西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

舌の力

こんにちは。訪問担当の岩本です。

今回は「舌の力」についてお伝えしていきたいと思います。

 

口の機能でとても重要な役割を果たす「舌」。

食べるとき、話すとき、舌は無くてはならない器官です。

 

食べ物が口に入ってきたとき、

舌は奥歯のかみ合わせ面に食べ物を運んで、かみ砕けるようにします。

また、味や温度を感知し、異物(魚の骨など)をうまくより分けることもできます。

唾液の分泌を促し、食べ物に消化液を混ぜ合わせ、飲み込みやすい形にまとめあげます。

そして、上顎に舌を押し付けることによって、食べ物を口の奥に運び、嚥下できるようにします。

 

言葉を話すときは、舌を上顎や歯茎の部分にあてることによって

色々な種類の音を出すことができます。

舌は柔軟にその形を変え、上顎にくっつけたり離したりして音の区別を作ります。

 

このように大切な「舌」ですが、残念なことに、加齢とともに機能は衰えます。

舌は筋肉の塊ですので、その筋肉量の減少や、筋力の衰えによって

 

滑舌が悪くなる

よく舌を噛んでしまう

食事に時間がかかるようになる

嚥下がしづらくなる

飲み込んだ後に口の中に食べ物が残ったままになる

 

といった症状が現れることがあります。

 

 

加齢による舌の機能低下は、トレーニングやリハビリを行うことにより、

低下のスピードを緩やかにすることが可能です。

そこで、現時点での機能低下の程度や、

その後の変化を調べることが必要となってきます。

 

舌の運動機能については、その

「運動できる範囲」

「筋力」

「巧緻性(器用さ)」

で評価を行います。

 

運動範囲(可動域)検査では、

左右の口角をなめることができるか、

前方・上方・下方に突出できるか、を調べます。

筋力が落ちていると前に突き出すことができません。

 

筋力については、舌圧計という機械で測定します。

プローブの先についているバルーンを口腔内に入れ、これを舌と上顎で挟んで潰すようにします。

その時の力を測定します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最大舌圧の年代別標準値は、成人(2959歳)で男性は45±10kPa、女性で37±9kPaですが、

60歳代になると38±9kPa70歳代では32±9kPaと低下します。

最大舌圧が30kPaより低下しますと、「低舌圧」とされます。

 

巧緻性については、オーラルディアドコキネシスという方法が用いられます。

これは、パ、タ、カの音をそれぞれ一定時間(5秒間)に何回発音できるか(「パパパ」)というテストです。

回数を数える機械もありますが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

録音して数えたり、スマートフォンのアプリで数えることもできます。

一秒間に6回未満しか発音できない場合に「舌の機能低下あり」とされます。

 

 

また、こういった舌の機能低下は、「食べられる食形態」にも大きく影響することがわかっています。

その人の状態に合った食形態を選ぶことにより、誤嚥や低栄養状態を予防するといった面からも、

これらの検査は有意義であると思われます。