2024/05/02
こんにちは。院長の谷田です。
初夏の日差しがさわやかな季節となりました。
さて、毎年5月17日は世界高血圧デーです。
高血圧と聞くと「食生活」や「運動不足」が
真っ先に思い浮かびますが、
実はお口の健康とも密接に関わっています。
今回は、高血圧と歯科の
意外な関係についてご紹介しましょう。
◆血圧の薬がもたらすお口の変化
高血圧はそれ自体がお口の環境に
影響を及ぼすことは少ないものの、
血圧を下げる薬(降圧剤)の副作用が
次のような変化をもたらします。
・歯ぐきが腫れて歯が磨きにくくなる
アダラート、ノルバスクなどをはじめとした
高血圧治療でよく処方されるカルシウム拮抗薬は、
副作用で歯ぐきの腫れを引き起こすことがあります。
腫れが大きくなると歯ブラシを当てても
プラークが除去しづらいほか、
見た目の問題や発音のしづらさなど、
生活の質にも影響を及ぼします。
・お口が渇いて汚れがたまりやすくなる
降圧剤の副作用では
「お口の渇き」も代表的な症状です。
先にご紹介したカルシウム拮抗薬のほか、
フルイトランやラシックスなどの利尿薬も
副作用としてお口の渇きを
招くことがあります。
これらの服用でお口が渇きやすくなると、
だ液が持つお口のクリーニング作用や、
歯の表面を修復する作用が働きにくくなり、
結果としてむし歯や歯周病、
口臭のリスクが高まってしまいます。
◆歯が少ないと高血圧に?
お口の健康と血圧の関係
最新の研究では、
歯の本数が少ない、あるいは噛む力が弱いと
高血圧になりやすくなることも明らかになっています。
あるデータでは、
奥歯で噛めない人は高血圧のリスクが約1.7倍も
高くなることが示されています。
なぜ、噛めなくなると
高血圧のリスクが高くなるのでしょうか。
その理由の1つに
「食べものの選り好み」が考えられています。
例えば、奥歯で噛めなくなると、
多くの人は繊維質の多い果物や
緑黄色野菜を避けがちです。
しかし、これらの食品には
血圧の安定に必要なカリウムが豊富に含まれており、
不足すると血圧の上昇を招いてしまいます。
このような現象は
とくに高齢者に多くみられることから、
将来的な病気のリスクを減らすためにも、
若いうちからお口の健康を保つことが重要です。
◆高血圧の予防・管理のカギは
歯科での定期検診
以上のことからもわかるように、
健康的な毎日を送るうえでは
食生活や生活習慣の改善にくわえ、
お口の健康維持も重要な役割を担っています。
なかでも、歯科での定期検診は
高血圧の予防・管理において、
次の2つの効果があります。
・高血圧の薬の副作用によって生じるお口トラブルを防ぐ
・お口の健康を保ち、歯を多く残すことで高血圧を予防する
自宅での正しい歯みがきや
食生活の改善に加え、
歯科での専門的なチェックも含めた
全身の健康を守る習慣づくりを
心がけましょう!
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2024/04/25
こんにちは。歯科医師の柏谷です。
前回は虫歯の原因と予防について書かせてもらいました。
今回は虫歯の種類と治療について書かせてもらいます。
CO(シーオー)
まだ欠けてない初期の虫歯です。
放置すればC1と言われる次の段階に進行していきます。
治療は毎日の歯磨きとフロス、歯科医院でのフッ素塗布によって
虫歯の進行をとめることができます。
C1(シーワン)
虫歯が歯の1番表面(エナメル質)にとどまっている状態です。
治療は虫歯をとったあと、
CR(コンポジットレジン)とよばれるプラスチックで穴を埋めます。
この段階では、症状がないので麻酔も必要ありません。
症状が無いため歯科医院での早期発見、早期治療が大事になります。
C2(シーツー)
虫歯が1番表面のエナメル質だけでなく
エナメル質の内側の象牙質とよばれるところまで
虫歯が進行しています。冷たいものや甘いものがしみたり
噛んだ時に痛みがでる場合があります。
治療はC1と一緒のプラスチックの時もあります。
もっと大きい場合は銀歯やセラミック等の詰め物になります。
症状が出るため治療の際には麻酔が必要です。
C3(シースリー)
虫歯が象牙質の内側の神経まで進行しています。
冷たいものでしみたり噛んで痛いだけではなく、
熱いものがしみたり、何もなくてもズキズキ痛みます。
ここまで進行すると歯の神経をとる根管治療が必要になります。
歯の神経をとるので抜歯ではないので歯は失われませんが、
脆くなるため歯の寿命が短くなります。
根管治療が終わった後は銀歯やセラミック等の被せ物になります。
C4(シーフォー)
虫歯が進行しすぎて歯の根っこだけになっている状態です。
根っこの周りに膿が溜まり歯茎が腫れることがあります。
この状態になると痛みはなくなることが多いです。
