歯を抜いた後が治らない・・・

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

歯を抜いた後が治らない・・・

こんにちは、歯科医師の西田です。
年の瀬が迫ってきました。毎日寒いですが、皆さま、お変わりないでしょうか?

歯を抜く際に、私達は皆さまに守って頂きたいこととして、
いくつかのお願い事をすることがあります。

①飲まれているお薬や治療中のご病気、過去のご病気について教えて頂きたいこと。
②抜歯後血が止まるまではうがいを控えて頂きたいこと。
③化膿止めのお薬をお出しするので飲んで頂きたいこと。
④抜歯後、血が止まった翌日からは歯磨きをして、お口の中を清潔にして頂きたいこと。
等々。

これらの事柄は、抜歯後の傷の治りに関わる重要な事柄なのです。
まず、①のお薬や病歴について。
お薬によっては、抜歯後に血が止まりにくくなるものや、
骨に直接作用するため抜歯が望ましくないものがあります。
病歴や健康状態については、糖尿病のような傷の治りの遅い病気もありますし、
肝臓や腎臓にご病気のある方の場合はお出しできないお薬もあります。
また、現状で抜歯が差し支えないか、医科の主治医の先生に直接お問い合わせをする場合もあります。

②のうがい、③の化膿止め、④の歯磨きについて。
抜歯の後の傷口にはかさぶたができます。
かさぶた でしっかりと傷口に封がされなければ、後の治りに影響が出ます。
うがいをしすぎて、良いかさぶたができないと、強い痛みを生じて傷がなかなか治らない、
ドライソケットという状態になります。
かさぶたが固まってからは感染を防ぐため、お口を清潔にしていただき、化膿止めを指示のとおりにお飲みください。

ここまでは、一般的なお話。大多数の方は、上記の事柄を守って頂いたら、傷口は治っていきます。
ただ、小さな歯の根っこを抜いただけなのに、傷口が塞がらず、いつまでも骨が剥き出しのまま、強い痛みが長く続く・・・
少数ながら、そんな方もいらっしゃいます。見落としがちなことですが、少し前に骨粗鬆症の注射をしませんでしたか?
骨粗鬆症や癌のお薬の中には、抜歯をすると、極端に傷の治りの悪くなるものがあります
(ボナロン、リカルボン等のビスホスホネート製剤、ランマーク等)。
これらのお薬は、骨を強くする作用があるので、骨粗鬆症や高カルシウム血症の予防・治療に用いられています。
一定期間以上服用中に抜歯などの外科処置を行うと、あごの骨が露出して腐ったり(顎骨壊死)、
炎症がひどくなるといった副作用がでることがあります。
これらのお薬は、骨の代謝を抑えることで、骨からカルシウムが出ていくことを防いでいます。
しかし、同時に新しい骨や歯ぐきなどの組織を作る機能も抑制されます。
そこに細菌が感染することにより傷が治りにくくなり、骨が腐るなどの副作用がおこります。
抜歯やインプラント手術の他、入れ歯の傷が原因になることもあると言われています。
一度骨壊死が起こると自然治癒は困難あるいは長期間を要するため外科手術にて対応する場合もあります。
骨粗鬆症のお薬は飲み薬だけではなく、たまに行う注射もありますので、抜歯の可能性のある方は、忘れずお知らせ下さいね。

今日のお話は以上です。今年も残すところあと少しとなりました。
この一年もお世話になりました。来年も宜しくお願い申し上げます。