2022/01/20
こんにちは。歯科医師の法貴拓也です。
オミクロン株が猛威を奮っているので
今まで以上に感染に気をつけながら過ごしてください。
さて今回は、妊娠時に発症しやすい歯科疾患についてお話ししたいと思います。
まずは虫歯です。妊娠中に虫歯の発症と進行が促進される原因として、
妊婦の内分泌機能の変化による唾液の酸性化、粘性化、分泌量減少、
ビタミン新陳代謝障害、食事や間食回数の増加、
つわりで口腔清掃が不良になったことによるプラーク停滞や
口腔内細菌の増加による口腔環境の悪化が考えられます。
歯肉炎と妊娠性エプーリスは、妊娠8〜32週の間に多くみられ、
歯肉の炎症が強くなる発赤と浮腫があり、出血しやすくなります。
原因として、プロゲステロンなどの女性ホルモンが血中に増加することで、
P.intermediaの発現が促進され、炎症が起こることがあると考えられています。
しかし、妊娠中の歯肉炎の多くは妊娠する前にすでに存在しており、
妊娠によって口腔内の変化が起こり、憎悪したものです。
プラークコントロールを良好にすることで、
炎症を最小限に抑えることができ、
歯石が沈着している場合はその除去を行うことで改善しやすいと考えられます。
妊娠性歯肉炎に対して、歯間乳頭部および辺縁歯肉が球状あるいは
扁平状に増殖したものを妊娠性エプーリスです。
血管腫性の炎症清掃変化であり、出産後に自然消失する場合がほとんどですが、
日常生活に支障がある場合は外科的に切除を行うこともあります。
妊婦の口腔内は、妊娠中に分泌量が増加しているエストロゲンや
プロゲステロンなどの女性ホルモンの影響を受けてるとともに、
妊娠中の食生活や嗜好の変化、ストレスの影響を受けやすくなります。
妊婦が重度の歯周病に罹患していると、
炎症性サイトカインが子宮収縮物質の産生を促進し、
胎盤の早期剥離から早産を起こしやすくなると言われています。
炎症の程度によっては、歯周病原性細菌がそのまま血流を介して胎盤へ移行し、
胎児の発育不全や低出生体重児出産などを引き起こす可能性があると言われています。
また、親知らずは清掃不良となりやすく、
妊婦では女性ホルモンの影響による歯肉腫脹によって
智歯周囲炎が起こりやすくなります。
通常では、抗菌薬の投与や抜歯で対処しますが、
妊娠中では投薬や外科処置に制限があるため、
安全性に十分配慮してしたうえで適切な消炎処置を図る必要があります。
気になる事があれば気軽になんでも相談してください。