2021/09/16
こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
訪問歯科診療を依頼する時、それはどんな時でしょうか。
居宅または施設などで療養し、疾病、
傷病のため通院による歯科治療が困難な患者に対して、
①患者の求めに応じて訪問し、屋内で診療を行った場合、
②継続的な訪問診療の必要を認め、患者の同意を得て訪問し、
屋内で診療した場合に、訪問歯科診療として扱うことになります。
〈訪問歯科診療の対象者〉
通院による歯科診療が困難な者であって、
居宅または社会福祉施設などで療養している者が対象となります。
社会福祉施設とは、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、
歯科標榜しない診療所や病院などが該当します。
もっとも診療所から16km以上離れた場所にある居宅または
施設は訪問診療の対象になりません。
訪問歯科診療の依頼は、
患者さんご本人またはそのご家族から求められることが多く、
ケアマネージャーや施設関係者から依頼される場合もあります。
その場合はケアマネージャーなどから患者さんの情報を聞き、
密に連携をとりながら診療を進めます。
〈訪問歯科診療の診療範囲〉
「歯科訪問診療における基本的考え方(2004年)」より
歯科訪問診療における妥当と思われる処置の範囲として、
高い技術度や、正確性を要求される処置や危険性を伴う処置には必要な設備、
人員を備えた施設で行うべきであり、複雑にならない保存、補綴、
歯周処置および咀嚼に関する指導が通常の訪問診療の範囲と考えられる。
また歯科訪問診療における妥当と思われる手術の範囲として、
高い技術度、正確性および厳密な滅菌処置を要求される
手術(歯肉剥離掻爬手術等)については該当しない。
簡単な抜歯、歯槽骨整形手術、歯槽膿瘍の口腔内消炎処置、
口腔外消炎処置、顎関節脱臼非観血的整復術等が該当する。とされています。
居宅内では、治療に必要な器具を置くスペースが限られており、
必要最小限とすべきで、診療形態は術者と介助者を含めた複数での診療が望ましい。
ともされています。
難しく表現されている様に感じられるかもしれませんが、
ここにあるのは大切な事で、訪問歯科診療ではできる治療に限りがあります。
また同じ「歯を抜く」といった処置でもできる方とそうでない方とがあります。
抜く歯の形といった事ではなく患者さんご本人の全身状態も
考慮しなければならないからです。
訪問診療では治療の進む速度が遅く感じるでしょう。
内科の先生と相談したり、
場合によっては歯科口腔外科を受診してもらう場合があります。
とはいえ、私達は可能な限り食事を楽しく摂って頂ける様、
お口の健康をサポートして参ります。