2024/06/13
こんにちは。歯科医師の法貴です。
急に暑い日が続いていますが、
体調は崩していないでしょうか?
今回は口腔機能低下症についての話になります。
口腔機能低下症は、う蝕や歯の喪失など従来の器質的な
障害とは異なり、複数の口腔機能の低下による
複合要因によって現れる病態です。
適切な管理と動機づけを行うことで、
さらなる口腔機能低下の重症化を予防し、
口腔機能を維持、さらに回復することが可能となります。
口腔の機能低下を経由して、
全身の機能低下が進行する過程の概念が初めて示され、
口腔の機能低下はオーラルフレイルと表現され,
身体的フレイルの予防には口腔機能の維持が
重要であることが強調されています。
口腔機能低下症を診断するための口腔機能精密検査の
項目としては、
①口腔衛生状態不良②口腔乾燥③咬合力低下④舌口唇運動機能低下
⑤舌圧低下⑥咀嚼機能低下⑦嚥下機能低下
の7つの項目がある。
そのうち3つの項目が該当した場合,
口腔機能低下症と診断します。
今回は当院でも実施している項目を紹介します。
1口腔衛生状態不良
舌苔スコア
Tongue Coating Index(TCI)を用いて、
舌苔付着程度の計測を行います。
視診にて評価エリアの舌背を9分割し、
舌苔の付着程度を3段階(スコア0 1 2)で評価する。
TCIが50%(9/18)以上の場合,
口腔衛生状態不良と評価します。
2口腔乾燥
口腔粘膜湿潤度検査
口腔水分計ムーカス®を用いて、
舌から10mmの位置でセンサー部を圧着し計測を行う.
3回計測を行い,中央値が27.0未満の場合,
口腔乾燥と評価します。
3咬合力低下
残存歯数
口腔内診査により,保存不可(残根や動揺度3)
の歯を除いた残存歯が20本未満の場合,
咬合力低下と評価します。
4舌口唇連動機能低下
「毎日パタカラ(サンスター)」等を用いて、
pa/ta/ka/をそれぞれ5秒間連続して発音し、
計測を行います。(オーラルディアドコキネシス)。
1秒あたり 6回未満の場合、
舌口唇運動機能低下と評価します。
5舌圧低下
JMS舌圧測定器を用いて、
舌圧プローブのバルーンを舌で押し潰し、
3回計測を行い,最大舌圧の平均値が
30kPa未満の場合,低舌圧と評価します。
6嚥下機能低下
聖隷式嚥下質問紙
摂食・嚥下に関する15項目の質問に対して、
3段階(A~C)で回答し、
Aの項目が1つ以上ある場合、
摂食・源下障害の疑いありと評価します。
何かわからないことがあればいつでも相談してください。