2023/06/29
こんにちは。歯科医師の西田です。
梅雨入りしてしばらく経ちますが、
大雨の日と猛暑日が交代で訪れているような感覚です。
皆さま、お変わりはありませんか?
さて、今日のテーマは、子供の訪問歯科診療、です。
訪問歯科といえば、
患者様の大多数は高齢者ですが、
幼い子供さんも少数ながら需要はあるようです。
皆さまは、医療的ケア児という言葉を聞かれたことはありますか?
医療的ケア児とは、
身体障害や知的障害の有無に関わらず、
生きるために医療的なケアを必要とする子供さんのことをいいます。
近年の新生児医療の発達により、
都市部を中心に新生児集中治療室(NICU)が増設された結果、
超未熟児や先天的な疾病をもつ子供さんなど、
以前なら出産直後に亡くなっていたケースであっても
助かることが多くなってきました。
このような子供さんたちは、
NICU等に長期入院した後、自宅に帰られてからは、
ご家族様らによる医療的ケアを24時間体制で受けられています。
医療的ケアとは、
気管に溜まった痰を吸引する「痰吸引」や、
チューブを使って鼻やお腹の皮膚を通じて胃や腸に直接栄養を送る
「経管栄養」などを指します。
厚生労働省によると、
2005年の在宅医療ケア児の推計は約1万人と発表されていました。
しかし2019年には約2万人と2倍に増加しています。
1万人の人口のうち、医療的ケア児は1.5人と推測されています。
さらに、2021年6月、
医療ケア児とその家族の負担を軽減することを目的とした法律
「医療的ケア児支援法」が成立し、
同年9月18日に施行されました。
これにより、医療的ケア児の支援が自治体の努力義務であったのが、
自治体の責務となったのです。
これまで、医療的ケア児の子供さんは、
虫歯の多発、重度歯周病を発症してからの歯科受診が多く、
専門の医療機関での診療体制が不可欠でした。
制度の拡充により、地域のかかりつけ歯科医として、
できるだけ早期にそのような子供さんやご家族様と繋がり、
お口の健康管理を行い、
良好な成長発達に寄与していけたらと、考えております。