西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

糖尿病

こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
前回は高血圧についてお伝えしましたが今回は糖尿病についてです。
歯科との関連が高く気を付けるべき疾病のひとつです。
「糖尿病はインスリンの作用不足から生じる慢性高血糖を特徴とする代謝疾患である」
糖尿病は種々の遺伝因子と環境因子によって発症するとされ、
その発症様式は様々であるが共通しているのはインスリンの作用不足です。
糖・タンパク・脂質代謝等の広範かつ特異的な異常を招き、
特に持続する高血糖や糖認容力低下は糖尿病の特徴的病態です。
口渇、多飲、多尿、体重減少等、特徴ある諸症状が現れることがあり、
重篤になれば昏睡に陥ることもありますが、軽症の場合は自他覚症状がない場合が多いのです。
病態の改善には食事療法、運動療法、インスリンや経口血糖降下剤等の投与が有効です。

「歯科との関連」
糖尿病患者では感染の合併頻度が高く、一度感染すると慢性化して難治性になりやすい特徴があります。
これは代謝異常に伴う感染防御機構の機能低下が関与しており、また血管障害のため、
組織への酸素供給が低下することも難治の原因となるのです。
歯周病は慢性炎症性疾患であり、歯周病患者には糖尿病患者が多くみられます。
これは前述の生体防御機能の低下が関係しており、感染症が糖尿病を憎悪させることも知られています。
感染症に罹患するとインスリンの作用に拮抗するホルモンが血中に増加し、
インスリン抵抗性が増すためであると考えられています。
従って歯周病治療を行うことは、糖尿病のコントロール状態の改善にもつながるといえるでしょう。
糖尿病のコントロールが不良な状態では、尿に多量の糖が出るため尿の浸透圧が上昇し、
これが浸透圧利尿の原因となって尿量が増加します。
この結果、皮膚や粘膜の乾燥が起こるのです。
口腔乾燥は口腔内の衛生状態を悪化させ、歯周病を悪化させる原因になります。
高血糖は血漿浸透圧を上昇させるため、口渇と多飲が起こると考えられています。
糖尿病の患者数はきわめて多く、その約半数が高齢者とされています。
従って歯科治療にあたって患者が糖尿病に罹患していないかを確かめることは重要であり、
歯科治療時には内科主治医と連携して治療内容やコントロール状態を把握したうえで
処置を行う必要があります。
また痛みのために食事が十分摂れていない患者では歯科治療中に低血糖症状が起こることもあり得るので、
低血糖が示唆されたらその場で可能な処置(患者が低血糖時用に持っている菓子を食べさせる、
ブドウ糖を投与する等)を行う必要があります。