2021/06/10
こんにちは、歯科医師の森岡です。
このブログをご覧の方の中にも「小さい頃から歯が弱くて、、、」と
何度も虫歯ができてしまい、繰り返し治療のために歯科医院に
通われる方はいらっしゃいませんか。
今回は「虫歯を治す」ではなく「虫歯をなくす」ことに焦点を当て、
予防の重要性、どうして定期健診に来ていただきたいかということを
改めてお話させていただきます。
まず前提として歯科医師が歯を削って詰めれば虫歯は治るという考えは要注意です。
治療後に虫歯の原因が改善されていなければ、
結局また新しい虫歯ができてしまいます。
歯に穴が開くのは、口腔内の様々な細菌が出す酸
(もしくは食べ物や飲料水に含まれる酸)が歯を硬くする
力に勝り歯を溶かしていくからです。
そのような口腔内の環境は飲食や歯磨き、日々の生活環境から作られていきます。
つまり虫歯の予防のためには、虫歯の原因を知り、
虫歯に関わる因子をコントロールできる生活習慣を患者様自身が
作り上げることが最も重要になります。
それでは今回は虫歯に関わる因子を順に3つ説明させていただきます 。
歯の表面に付く細菌の塊、バイオフィルムの中には虫歯や
歯周病の原因となる細菌が1mgに2~3億いるといわれています。
虫歯で歯が溶けるのは、バイオフィルム内の細菌が口に入ってきた糖を
栄養にして酸を出すためです。
つまり虫歯菌の住処であるバイオフィルムを取り除くことが
虫歯を予防する第一歩となるのです。
またバイオフィルムは薬剤や水流では落とせないので歯ブラシや歯間ブラシ、
フロスなどをしっかり当てることが重要です。
毎日磨いていても磨き残しのある部位(バイオフィルムが付着し続けている部位)は
1年中磨いていないのと同じです。
歯科医院の定期健診ではでは磨き残しの部位を確認しています。
始めは難しいかもしれませんが、
健診などを通して正しい歯磨きを身につけましょう。
フッ素の働きは、①歯の修復を早める(再石灰化促進)、
②歯が溶けるのを遅らせる(脱灰抑制)、③歯の結晶を強くする、
④最近の活動を阻害する、の4つでこれらの働きにより虫歯の進行を遅らせてくれます。
子供へのフッ素塗布を不安に思う方もいると思いますが、
乳歯や生えたての永久歯は資質が弱く、
とても虫歯になりやすいためフッ素による予防を実践していただきたいと思います。
虫歯を引き起こす細菌は、糖を栄養にしてエネルギーを得る際に酸を出し、
歯を溶かします。糖をたびたび摂取していると、
細菌が絶えず酸を出すようになり口の中が虫歯になりやすい環境へと変化します。
糖を摂らなければ虫歯にはなりませんが、
現代社会で糖を摂らない食生活を送ることは不可能といってよいでしょう。
虫歯予防という点では、糖の量を控えることより回数を減らすことのほうが重要です。
1日に少量の砂糖を何度も食べた人のほうが、
食事の時にだけ大量の砂糖を食べた人よりも虫歯が多く、
砂糖の摂取が4回以下だと虫歯が少なかったという報告もあります。
甘いものが欲しい時には、
キシリトールなど虫歯の原因になりにくいもの代用糖を有効に利用してください。
以上の虫歯のメカニズムを理解して虫歯になりにくい生活習慣を作ることが、
治療の繰り返しをなくし、歯を健康に保つ鍵となります。
少しの知識を得て簡単なことを
いくつか行っていただければそう簡単に虫歯にはならなのです。
よかったら皆さんも虫歯予防の意識を持ち、実践してみてください。