2022/10/27
こんにちは、歯科医師の武田です。
「歯を守るための力のコントロール」について数回にわけて
お話しさせていただいております。
どうぞよろしくお願いします。
◆ メカニカルロード
咬合構成を的確に行ううえでの構成基準は、
残存組織保全の見地から適正な力のコントールを図り、
力学的負荷(メカニカルロード)を顎口腔系の局所に
集中させることなく均等に配分することが大切です。
つまり、左右の顎関節と筋群、更にガイドする歯列に
メカニカルロードの集中する部位を生じさせない
構成が望ましいのです。
偏心位ガイドの方向で大きな問題になるのは
前歯部ガイドではなく側方ガイドです。
側方ガイドの方向が顎関節の機能と調和していないと、
ブラキシズムや硬い食品の長時間咀嚼により、作業側の
顎関節がダメージを受け、外側靭帯や関節円板、顆頭や
下顎窩、関節結節にまで障害をもたらします。
この側方ガイドの方向は、生理的な側方運動経路と
調和させ、後方へのブレーシングイコライザー
(lateral protrusive tooth guidance M型ガイド)を
必ず付与し、前方へのブレーシングイコライザー
(lateral retrusive tooth guidance D型ガイド)も可能な
範囲で付与することが望ましく、これにより作業側顎関節
へのメカニカルストレスを最小限に抑制することができます
M型ガイドは、上顎犬歯舌面の近心にある前方へ向いた面と
下顎犬歯の遠心に向いた面で誘導する側方ガイドであり
下顎を後方へ押し込むことはありません。
しかし、下顎を後方へ押し込むことはないが、作業側顆頭を
前方へ引き出し、咬頭干渉が生じる可能性があります。
D型ガイドは、この逆で下顎を後方へ押し込む形になるので
顎関節に障害を起こしやすいガイドです。
M型+D型ガイドは、側方ガイドの経路が3種のなかで
最も安定していて、下顎を後方へ押し込むことなく安全です。
近年、顎口腔系の特性が様々な角度から究明されており
顎口腔系の機能と調和させてグループファンクションを
構成することが、極めて困難であることが明らかになりました。
作業側顆頭の最大噛みしめ時の移動量は、軽く噛み合わせて
側方運動を行った時の作業側顆頭の移動量(平均0.7mm)の
2倍~3倍程度に増大します。そのため、軽く噛み合わせて
側方運動を行った際に作業側で犬歯から第2大臼歯までが均等に
ガイドしているグループファンクションでは、睡眠時の
パラファンクションとしてのグラインディング時には、顎関節に
近接する後方歯ほど著しく大きくゆさぶられ、最後方臼歯の
粉砕咬頭である上下顎第2大臼歯の頬側咬頭の双方に力学的負荷
が大きく加わる。このうち下顎の頬側咬頭は機能咬頭であるため
加わった負荷が支持組織の比較的広い範囲に分散し、歯冠の破折
や咬合性外傷による歯周組織の破壊にまで至らないことが多い。
一方、上顎の頬側咬頭は非機能咬頭であるため、加わった負荷が
頬側部分に集中し、歯冠の破折や歯周組織の破壊を招きやすい。
このようにグループファンクションは決して理想的な側方ガイド
の様相ではなく、残存組織保全の観点から少なくとも大臼歯部では
ディスクルージョンとし、犬歯誘導に近づけることが得策です。
ⅰ 後方へのブレーシングイコライザー
(lateral protrusive tooth guidance M型咬合)の構成に
適した歯冠形態を備えており、顎機能と調和した
側方ガイドの方向を的確に設定できる。
ⅱ 歯冠が長く、側方ガイドに適している
ⅲ 歯根が長く、力の分散に有利である
ⅳ 歯根が太く、力の分散に有利である
ⅴ 歯根膜感覚受容器メカノレセプターに富み、優れた
センサーとして高い顎位コントロール能を備えている
ⅵ 周囲骨が緻密で、高い支持能力を備えている
ⅶ 垂直被蓋が4mm程度で大きく側方ガイドに適している
ⅷ 側方運動時に必要な直線的誘導接触を
最も与えやすい舌面形態を備えており、
臼歯群の適正なディスクルージョン量の設定にも有効
ⅸ 正中に近く左右の顎関節にほぼ均等に機能圧を配分できる
ため、側方で噛みしめた際の下顎骨のたわみを
可及的に抑制できる
Ⅹ 顎関節と閉口筋に対する側方ガイド部の位置関係が
Ⅲ級テコであるため、同じ力で噛みしめながら側豪運動を
行ったとしても、犬歯誘導では第1大臼歯でガイドさせた
場合と比較して1/5以下の力でガイドでき力学的に極めて有利
歯の健康、美しさを保つには、
定期的なクリーニングがとても大切です
ぜひタニダ歯科クリニックで定期健診を。
ご来院お待ちしております。