掃が
なされていなかったり、
う蝕(むし歯)と歯肉炎が
広範囲に認められることが
少なくありません。
長い間ブラッシングを
行っていない場合、
歯肉がひじょうに脆弱(弱く)に
なっており、ブラシの選択を
間違えると大きなトラブルを
起こすことがあります。
この様な時は、
衛生的な軟毛のブラシが適切です。
さらに最初は力を入れ過ぎたり、
長い時間のブラッシングは
避けるべきです。
歯肉の炎症の改善具合を見ながら、
普通の硬さのブラシに
替えていくことが可能です。
また柄が太くなった
持ちやすい歯ブラシもおすすめです。
また歯ブラシの後、口をよく
すすぐことも大切です。
⑨口腔リハビリによって
口腔機能や嚥下機能の向上を図ります。
脳卒中等の後遺症、
また廃用(使わないことによる
機能の変化)によって、歯と口唇、
頬の動きの調和が崩れたり、
食べたものをうまく
飲み込めない方が、増えています。
このような場合、
口腔機能の向上や嚥下機能を
改善するような口腔の体操や
口腔リハビリが大変有効です。
歯科訪問診療の中でも、
症状によって口腔機能訓練や
摂食・嚥下訓練も受けることが
出来ます。
⑩在宅歯科医療について
歯科医師会が重点的に
取り組んでいること
医科歯科連携
医科の先生方と
相互に情報を交換し、
安全な医療を提供するための
連携が始まっています。
多職種連携
ケアマネージャー、看護師、言語聴覚士、
介護福祉士など、医療や介護の
専門家との連携も進んでおります。
(テーマパーク8020参照)