「歯を守るための力のコントロール Ⅱ」

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

「歯を守るための力のコントロール Ⅱ」

こんにちは、歯科医師の武田です。

「歯を守るための力のコントロール」について数回にわけて

お話しさせていただいております。

どうぞよろしくお願いします。

 

◆ 犬歯誘導とは

 

顎が側方へ滑走運動をするときに、臼歯が離開し側方圧が

かからず臼歯の保存に役立つという考え方をDis-occlusion

という。それを短縮してDisclusionと呼ぶが、

あくまで離すことを主体とした概念である。

現在でも「臼歯を離す」概念として

アンテリアガイダンスを考えることが多いようだが、

本当にそうなのだろうか。

 

修復物を咬合器という機械の上でつくる際に、

犬歯がわずかでも動いたら、臼歯部に離開が生じるように

臼歯の咬頭を作れば(Immediate disclusion即時離開咬合)

干渉が生じにくい安全性のある修復物が容易に作れる。

 

そして犬歯による離開を助けるために、過補償を考える

咬合器の顆路角を実際より10~15%ほどゆるい角度に

設定したり、咬頭の高さを低くすることで、

離開量を多くして干渉から余分に逃げようとした。

安全だが臼歯の咬頭の展開角が低くなり、

咀嚼効率を低下させてしまい

顎位も不安定となり、

側方成分の多いチューイングサイクルをつくり、

臼摩運動を助長し、余計に犬歯に負担をかけてしまう。

 

つまり、単に犬歯を鋭く立ち上げるのではなく、

また臼歯を低くするのでもなく、

両者のバランスが大切なのである。

 

全顎治療のときは、咬合平面、調節彎曲、AODの計算

上下の犬歯関係、咬合平面に対する犬歯の傾斜、

臼歯の咬頭の展開角などの多くの変数を考慮する

単に臼歯を離開させて終了と考えてはならない。

 

◆ AOD Angle of disclusion

 

離開の度合いを表す指標としてAODがある。

AOD=RCI-(CI-OP) という数式で表される。

AODは8~14°で臼歯は適切な離開が得られる。

15°以上では離開が大きく効率が悪い

8°以下では離開が少なく、干渉の可能性がある

0°ではフルバランスで離開しない

 

*RCI Relative condylar inclination … 相対顆路角

SCI(前方顆路角)-OP(咬合平面の角度)=RCI

 

*CI Cusp inclination … 咬頭の傾斜角

 

◆ 為害性のある機械的要素

 

下顎が偏心位に動いて、臼歯に干渉が生じる

「機械的」な要素を考えてみる

 

まずは前方顆路角がゆるい場合。

関節結節がゆるい角度だと、運動時に臼歯が

下がる量が少なく干渉となりやすい。

反対にあまり急角度では咀嚼効率が低下する。

下顎頭の動きに横方向の成分が大きい

(サイドシフトが大きい)場合にも干渉が生じやすい。

歯の位置異常(特に犬歯)、前歯が短い場合

また被蓋が適正でない場合などがあげられるが

これらは幾何学的に計算できるものである。

 

◆ 為害性を生じる生理的要素

 

頭蓋は剛体ではなく、力を加えれば変形し、

骨縫合も力によって容易にズレを示す。

また開口筋は下顎骨の内側に付着しており

大開口を続ければ下顎骨は変形し下顎の幅は狭くなる。

インプラントのオープントレーの印象では

インプレッションコーピングの長さ以上の

大開口で印象材の硬化を待つので、

歯列のアーチが小さい状態の模型ができあがる。

その模型上で上部構造の連結などの作業をしても

よいのだろうか、わずかな歪みではあるが、

解放されない残留応力が何かの悪さを

するかもしれないと悩みはつきない。

 

 

今回の「いただきます」

 

Sinless NO SUGAR Café ティラミスパフェ

(低糖質、LOW GI、グルテンフリー)

 

NYチーズケーキ、タルト・タタンもおすすめ

 

 

歯の健康、美しさを保つには、

定期的なクリーニングがとても大切です

ぜひタニダ歯科クリニックで定期健診を。

ご来院お待ちしております。