抗生剤について

タニダ歯科医院ブログ

西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

抗生剤について

こんにちは歯科医師の法貴です。

まだまだ暑い日が続いていますので皆さん体調崩さないように気をつけてお過ごしください。

さて今回はお薬の話です。

一般歯科診療所において投与される薬剤は、

抗菌薬と鎮痛薬の割合が多いと思います。

抗菌薬の投与については、外科的治療に際して投与される予防的抗菌薬投与と、

実際に歯性感染症を発症した場合に投与される治療的抗菌薬投与に大別され、

それぞれガイドラインにより投与する薬剤、投与する期間などが規定されています。

歯科診療所で抗菌薬の治療的投与が実施される疾患として歯性感染症が挙げられます。

歯性感染症 は、炎症の程度や範囲により1群から4群 に分類され、

その重症度に応じて第一選択抗菌薬、第二選択抗菌薬、

注射用抗菌薬が個別に推奨されています。歯性感染症の原因菌は、

好気性菌であるStreptococcus属、嫌気性菌のPre votella属、

Peptostreptococcus属が中心であり、

歯性感染症の治療ではこれらに感受性のある抗菌薬を選択する必要があります。

 

 

1群の歯周組織炎,第2群の歯冠周囲炎に対してはペニシリン系のサワシリン ®が第一選択薬です。

ペニシリンアレルギーの場合は、

ダラシン、ジスロマック、クラリスのいずれかを選択します。

歯性感染症は二相性感染症といわれており重症化すると嫌気性菌の検出頻度が増加します。

嫌気性菌はβ- ラクタマーゼというβ- ラクタム系抗菌薬を加水分解してしまう酵素をもつ菌が多いため 、

3群の顎 炎 (膿瘍形成が認められる第1群、第2群を含む)に対してはβ- ラクタマーゼ阻害剤を

配合したペニシリン系抗菌薬であるオーグメンチン® が第一選択薬とされて います 。

3群の顎炎のなかでも開口障害、嚥下困難をともなう重症例および第4群の顎骨周囲炎では、

抗菌薬の静注が基本となるため病院歯科口腔外科や大学病院歯科部門へ治療を依頼します。

歯性感染症に対する抗菌薬効果判定の目安は3 日とされており、

増悪の際は切開排膿などの消炎処置の追加 、投与量 / 回数変更 、

他剤への変更を考慮します。標準的な治療期間は7日間です。

 

何かわからないことがあれば気軽に相談してください