2024/12/19
こんにちは。訪問担当の岩本です。
今回は、歯周病と肥満が認知機能に及ぼす影響についてお伝えします。
認知症(認知機能障害)は世界で最も罹患者数の多い神経疾患ですが、未だに有効な予防法や治療法は確立されていません。
しかし、認知症の発症メカニズムの一つとして、脳内で起こる炎症が関与しているのではないかと考えられています。
さて、『肥満』ですが、全身に軽度の慢性炎症を引き起こすことで、様々な疾患のリスクを高めるとされています。
『歯周病』は局所の炎症性疾患であるにもかかわらず、原因となる歯周病菌やその産生する毒素が全身性の慢性炎症を引き起こし、心血管疾患や糖尿病などの疾患と関連することが報告されています。
広島大学の研究チームは、この両疾患に着目し、両者の相互作用が認知機能に及ぼす影響を検討しました。
高脂肪食を与えた中年期肥満マウスの口腔内に歯周病菌を塗布したところ、このマウスが認知機能障害を引き起こすことを発見しました。
肥満による全身の慢性炎症と、歯周病による局所的な炎症が組み合わさることで、全身の炎症レベルが上昇し、脳に悪影響を及ぼすようです。
具体的には炎症性物質や歯周病菌の毒素が血液を介して脳に到達し、神経細胞の損傷や脳内炎症を引き起こすと考えられています。
研究の結果、肥満と歯周病はそれぞれが独立して認知症のリスクを高めるだけでなく、相互作用によってその影響をさらに増大させる可能性があることが分かりました。
※広島大学Webサイトよりお借りしました
歯周病は、重度に進行するまであまり自覚症状が無い人もいます。痛みがないからと放置せず、歯科による定期的なメンテナンスを続けることが重要です。
体調により通院することが難しい場合は、訪問診療による口腔ケアという方法もあります。
歯科衛生士が週に一度、隅々まで清掃するだけでも歯肉の炎症や不快症状を改善することが可能です。
気になる方は、一度ご相談下さい。
2024/12/19
こんにちは。院長の谷田です。
口腔内光学スキャナー(Intra Oral Scanner)
歯型や口腔内の状態をデジタルデータで取り込む(光学印象)最新の医療機器。
当院の光学スキャナーDEXIS IS 3800Wでは口腔内の虫歯や粘膜の状態を映像化して見ることもできる最新の光学スキャナーです。
実際の動画のデモはこちら
https://www.tanidashika.jp/medical-facility/
● 利点
・歯型を取る時に今までのように粘土のような印象材を噛む必要がないので、気持ち悪さや嘔吐反射(えずき)から解放される。
・3Dデジタルデータをクラウドからそのまま技工所に送信、あとはコンピューター支援の装置で自動的に詰め物やかぶせ物を作成することによって、人的エラ-がない細部まで精密な技工物ができる。
・現在当院では保険診療での型取り(一部適用されないケースもあります)やインプラント治療・保険外治療での型取りに使用しています。
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2024/12/12
こんにちは。歯科医師の上原です。
今年も残すところあと半月ほどとなりました。
寒い日が続きますが、くれぐれも体調を崩さぬよう気をつけてお過ごしください。
今回はお口の中にできる石についてお話しさせていただきます。
お口の中にできる代表的な石といえば、みなさんがよくご存知の歯石です。
歯石は歯に付着したプラークが除去されずに長期間堆積することで石灰化した沈着物です。
プラークは歯磨きなどで除去できますが、
