2021/04/22
こんにちは。歯科医師の法貴です。
4月になり新生活をスタートさせる人も多くいると思いますが、
新型コロナウイルスの猛威もまた強くなってきています。
健康に気をつけながら生活してください。
今回は子供の虫歯についての話です。
子供の虫歯になる要因の特徴の1つは、
生えて間もない歯は石灰化が不完全であり、
完全に進むまで2〜4年かかることが挙げられます。
また、砂糖を含んだ飲料やお菓子を好むことも要因に挙げあれられます。
乳歯の虫歯の特徴は①虫歯の罹患性が高いこと
②虫歯の進行が速いこと
③小児の発育環境に影響される
④年齢と発生部位に相関がある
⑤自覚症状が少ない等の特徴があります。
乳歯の虫歯になりやすい部位として
2歳までは上の前歯の唇側
2歳から3歳までは上の前歯の歯と歯の間
3歳から3歳6ヶ月までは奥歯の噛む面
3歳6ヶ月以降は奥歯の歯と歯の間 です
乳歯に特徴的な虫歯の要因として、
卒乳時期が遅いことや哺乳瓶にジュースを入れて与えることなどが挙げあれらます。
生後6ヶ月頃には夜間授乳をやめ、1歳6ヶ月頃には 哺乳瓶の使用をやめることが
望ましいとされていますが、
成長には個人差があるため発達の程度をみながら判断が必要です。
また、甘いものが好きな子供は
①間食の回数を決める(間食の時間と場所を決める)
②粘着性、停滞性食品の間食を控える
③就寝前あるいは睡眠途中のスクロース入り飲食物摂取はやめる
④遊びながらダラダラと飲食をしない
⑤噛み応えのある食品をよく噛む
⑥必要な時以外にスポーツ飲料や乳酸飲料を摂取しないようにする
⑦スクロース入り飲食物摂取後は口腔内清掃を行うようにする などの対応が必要です。
スクロースの代わりになる代用甘味料としてキシリトールがあります。
キシリトールの特徴としては砂糖と同程度の甘味度があるが、
虫歯の原因になる菌が代謝することができません(虫歯を誘発しない)
しかし、このキシリトールを一度に多量摂取すると
下痢を引き起こしてしまうこともあるので摂取量には気をつけなければなりません。
学齢期の永久歯の虫歯に特徴的なのが
①萌出早期に虫歯に罹患する傾向がある
②虫歯の進行が速い
③虫歯の乳歯と隣接している場合には罹患しやすい等が挙げられます。
歯磨きと日々の食生活に気をつけて令和3年は虫歯0にしましょう!
2021/04/20
こんにちは。院長の谷田です。
今回は歯周病についてのお話をしたいと思います。
歯周病は感染症です。
口腔内には500~700種類の菌が存在しており、
互いが複雑に影響を及ぼしあっています。
これに様々なリスクファクターが作用して
歯周病が進行していきます。
リスクファクターの例を紹介しますと
・喫煙
・食習慣
・ストレス
・糖尿病
・歯石
・歯並び
・歯ぎしり
・口呼吸
等がございます。
当院では位相差顕微鏡も併用し、
口腔環境をしっかり把握した上で
歯周病治療を行っております。
早期の発見と治療が大切です。
現在、症状の自覚がない方も一度ご来院ください。
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
2021/04/15
こんにちは。訪問担当歯科医師の岩本です。
今回は水の誤嚥についてお伝えしたいと思います。
病気や加齢により嚥下の機能が落ちてくると、
まず、さらさらのお茶や水を飲んだ時にむせやすくなります。
その状態が続くと、誤嚥(誤嚥性肺炎)を防ぐために、
とろみ剤などを用いて水分にとろみをつけ、
飲みやすく調整したものを飲むように指示されることがあります。
ところが、このとろみ水(茶)は、
「喉の渇きを癒す」という点においては、
あまり美味しいものではありません。
脱水を起こしやすい高齢者にとっては水分の補給はとても大切なことなのですが、
人によってはとろみ水分を嫌がり、あまり飲まないという方もおられます。
また、とろみ水はまとまった量を飲むのが難しく、
結果的に水分摂取量が少なくなるという問題もあります。
体内の水分が不足すると、気道の粘膜表面が乾き気味になってしまい、
身体にとって有害な、痰を排出する力が低下します。
そして汚れた痰が体内に留まることにより、
肺炎の発症率が上がると考えられています。
一般的には誤嚥=肺炎の原因と考えられがちですが、
