2023/12/14
舌苔について
歯科医師阿部です。
今回は口臭の主な原因でもある
「舌苔」についておはなしします。
舌苔は、細菌や食べかす、はがれた粘膜などが
舌の表面に付着してできた白い苔状のかたまりです。
舌の表面には糸状乳頭という細かい突起がたくさんあり、
この中に食べかすや口の中ではがれた粘膜がたまり、
細菌のすみ家になっています。
つまり、舌苔は歯垢と同じように細菌の塊なのです。
薄く舌苔があるのは正常ですが、
舌苔が厚くなると口臭や味覚障害、
誤嚥性肺炎をひきおこす可能性があるため、
舌は適度に清掃する必要があります。
① 舌の動きが悪くなる
通常、舌の汚れは食べたり話したりするときに、
舌が動くこと(食べ物や上あごと舌の摩擦)
によって除去されます。
舌の動きが悪くなると舌苔が除去されにくくなります。
② 唾液の量の減少
唾液には、食べ物や歯垢を洗い流す自浄作用や、
口腔内の菌の増殖を抑える働きがあります。
その為、疾患、薬の服用、ストレス、加齢などにより
唾液の分泌量が減っても、
舌苔が付着しやすくなります。
③ 口腔の清掃不良
口腔の清潔を保たなければ、
口腔内の細菌がふえたり、
口腔内の粘膜がはげおちたものが
舌に溜まりやすくなります。
舌はやわらかい組織のため、
舌苔を強くこすって取ろうとすると、
舌を傷める可能性があります。
舌専用ブラシかやわらかい歯ブラシで、
優しく清掃しましょう。
舌苔が多く付いている起床時に、
1日1回行なうのがよいでしょう。
舌が乾燥している場合は、
必ず保湿して舌をやわらかくしてから清掃してください。
舌苔が厚くついている場合も、
決して1度に全部取ろうとせず、
少しずつとるようにしましょう。
舌清掃は以下のような手順で行います。
1、 起床したら、口を開けて、
鏡で舌苔が付いている場所を確認しましょう。
2、 舌苔の付着している一番奥に、
水で濡らした舌ブラシ(または軟らかい歯ブラシ)
を当ててください。
3、 歯磨きよりも優しい力で、
奥から手前に一方向に掻き出します。
4、 場所をずらしながら3回程度清掃してください。
舌苔がなかなか取れない、
口臭が強いなど心配な事があれば
歯科医師か歯科衛生士にご相談ください。
最後に…
インフルエンザ、新型コロナなどの感染予防にも
口腔内をきれいに保つことが有効なことが分かっています。
毎日の口腔のケアに舌のケアもしっかり取り入れて、
元気にこの冬を乗り切りましょう。