歯石になってしまうと自分で取り除くことができないため歯科医院で除去してもらう必要があります。
歯石があると歯肉に炎症が生じやすくなるため、歯石除去は歯周病予防のためにも大切です。
ついてしまった歯石は歯科医院で除去してもらい、日頃のセルフケアでプラークのうちに取り除くよう心がけましょう。
さて、お口の中にできる石としてもう1つ唾石というものがあります。
唾石は、唾液腺内や管内に唾液の成分であるカルシウムやリンが沈着してできる石です。
唾液腺(唾液を作る工場)には大唾液腺と小唾液腺があり、
唾石は大唾液腺の中でも顎下腺に形成されることが多い疾患です。
症状ですが、唾石により唾液の排出が阻害されると食事中に唾液腺が膨れ上がったり、
痛みを伴うこともあります。また唾石が形成されていても唾液の分泌を邪魔しない位置にあると無症状で経過することもあります。
唾液が分泌できない状態が長く続くと、唾液腺自体が機能を失ってしまいます。
歯科医院で撮影したパノラマX線写真(お口全体の写真)で偶然見つかることもあり、
唾石が見つかった場合には、位置の精査のためにCT検査を行うのが一般的です。
治療は、痛みや腫れなどの急性症状がある場合にはまず抗菌薬を内服していただき炎症を緩和させますが、
基本的には外科的に摘出を行います。顎下腺唾石の場合、顎下腺管の出口は下顎前歯舌側のひだ付近にあるため、
唾石の位置が出口に近く、唾石を触れることができる場合には局所麻酔下に口腔内の粘膜を切開して摘出が可能です。
顎下腺内や顎下腺に近い位置の唾石の場合は、入院しての全身麻酔下での摘出となります。
この場合唾石だけを摘出できるケースと唾石とともに顎下腺を含めて摘出するケースがあります。
顎下腺を摘出する場合には、あご下の皮膚を切開して摘出を行うことになります。
施設は限られますが、20年ほど前よりほぼ切開を必要としない内視鏡下での唾石の摘出も行われており、
ここ数年で内視鏡下で低侵襲に摘出を行う施設は増えてきています。
症状があれば歯科医院を受診されると思いますが、無症状に経過する場合もあり、
その場合には久しぶりに受診して撮影したパノラマX線写真で見つかることもあります。
症状が無くても歯科医院を受診することで、お口のクリーニングを行って歯周病を予防していくだけでなく、
他の疾患を早期にみつけることも可能となりますので、定期的な受診をおすすめします。
2024/12/03
こんにちは。院長の谷田です。
12月13日は「煤払い(すすはらい)の日」です。
古来より、この日に家中を清めて
新年を迎える準備をする習慣があり、
これが現在の「大掃除」の
ルーツになったといわれています。
今年のうちに身の回りをきれいにして、
気持ちも新たに新年を迎えたいですね。
さて、大掃除と同じくして、
お口の中も汚れを落として清潔にし、
日々快適に過ごしたいものです。
実は、お口の中では歯だけでなく、
舌の汚れもさまざまなトラブルの
原因となり得るため、注意が必要です。
◆舌の白い汚れの正体は?
鏡の前で舌を出したとき、
まるで薄雪が積もったように
表面が白くなっていることはありませんか?
この白い付着物は
「舌苔(ぜったい)」と呼ばれるもので、
食べかすやだ液の成分、口内ではがれ落ちた粘膜、
細菌などが原因で発生する舌の汚れです。
実は、この舌苔が
口臭の主な発生源となっているのです。
これは、舌苔に含まれる細菌が
悪臭のもととなる物質を作り出すためで、
舌苔が厚くなると
口臭も強くなってしまいます。
さらに、舌苔が厚くなると味覚を鈍らせ、
味を感じにくくさせるおそれもあるため、
気になる方はしっかり対処しましょう。
◆舌苔が増えやすくなる環境に要注意!
