2021/05/20
こんにちは、歯科医師の川村です。
今回は、親知らずに関してです。
先ずは、親知らずって何?
専門的には、第三大臼歯(智歯)と呼ばれています。
前歯から数えると8番目にあたる歯になります。
一番最後に、一番奥に生えてくる永久歯です。
元々ない方もいます。
一番最後に生えてくるために顎骨の中で
生えてくるスペースが不足しがちで、
正常に生えてくるのが難しくなります。
このことが原因で腫れたり痛みが出てきたりします。
<智歯の疾患として・・・>
①智歯周囲炎
奥歯の辺りが腫れて痛い場合、智歯周囲炎かもしれません。
齲蝕ではなく、智歯周囲組織の炎症です。
智歯は、歯列の最後方で半埋伏(中途半端に生えている状態)
になることが多いです。
この状態では、歯の一部が口腔内に出ていても他の部分は粘膜で覆われています。
そのために粘膜と歯との間に深い歯周ポケットが形成されて、
その中で細菌が増殖して炎症が起こることがあります。
また、盛り上がった粘膜を咬んでしまい、傷が出来て起こることもあります。
下顎に起こることが多いです。
②萌出するときの痛み
智歯が萌出するときに、周囲の歯茎や隣の第二大臼歯を押してしまうために生じ
ることがあります。
智歯が萌出するスペースがあれば断続的な痛みが続いた後、歯茎が膨らんできて
萌出してきます。
萌出スペースが不足すると押す力が強くなり痛くなることがあります。
③齲蝕
智歯は一番奥にあるため歯ブラシが届きにくいため、デンタルプラークの除去が
困難で不潔になりやすく、齲蝕になりやすい傾向があります。
他の歯と同様に齲蝕の痛みが出てきます。
<治療方法>
智歯周囲炎の場合、急性炎症時は安静と局所洗浄、
抗菌薬の投与、鎮痛剤の投与を行います。
加えて、膿瘍(膿がたまった状態)が出来ていれば、
切開して排膿(膿を出す)を行います。
ただし、炎症が軽快しても智歯がある限り再発を
繰り返すことがあるために、抜歯をすることが多いです。
症状があるときに抜歯をすると、麻酔が効きづらかったりするので、
症状が軽快してから抜歯を行うことが多いです。
<抜歯の後に・・・>
抜歯後に起こりやすいのは、腫れと痛みです。
特に下顎の智歯抜歯後には腫れることが多く、
骨を削ったりすると腫れが出やすいです。
腫れが外に広がると頬が膨らんで見えて、上方へ向かうと顎の関節周囲
に近づくために口が開けづらくなることがあります。
腫れに関しては、抜歯後2~3日がピークで大体は1週間程度で
収まることが多いです。
抜歯後に多いトラブルとしては、ドライソケットと呼ばれる症状があります。
抜いた箇所がズキズキと痛み出すことがあります。
通常は、抜いたところの穴の部分は、血餅(血の塊)で満たされます。
その血餅がとれた状態がドライソケットです。
下顎に起こりやすいですが、予測は困難です。
この場合は、傷口に軟膏のガーゼを詰めて蓋をし、
頻回のガーゼ交換、消毒をしながら傷口の回復を待ちます。