2020/12/10
こんにちは、歯科医師の武田です。
「歯を守るための力のコントロール」について数回にわけて
お話しさせていただいております。
どうぞよろしくお願いします。
◆ 犬歯誘導とは
顎が側方へ滑走運動をするときに、臼歯が離開し側方圧が
かからず臼歯の保存に役立つという考え方をDis-occlusion
という。それを短縮してDisclusionと呼ぶが、
あくまで離すことを主体とした概念である。
現在でも「臼歯を離す」概念として
アンテリアガイダンスを考えることが多いようだが、
本当にそうなのだろうか。
修復物を咬合器という機械の上でつくる際に、
犬歯がわずかでも動いたら、臼歯部に離開が生じるように
臼歯の咬頭を作れば(Immediate disclusion即時離開咬合)
干渉が生じにくい安全性のある修復物が容易に作れる。
そして犬歯による離開を助けるために、過補償を考える
咬合器の顆路角を実際より10~15%ほどゆるい角度に
設定したり、咬頭の高さを低くすることで、
離開量を多くして干渉から余分に逃げようとした。
安全だが臼歯の咬頭の展開角が低くなり、
咀嚼効率を低下させてしまい
顎位も不安定となり、
側方成分の多いチューイングサイクルをつくり、
臼摩運動を助長し、余計に犬歯に負担をかけてしまう。
つまり、単に犬歯を鋭く立ち上げるのではなく、
また臼歯を低くするのでもなく、
両者のバランスが大切なのである。
全顎治療のときは、咬合平面、調節彎曲、AODの計算
上下の犬歯関係、咬合平面に対する犬歯の傾斜、
臼歯の咬頭の展開角などの多くの変数を考慮する
単に臼歯を離開させて終了と考えてはならない。
◆ AOD Angle of disclusion
離開の度合いを表す指標としてAODがある。
AOD=RCI-(CI-OP) という数式で表される。
AODは8~14°で臼歯は適切な離開が得られる。
15°以上では離開が大きく効率が悪い
8°以下では離開が少なく、干渉の可能性がある
0°ではフルバランスで離開しない
*RCI Relative condylar inclination … 相対顆路角
SCI(前方顆路角)-OP(咬合平面の角度)=RCI
*CI Cusp inclination … 咬頭の傾斜角
◆ 為害性のある機械的要素
下顎が偏心位に動いて、臼歯に干渉が生じる
「機械的」な要素を考えてみる
まずは前方顆路角がゆるい場合。
関節結節がゆるい角度だと、運動時に臼歯が
下がる量が少なく干渉となりやすい。
反対にあまり急角度では咀嚼効率が低下する。
下顎頭の動きに横方向の成分が大きい
(サイドシフトが大きい)場合にも干渉が生じやすい。
歯の位置異常(特に犬歯)、前歯が短い場合
また被蓋が適正でない場合などがあげられるが
これらは幾何学的に計算できるものである。
◆ 為害性を生じる生理的要素
頭蓋は剛体ではなく、力を加えれば変形し、
骨縫合も力によって容易にズレを示す。
また開口筋は下顎骨の内側に付着しており
大開口を続ければ下顎骨は変形し下顎の幅は狭くなる。
インプラントのオープントレーの印象では
インプレッションコーピングの長さ以上の
大開口で印象材の硬化を待つので、
歯列のアーチが小さい状態の模型ができあがる。
その模型上で上部構造の連結などの作業をしても
よいのだろうか、わずかな歪みではあるが、
解放されない残留応力が何かの悪さを
するかもしれないと悩みはつきない。
今回の「いただきます」
Sinless NO SUGAR Café ティラミスパフェ
(低糖質、LOW GI、グルテンフリー)
NYチーズケーキ、タルト・タタンもおすすめ
歯の健康、美しさを保つには、
定期的なクリーニングがとても大切です
ぜひタニダ歯科クリニックで定期健診を。
ご来院お待ちしております。