水そのものは誤嚥しても、呼吸器にダメージを与えることなく、
速やかに血中に吸収され、有害ではありません。
肺の炎症を起こすのは細菌であり、飲料水の中に含まれる細菌数は、
唾液に含まれる細菌数と比較するとかなり少ない数です。
アメリカにおける調査で、
「とろみ水分の摂取を指導されている患者が隠れて普通の水を飲んでいても、
その患者達に肺炎発症が増えたという事実は無かった」というものがあります。
これらに基づき、「きちんと管理した上で、飲水を認めても良いのでは?」という考えが生まれました。
1984年から始まったこの試みはFree Water Protocolと呼ばれているものですが、
嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)で水分誤嚥が認められる患者であっても、
一定の条件下において飲水を許可するというアプローチです。
一定の条件とは何か、そのガイドラインは以下のようなものです。
1.言語聴覚士のスクリーニングによる適応患者の選定
2.検査機器を用いた嚥下精査の実施
3.経口摂取を認められており、水分を誤嚥する患者においては「食間」のみ飲水可能
4.3の患者の「食事中の」水分摂取は必ずとろみを付ける
5.絶飲食患者においては随時飲水可能
6.全職員で対象患者の情報共有
7.口腔ケアの徹底
8.有効な姿勢調整の積極的導入
9.水による服薬の禁止
この方法で食間の飲水を許可することにより、
喉の渇きを解消できる安心感からか、
食事中のとろみ水は拒否なく受け入れられるようになったそうです。
また、水分を十分摂取することにより、肺炎発症率の低下、
尿路感染症予防、などにおいて良い結果も得られ、
患者の精神的満足度は高かったとの報告があります。
もし、日本においても調査が進みこの考えが認められるようになれば、
今よりも肺炎発症率が下がるのかもしれません。
2021/04/08
こんにちは、歯科医師の豊原です。
春の陽射しが暖かい気持ちの良い日が続きますね。
この春、ご入学あるいは新社会人になられる皆様、おめでとうございます。
もう新生活が始まっていらっしゃることでしょう!
新しい生活に緊張したり、ワクワクしたり、
皆それぞれ期待と不安がお有りだと思いますが、
そういった緊張や不安を逆に楽しむくらいの軽い気持ちで、
新たなステージへ進んでいってください。
何事も力を抜いて自分らしくが一番だと思います。
さて、今回は唾液の働きについて書きたいと思います。
唾液は普段は意識して過ごす事はないと思いますが、
実はすごく大事な消化液であり潤滑液なんです。
しっかり噛むことで食べやすくなるのは、
食べ物がすりつぶされてやわらかくなるからです。
ここで重要な役割をするのが唾液です。
唾液によってやわらかくなった食物は嚥下しやすく、
またその後の器官での消化の手助けにもなります。
普段は無意識に飲み込んでいますが、唾液は1日トータルでは1~1.5ℓ分泌されています。
口の中に常に1.5~3ml 存在しているといわれ、
一般に高齢になると分泌量が減少します。
パンやせんべい、芋類など、パサつくものが食べにくいと感じるようになると、
唾液分泌量が減少している可能性があります。
食べ物を噛むときに口の中の唾液が少ないと、食べ物がまとまりにくく、
噛み砕いたものを飲み込みやすい状態にまとめることができません。
食べ物の味わいにも影響します。
まとまっていないパサパサしたものは食べづらく、
誤って気管に入ってしまうと窒息の原因になることもあります。
そこでしっかり噛むことで口腔筋が刺激されて、耳下腺や顎下腺、
舌下腺といった大唾液腺から唾液が流出されます。奥歯でしっかり噛めてないと、
思うように唾液腺が刺激されず唾液の流出量が減少します。
また、基礎疾患で服用している薬の副作用の中に唾液減少を来たすものがあり、
高齢で唾液腺が萎縮してくることでの唾液減少に加え、
噛めて唾液の分泌を促すことにつながります。
薬の副作用による口腔乾燥についてはかかりつけ医や薬剤師に相談することで、
薬を変更してもらえるかもしれませんので、
心当たりのある方は一度相談してみると良いかもしれません。
次回もまた唾液について書きますね。
新型コロナウイルスの変異型が兵庫県でも増えてきています。
どうぞ、お気をつけください。