2022/04/07
こんにちは。訪問担当の岩本です。
今回は、フレイルについてお伝えします。
「フレイル」という言葉は、 日本老年医学会が2014年に提唱したもので、
「Frailty(フレイルティ)」が語源となっています。
これは「虚弱」「老衰」「脆弱」などの意味を持ち、主に身体の状態を指しています。
「フレイル」とは、更に精神的、社会的な意味合いも加わった言葉であり、
生活機能の観点から見て「健康」と「要介護」の間にいる状態を指す呼称です。
身体的フレイルのチェック項目には、以下のようなものがあります。
・体重減少:半年で2㎏以上の減少
・疲労感:ここ2週間わけもなく疲れたような感じがする
・活動量低下:週に1回も運動をしていない
・歩行速度低下:横断歩道で青信号の間に渡れない
・握力低下:男性は28kg、 女性は18㎏以下
これらのうち、3項目あてはまると「フレイル」状態とされます。
さて、このような全身機能の低下に伴い、
口腔の機能も低下します。
こちらは「オーラルフレイル」と呼ばれています。
口腔機能の低下は栄養摂取量の低下に直結するため、
全身のフレイルをさらに悪化させる悪循環となります。
オーラルフレイルの場合は、
・歯や義歯の状態
・唾液の分泌量や、衛生状態はどうか
・咀嚼筋の強さはどうか
・舌は動かせるか
・嚥下の機能は保たれているか
などで評価を行います。
若いころは定期的に歯科でメンテナンスを受けていたような人でも、
心身の機能低下により通院が出来なくなり、長く放置状態となることがあります。
特に入退院や施設入所などで移動を繰り返している間に、
義歯を紛失して噛めなくなっていたり、
体調不良によってセルフケアが疎かになり、
歯周疾患が急激に悪化していることがよくあります。
また、口の中は脚や腕と違い、外からは見えにくい部分であるため、
同居家族であっても、不調に気づかないことがあります。
また、長く不調であるとそれに慣れてしまって、
ご本人も敢えて訴えなくなっていることもあります。
厚生労働省によるとフレイルとは、
『加齢とともに心身の活力が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、
生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、
一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像』
と定義されており、介入の有無が重要ポイントと考えられています。
外出が難しい体調となり、
しばらく歯科への通院が途絶えているような場合は、
訪問診療という方法があります。
歯科訪問診療は、外来通院での治療と同じとは限りません。
ご本人の体調を考え、無理のない範囲で
ご希望に沿う方向性を検討していきます。