この時の治療は抜歯になります。
抜歯した後はインプラント、ブリッジ、
義歯の中から選ぶ必要があります。
虫歯が進行していくと症状がひどくなり、
治療も大掛かりになっていきます。
早く治療ができれば痛みが少なく麻酔も必要ない場合が多いです。
早期発見、早期治療のためには歯科医院に行って検診が必要になります。
2024/04/18
こんにちは、川村です。
最近、日中暖かくなってきました。
職場近くのスーパーで、アイスが食べたくなり久しぶりに
アイスを食べました。
ということで、アイスといえば冷たい、冷たいといえばしみる、
しみるといえば、知覚過敏症。
知覚過敏についてです。
象牙質知覚過敏症(Hypersensitive Dentin (Hys))のことで、
歯ブラシの毛先が触れたり、冷たい飲食物、甘いもの、
風にあたった時などに歯に感じる一過性の痛みで、特に齲蝕(虫歯)や
歯の神経(歯髄)の炎症などの病変がない場合にみられる症状を言います。
歯というのは、表面をエナメル質という組織で覆われています。
しかし、エナメル質という組織は歯の全周を覆っているわけではありません。
エナメル質の下には象牙質という組織があります。
この象牙質ですが、エナメル質とは違いがあります。
有機質・無機質の割合、硬度など違いは多数ありますが、
今回のことで言えば、細管の存在です。
象牙質には、象牙細管(象牙質にある細い管)と呼ばれる構造物あります。
電子顕微鏡でしか見えない小さな物です。
この象牙細管は歯髄(歯の神経)の所までつながっています。
つまり、この象牙細管に刺激が伝わってしまうと
神経が感じてしまいしみてしまうのです。
ちなみに、エナメル質には細管はありません。
通常、象牙質はエナメル質に覆われているので、
こうした痛みを感じることはありませんが、
極端に冷たいものなどではエナメル質の上からでも温度が
内部の象牙質に伝わって、歯が痛みを感じることもあります。
しかし、様々な理由で象牙質が露出すると、
刺激が神経に伝達されやすくなり、知覚過敏が生じるようになります。
象牙質が内部の神経にまで刺激を伝えるのは、
象牙質の中にある無数の小さな管状の構造物があることによります。
この小さな空隙は加齢などにより、少しずつ塞がってくることもあります。
このような場合には知覚過敏は起きません。
したがって象牙質が露出している時には必ず知覚過敏が
起きるということではありません。
歯肉が退縮して歯が長く見えてしまった高齢の方全員が、
しみる症状がでているかというと・・・、必ずしもそうとは言えません。
1.歯肉退縮
歯肉の位置は加齢とともに少しずつ下がってきます。
それに伴って歯根が露出し、象牙質がむき出しの状態になります。
このような象牙質表面では、歯ブラシが触れたり、温度変化などの刺激で痛みを
感じることがあります。
持続時間は長くても1分以内で、時間が経てば痛みは消失します。
歯の表面に歯石がたくさん付いているような場合、それを取り除いた時にも同様
の状態となり、歯石をとっている時にも器具が象牙質表面に触れたり、水をかけ
て処置をするので、知覚過敏と同様の痛みを感じることがあります。
2.破折
歯が破折してしまい象牙質が露出することがあります。
破折時には、残っている歯に亀裂が入っていることもあります。
亀裂の状態にもよりますが、歯の神経の部分にまで細菌が侵入して
炎症を起こすこともあります。
3.摩耗、酸蝕症による象牙質露出
摩耗、酸蝕によりエナメル質がなくなると象牙質が露出します。
すり減り具合により症状が出る場合があります。
1.知覚過敏用歯磨きの使用
歯の神経の周囲をカリウムイオン(K+)が多く取り巻いていると
神経の細胞が興奮しにくくなるということを利用し、
硝酸カリウムという成分を配合した歯磨き剤を継続使用していきます。
2.知覚過敏抑制剤の塗布
露出した象牙質の内部の小さな空隙を、歯と同じような成分の結晶や、
その他様々な物質で封鎖することで、歯の神経への刺激の伝達が
遮断されて伝わりにくくなります。
3.露出した象牙質の被覆
知覚過敏のある象牙質表面を樹脂やセメントで被覆します。
4.抜髄
知覚過敏は一過性の痛みですが、痛みの持続時間が比較的長いような場合や、
その痛みが非常に激しい場合には、歯の神経を取ることもあります。
あくまでの最終手段になります。
基本的には虫歯ではないので、削って治すことはありません。
表面をコーティングする方法が一般的です。
しかし、あくまでもコーティングなので、歯磨きなどの原因で
剥がれることがあります。
口腔内は、過酷な環境なのです。
必要に応じ重ね塗りが必要な場合もあります。
もちろん虫歯が原因で歯がしみることはあります。
気になる方は早めに診てもらいましょう。