2023/09/14
こんにちは。訪問担当歯科医師の阿部です。
訪問歯科では、様々な理由で通院が困難になった高齢の方々の歯科治療、口腔ケアに取り組んでいます。
今回は、若者とは違う、高齢者のお口の状態についてお話ししたいと思います。
年を重ねていくと、身体が老いていくのと同様に、口の中にも様々な老化現象が起こってきます
以下に、加齢によるお口の変化を示します。
《歯の変化》
黄色くなる・すり減って短くなる・もろくなる・ひびが入る
《歯肉の変化》
萎縮して弾力性がなくなる・退縮して歯が長くなったように見える
① 歯と歯の間に食物が挟まりやすくなる
② 露出した根面が虫歯になりやすくなる
③ 義歯による傷ができやすくなる
④ 義歯の安定感が悪くなる
《唇の変化》
萎縮して弾力性がなくなる
① 口を大きくあけにくくなり義歯が出し入れしにくくなる
② 口角びらんを起こしやすくなる
《唾液腺の変化》
萎縮して唾液の分泌が低下する
① 自浄作用が低下し、口腔内が汚れやすくなる。
② 口腔内が乾燥するために、上手く食塊形成できず食べにくい。
③ 口腔粘膜、舌が動かしづらく、話しにくい。
《味覚の変化》
味蕾の萎縮、口腔の乾燥、薬の服用などによって変化する。
《感覚の変化》
感覚が鈍くなるため自覚症状が乏しく、発見が遅れて症状が
悪化しやすい
このような口腔内の状態の変化により、高齢者のお口の中はトラブルを抱えやすくなっています。
多かれ少なかれ、高齢者は口の中に何らかの問題があるといっても過言ではありません。
特に介護が必要な高齢者の場合、他人の口の中はなかなかのぞきにくいため、異変に気付きにくいものです。
しかしながら、気づかずに放っておけば、「食べる」、「話す」 などの口の機能が衰えたり、体力が低下
するなど、トラブルは大きくなります。
お口の中が見づらくても、次のような症状がある場合は要注意です。
● 口臭
きつい口臭は口の中が汚れていることが原因の一つです。膿のようなにおいの時は
虫歯や歯周病の可能性があります。
● 話し方や食べ方
入れ歯がはずれやすくなった、嚙みづらそう、食が細くなった、濃い味を好むようになった、
むせやすくなった、言葉がはっきりしなくなったなどは、口のトラブルが原因となっていることもあります。
● 体力
元気がない、風邪をひきやすい、よく熱をだす、などの症状も要注意です。
体力が落ちると口の中の細菌が増えやすくなったり、誤嚥性肺炎にかかりやすくなったりします。
これらのような症状に気づいたら、歯科に早めに相談してくださいね。
高齢者のお口の状態に合わせた治療とケアを通じて、お口の健康を維持し、
いつまでも自分の口から食べられるよう、お手伝いをしていきたいと思います。