2021/12/09
こんにちは。歯科医師の森岡です。
最近予防の意識が高まり、
歯科でも定期健診の受診率が高くなってきています。
しかし、それでもまだ日本人の歯科における
定期健診受診率は他の先進国に比べて低いという記事をよく見かけます。
本日はそんな日本人の歯を失う原因と失わないためには
何をすべきかとういことをお伝えさせていただきます。
まずは歯を失う原因からお話しします。
歯を失う原因の第3位は「歯の破折」です。
歯の破折原因となるものに事故などの外傷もありますが、
他にも食いしばりや歯ぎしり、
そのダメージを負った歯で硬いものを噛むことによって割れてしまう、
つまり自分の歯で割ってしまう可能性もあります。
しかし健康な歯というのは割れることは非常に少ないのです。
大多数は神経をとっていたり、大きな虫歯治療の既往があったり、
歯の残っている部分が薄くなり割れることがほとんどです。
特に歯の神経の治療をしている歯は神経を取ることで
中身が空洞化しもろくなってしまうので要注意です。
第2位は「虫歯」です。
虫歯は中等度以上にならないとしみるなどの症状が出にくいので、
発見が遅れてしまうことが多くなります。
虫歯が原因で歯を大きく削った場合や、
虫歯が歯を支える骨の近くまで進行している場合は歯を抜く適応になってきます。
特にかぶせ物の中などで虫歯が進んだケースでは
症状がないため気づきにくく、
被せ物を外してそのまま歯を抜かなければならないということが起こりえます。
そして第1位は皆さんの予想通り「歯周病」です。
歯種病は「Silent Disease」と言われるように
自覚症状がほとんどないのが怖いところです。
歯周病によって歯がぐらぐらする、歯茎が腫れる、
咬みづらくなるなどの症状を自覚したときは既にかなり進行している状態です。
特に歯が揺れるほど周囲の骨が失われているケースでは
歯を残すことが難しくなることもあります。
それでは歯を失わないためには何をするべきか、
スウェーデンなどの歯を多く残している先進国などと
比べて日本は何が違うのか、
それはやはり定期健診の受診率です。
定期健診に行くだけで歯を残せる確率が
かなり高まりご自身の歯でお食事をしていただけるようになります。
スウェーデンでは80歳で平均20本の歯が残っているといわれます。
そして定期健診の受診率は90%以上です。
日本人の受診率も向上していますが、
まだまだ遠く及びません。
日本には健康保険という国民皆が一定の医療を安価で受けられるという
素晴らしい制度があります。
しかし、その分予防や健康に対しての意識が低くなってしまいがちのようです。
歯を失ってお食事を楽しめなくなってしまう前に、
しっかり定期健診を受診し、
ご自身の歯を守っていきましょう。
私たちもそのお手伝いをさせていただきます。