2021/12/02
こんにちは、歯科医師の池田です。
どんどん寒くなってきていますね、
そのため体調管理が難しくなっているなってきて
いますが、鼻炎などの症状が続くと歯の方にも
影響がでてくる病気を今回はお話ししようと思います。
上顎洞炎という病気があり、
これは鼻腔の炎症が上顎洞に拡がる
ことによって起こります。
風邪もそうですが、花粉症などの
アレルギー性鼻炎や蓄膿症などが
続くと鼻腔の炎症が上顎洞に拡がって
いきます。
上顎洞は、顔の骨にある空洞(副鼻腔)の
ひとつで、頬骨と歯の間にあります。
奥歯にかなり近いため、噛んだり、
響くようなこと(走ったり)をすると歯に
痛みがでます。
これは上顎洞から歯に炎症が
広がっているため、歯に原因は
ないのですが歯に症状がでてきます。
このような場合には、耳鼻科での治療が
メインとなり上顎洞炎が治ると奥歯の
痛みも治まっていきます。
逆に歯が原因で上顎洞炎を
起こすこともあります。
歯性上顎洞炎といい口腔内で
発生した炎症・感染症が上顎洞に
波及することです。
主に上の奥歯が原因になります。
歯に細菌がわるさをする状況では、
近くに存在する上顎洞にまで細菌が
広がってしまうことがあります。
その結果、上顎洞にも炎症が
引き起こされ膿が溜まるようになりますが、
こうして発症するのが歯性上顎洞炎です。
歯性上顎洞炎は、上顎洞炎に対する
治療のみで完全に治すことは難しいです。
上顎洞炎の治療を対症療法的な位置付けで
行いつつ、根本的な原因となっている
口腔内の病変に対する治療を行うことが
重要です。
すなわち歯性上顎洞炎の治療は、
口腔内と上顎洞との両方に対して治療を
行うことが必要です。
口腔内の治療は原因となっている
歯の病変を特定することが重要です。
原因となっている虫歯や歯周病が
ある際には、抜歯を含めて歯科的な
治療を行うことが必要です。
病変によって治療法が変わってくるため、
実際に抜歯を行う必要があるかどうかを
含め病状を正確に判断して治療法を
選択していきます。
上顎洞の炎症に対しては、
抗生物質の使用、膿のドレナージ、
上顎洞の洗浄などが行われます。
使用する抗生物質としては、
それまでの経過や原因となっている
菌などの情報をもとに、
ペニシリン系などを
選択することになります。
歯性上顎洞炎が続くと
膿が溜まっていき骨を溶かしていきます。
口腔内と上顎洞の間にある骨を
溶かしてしまうので、口腔内と上顎洞に
穴があき繋がってしまうことがあります。
ここまで炎症や膿が溜まってしまうと、
歯の治療だけでは改善せず、
上顎洞に対しても外科的な治療が
必要になってきます。
急性の場合には、歯の痛みに続いて、
悪臭を伴う膿を含む鼻汁や頬部の
痛みがでます。
慢性の場合には、
歯に膿がたまっていても痛みが
少ないため気付きにくくなっています、
そのためレントゲン写真を撮って
気付く場合もあります。
定期的にレントゲン写真を
撮ることで、前の写真と比較し、
膿がたまってきているのか、
骨が痩せてきていないかを
チェックすることが大切です。
特に慢性の場合には、症状が
出にくいため定期健診などの
レントゲン写真が重要になってきます。
定期健診の際、レントゲン写真を
撮らせてもらいチェックをしていますので
気になる方は気軽に質問してくださいね。