西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

健康の概念

こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
突然ですが「あなたは健康ですか?」と問われると、皆さま何と答えるでしょうか。

「疾病」または「異常」は、その多くが特定の器官や臓器
あるいは部位に存在するものであるのに対し、
「健康」は全身的な状態に対して述べられるところに特徴があります。
つまり、どこが良好だから「健康」であるというのではなく、
全体的にバランスがよくとれているかどうか、
しかもよく機能しているかどうかということであって、
あくまで「健康」は〈個〉として考える概念ということになります。
また一般的に「健康」と「疾病」は対立概念としてとらえられることが多いですが、
実際には「健康」と「疾病」の間には「半健康」「半病人」
「調子が悪い」「具合が悪い」などさまざまな中間状態が存在しており、
両者をはっきりと区別できないことの方が妥当ではあります。
つまり健康状態から徐々に「健康」が阻害され、それが高じて疾病状態(不健康)となり、
極端な場合には死に至る。このような極端な場合を除けば、
一般には再び回復して健康状態に戻るというのが普通です。
これが【健康の連続概念】というものです。

WHO(世界保健機関)は1946年、次のような健康の定義を発表しました。
『健康とは身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であって、
単に病気や病弱でないということではない。
到達しうる健康の最高の水準を享受することは、人種、宗教、政治的信条、
経済的、社会的状況にかかわらず万人の権利のひとつである。
政府はその国民の健康に対して責任があり、それは適切な健康上の、
そして社会的な方策を提供することによってのみ成就できる。』
と述べ、あらゆる状況下での人々が健康になりうる権利を有すること、
および国民の健康に対する政府の責任を明確にしています。
わが国では、憲法第25条において「すべての国民は健康で文化的な
最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活場面について社会福祉、
社会保障および公衆衛生の向上および増進に努めなければならない」と規定し、
国民の基本的人権のひとつとして“健康権・生存権”を保障しています。
健康とは、毎日の生活のための資源と見なされるものであって、
人生の目的とは異なります。また身体的能力だけでなく公衆衛生や
個人の保健への悪影響を緩和するような社会ならびに環境づくりに注目するものであり
保健分野のみならず社会経済分野を含む幅広い分野の協力と支援が重要となります。