2022/03/03
こんにちは、歯科医師の池田です。
今回は「着色」について説明しようと思います。
まず、歯の本来の色は人それぞれ違います。
もともと白い人や黄色味が強い人など、
バラバラです。
なぜ個人差がでるのかというと、
象牙質の色に左右されることが多いです。
象牙質とは歯の表面を覆っている
エナメル質の下にある歯の主体の構成部分になります。
エナメル質は色が薄く半透明なので、
エナメル質を透過してその内側の象牙質が透けて見えます。
象牙質は乳白色ですが、肌や髪の毛の色と同じように
個人差があるので、生まれつき白い人もいれば
黄色味を帯びた人もいます。
また、エナメル質の厚さや透明度、
凹凸などによっても、歯の表面に
光が反射することで白っぽく見えたり、
象牙質の色の見え方が変わったりします。
しかしもともと歯が白かった人でも、
歳を重ねるとともに少しずつ白さを失い、
黄ばんでくることがあります。
加齢によって象牙質そのものの
色が濃くなっていくこともありますが、
歯が黄ばむ原因の多くは、
象牙質ではなくエナメル質にあります。
歯の色が変わる原因のひとつはステインです。
着色しやすい食べ物や飲み物、
嗜好品の色素がエナメル質表面の膜と結びつき、
ステインとなって歯に付着、蓄積します。
食事やおやつなどを摂ると、
それらに含まれる糖を栄養にして
虫歯の原因菌が増殖し、酸をつくりだして、
歯のエナメル質にあるミネラル成分が溶けでます。
また食べ物が酸性なのが原因で溶けることもあります。
これを脱灰といい、唾液により時間が経つと
口の中の状態は中性に戻り、溶けでたミネラル成分も
唾液によって元に戻る再石灰化が起こります。
口の中は脱灰と再石灰化を繰り返して
健康を保つことができます。
しかし、甘いもののだらだら食べや、
酸性の飲み物をだらだら飲み続けるなどで、
脱灰が起きている時間ぎ長いとそのバランスが崩れ、
脱灰が進んでしまいます。
脱灰により歯からミネラル成分が溶けでたままだと、
歯の表面にできるわずかな凹凸やエナメル質内部で
光が乱反射して艶や輝きがなくなり黄ばみを際立たせます。
さらに加齢変化によって、エナメル質が薄くなり、
その内側にある象牙質の色がより透けて見えるようになり、
若い頃より歯が黄ばんで見えるようになります。
上記の内容を含め、ステインを防ぐには、
着色しやすい食べ物や飲み物などの
摂取を避けることですが、汚れがつくからといって
原因となる食べ物や飲み物を完全に避けることは
難しいです。
一度食べたり飲んだりしただけで
こびりつくわけではないので、
食後に歯磨きで汚れを落とすことが大切です。
すぐに歯磨きができない場合は
水で口をゆすぐだけでも効果があります。
歯磨きで落としきれないステインは、
歯科で専門の道具を使ったクリーニングで
取ることができます。また、プラークや歯石を
きれいに取ることもできます。
ステインだけでなく、虫歯や歯周病の予防にも
なるので定期的に受けるのをお勧めします。