2024/04/11
こんにちは、歯科医師の村重です。
桜の花が満開を迎え一気に春らしくなりましたね。
今年は久しぶりにお花見に行きましたが
やはり外で過ごす時間は気持ちが良いですね。
これからの季節、暑くて耐えられなくなるまでの時間を
大切にしていこうと思います。
前回(1/11分)から「歯の外傷」についてお伝えしていますが、
今回はその続きとなります。
④脱臼、脱落(歯が抜け落ちた)
歯が抜け落ちた(脱落)場合、条件がよければ再植が試みられます。
受傷から歯科医院を受診するまでの時間が短く、
歯の周りの組織の損傷が軽度で、脱落した歯の保存状態がよいほど、
再植の予後も良好になることが期待されます。
抜け落ちてしまった歯は洗ったりはせずに、
専用の保存液または牛乳、どちらもない場合は
口腔内に入れて歯科医院を受診してください。
かみ合わせを確認しながら、脱落した歯を元の位置に戻して、
固定を行います。歯肉からの出血が多い場合は縫合を行い、
止血を図ります。固定は通常2~6週間くらい行います。
従来、乳歯は原則として再植は行わなかったのですが、
最近では限られた条件の中で再植が試みられています。
脱落した歯がなくなってしまったり、
再植が困難だったり、歯根の破折で抜歯になったりと、
外傷で歯がなくなった場合も対処が必要になります。
歯の外傷はおもに上の前歯に起こりやすいので、
見た目も悪くなり、また発音や食べることに影響がでます。
永久歯では一般的に入れ歯、ブリッジ、
インプラントなどの治療法があげられ、
歯並び・噛み合わせやその他の状況に合わせて
適当な治療法を選ぶことになります。
一方、乳歯や学齢期に永久歯がなくなった場合は、
次の永久歯が生えるまで、または顎の成長が止まるまでは、
調節のしやすい入れ歯タイプの装置を使うことが多いです。
⑤変色、腫脹(歯の色の変化、歯茎の腫れ)
歯を打ったあと、歯の色が変わってくることがあります。
受傷してすぐに 起こりやすい赤みをおびた変色は、
神経(歯髄)の中の血管が損傷して充血や内出血を生じたものと考えられ、
充血が治れば歯の色も回復することがあります。
一方、数か月して徐々に歯の色が黒ずんでくる場合は、
神経(歯髄)が死んでいる可能性が高くなります
(若い永久歯の場合など、そうでない場合もあります)。
さらに色が悪くなったり、根の周囲に病気ができて
歯肉が腫れてくることもあります。
エックス線写真などで定期的に観察していれば、
根の周囲の病気を早く発見して、根の治療を行うことができます。
根の周囲の病気が大きくなってからですと、
歯を保存することが難しくなります。
以上のようにそのときの状態によって対応法は様々ですが、
共通して言えることは受傷後は可能な限り速やかに
歯科医院を受診して欲しいということです。
特に歯が欠けたり、抜け落ちたりした場合は
受傷からの時間が予後に大きく影響するため、
是非とも頭の片隅に留めておいて下さい。