糖尿病と歯周病の意外な関係

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

糖尿病と歯周病の意外な関係

こんにちは。歯科医師の西田です。
近畿地方もようやく梅雨入りしましたね。
毎日雨続きだと、家に籠っておやつばかり食べてしまいそうですが、そんなあなた、注意が必要ですよ。
血糖値が高め、歯ぐきの腫れが気になっているあなたは、さらに注意が必要です。
今日は歯周病と糖尿病についてお話を進めていこうと思います。

歯周病は細菌感染による慢性の炎症です。
進行すれば膿が出たり歯がグラグラして抜けてしまうことは良く知られていますが最近の研究によりさまざまな生活習慣病と関係があることがわかってきました。
その1つが糖尿病です。
あまり知られてはいませんが実は歯周病は糖尿病の合併症の1つといわれるほど深い関連性があります。
まずは下の図をご覧ください。

なぜ、歯ぐきの炎症である歯周病が糖尿病に関わってくるのでしょうか?
出血や膿の出ている歯周ポケットからは、炎症に関連した化学物質が血管を経由して身体中に放出されています。
中等度以上の歯周ポケットが口の中全体にある場合、そのポケット表面積の合計は手のひらと同じ程度と考えられています。
歯周ポケットの中身はなかなか外からは見えませんが、手のひらサイズの出血や膿が治療なしで放置されていると考えると、
身体全体からも無視できない問題であることが理解できると思います。
ポケットから出て血流に乗った炎症関連の化学物質は身体の中で血糖値を下げるインスリンを効きにくくします(インスリン抵抗性)。そのため、糖尿病が発症・進行しやすくなります。

糖尿病になると細菌に対する抵抗力や組織の修復力の低下、お口の中の乾燥等が生じ、それらが歯周病を悪化させます。
糖尿病だと歯周病に2倍以上かかりやすくなり、血糖のコントロールが悪いと歯周病がより重症化しやすいと言われています。
糖尿病と歯周病は互いに影響しあっており、歯周病が悪化すると血糖のコントロールは悪化し、歯周病を治療すると血糖のコントロールは良くなります。
ここでの歯周病の治療とは、患者さん自身のブラッシングによるプラークコントロールをしっかり行い、歯科医院で炎症の原因となっている歯石を確実に取り除く(スケーリング)ことです。そうすることで歯ぐきの炎症をコントロールできればインスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールも改善するということが、多くの臨床研究で報告されています。
現在、糖尿病患者は生活習慣の変化等により急増しています。
自覚症状が出にくいため糖尿病と診断されても治療を受けない人や治療を中断する人が約50%にもなります。

症状が重くなる前に、まずはタニダ歯科でご自分のお口の健康チェックを受けられてはいかがでしょうか?