先に述べたように、舌苔は厚くなるほど、
口臭などの悪化リスクが高まります。
とくに、以下の環境下では
舌苔が厚くなりやすいため、注意が必要です。
・不衛生な状態
歯みがきが不十分な場合、
口内が不衛生になり、菌やはがれた粘膜が
舌に付着しやすくなります。
・乾燥した状態
口内でだ液の分泌量が減少し、
だ液が持つ自浄作用や
殺菌作用が十分に機能せず、
舌苔が厚くなる原因となります。
口呼吸やストレスなど、
無意識な習慣も乾燥の原因となるため、
日頃から意識的に対策することが望ましいです。
◆今日から実践! 正しい舌ケア法
舌苔を予防・除去するためには
「舌ケア」が効果的です。
以下のポイントをおさえて、
毎日の習慣にしましょう。
・専用の舌ブラシを使用する
表面を傷つけないように、
やわらかい素材の舌ブラシの使用がおすすめです。
・奥から前方へ、一方向に動かす
舌の奥から前方へ、
一方向に優しく舌ブラシを動かします。
少しずつ横に移動しながら、
3回程度で汚れをかき出しましょう。
・1日1回、起床時に行う
寝ている間に細菌が増殖するため、
朝一番のケアがおすすめです。
・やりすぎに注意
舌はとてもデリケートな部位です。
一度にすべての舌苔を取り除こうとはせず、
数日かけて少しずつケアしていきましょう。
◆舌ケアの疑問は歯科医院で解決!
舌のお手入れは
ご家庭でも簡単に行えますが、
誤ったケアは思わぬトラブルを
引き起こすおそれがあります。
力を入れすぎたり、
過度にケアを行ったりすると
舌を傷つけてしまい、
かえって口臭が強くなることもあるため
注意が必要です。
当院では、一人ひとりのお口の状態に合わせて、
正しい舌ケアの方法をアドバイスしています。
舌の状態にお悩みがある方は、
お気軽にご相談ください。
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2024/11/28
こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
前回は高血圧についてお伝えしましたが今回は糖尿病についてです。
歯科との関連が高く気を付けるべき疾病のひとつです。
「糖尿病はインスリンの作用不足から生じる慢性高血糖を特徴とする代謝疾患である」
糖尿病は種々の遺伝因子と環境因子によって発症するとされ、
その発症様式は様々であるが共通しているのはインスリンの作用不足です。
糖・タンパク・脂質代謝等の広範かつ特異的な異常を招き、
特に持続する高血糖や糖認容力低下は糖尿病の特徴的病態です。
口渇、多飲、多尿、体重減少等、特徴ある諸症状が現れることがあり、
重篤になれば昏睡に陥ることもありますが、軽症の場合は自他覚症状がない場合が多いのです。
病態の改善には食事療法、運動療法、インスリンや経口血糖降下剤等の投与が有効です。
「歯科との関連」
糖尿病患者では感染の合併頻度が高く、一度感染すると慢性化して難治性になりやすい特徴があります。
これは代謝異常に伴う感染防御機構の機能低下が関与しており、また血管障害のため、
組織への酸素供給が低下することも難治の原因となるのです。
歯周病は慢性炎症性疾患であり、歯周病患者には糖尿病患者が多くみられます。
これは前述の生体防御機能の低下が関係しており、感染症が糖尿病を憎悪させることも知られています。
感染症に罹患するとインスリンの作用に拮抗するホルモンが血中に増加し、
インスリン抵抗性が増すためであると考えられています。
従って歯周病治療を行うことは、糖尿病のコントロール状態の改善にもつながるといえるでしょう。
糖尿病のコントロールが不良な状態では、尿に多量の糖が出るため尿の浸透圧が上昇し、
これが浸透圧利尿の原因となって尿量が増加します。
この結果、皮膚や粘膜の乾燥が起こるのです。
口腔乾燥は口腔内の衛生状態を悪化させ、歯周病を悪化させる原因になります。
高血糖は血漿浸透圧を上昇させるため、口渇と多飲が起こると考えられています。
糖尿病の患者数はきわめて多く、その約半数が高齢者とされています。
従って歯科治療にあたって患者が糖尿病に罹患していないかを確かめることは重要であり、
歯科治療時には内科主治医と連携して治療内容やコントロール状態を把握したうえで
処置を行う必要があります。
また痛みのために食事が十分摂れていない患者では歯科治療中に低血糖症状が起こることもあり得るので、
低血糖が示唆されたらその場で可能な処置(患者が低血糖時用に持っている菓子を食べさせる、
ブドウ糖を投与する等)を行う必要があります。