2023/08/24
こんにちは、歯科医師の加藤です。
今回は、「すでに自分の歯が20本以下の患者さん!!諦めないで!!」
というテーマでお話ししたいと思います。
以前から、健やかな高齢時代を迎え、
過ごす為に「8020」は確かに大切な目標です。
その中で、すでに自前の歯が20本以下になって
部分入れ歯や総入れ歯になっている患者さんも多いはずです。
そこで、入れ歯を入れても意味はないのだろうか?
という疑問になってしまいます。
私が思うに「8020」の意味するところは、
「気持ちよく食事が出来る咀嚼能力を保つことが老後の健康に役立つこと」
この点からいえば、
自前の歯が20本以下になったからと言って諦めるのは早いと思います。
治療方法は、多岐にわたります。
①両脇の歯を整えてブリッジにする方法
②部分入れ歯にする方法
③インプラントにする方法
などです。
ここで、嫌がられがちな入れ歯でも、
上手に使えば強い味方なのです。
例えば、寝たきりを招く脳卒中や骨粗鬆症、
または脳神経の萎縮によるアルツハイマーなどの予防に
咀嚼能力の回復と無関係ではありません。
入れ歯によってある程度まで咀嚼能力は回復できます。
つまり、歯が無くなっても入れ歯を使うことで、
20本以上ある患者さんには及びませんが、
入れ歯のない状態よりかなり咀嚼状況がよくなると思います。
新しい入れ歯に口の中がなじむには、
一定の期間が必要でなじみの度合いを診て、
入れ歯を少しずつ調整していくことが必要なのです。
噛めるようになっても所詮入れ歯は入れ歯で、
元の歯と同じように噛めるわけではないことは
頭の片隅に置いてもらいたいものです。
その限界を理解しつつ、
入れ歯と上手に向かい合ってもらえば、
入れ歯も強い味方になり得るかもしれません。
自分の歯で30回噛むところを
入れ歯では50回噛んで唾液に分泌を促すことで
食べ物を消化しやすい状態にして胃に送り込んでください。
ご高齢になることで唾液の分泌量は、
減少する傾向にあります。
入れ歯をせざるを得なくなった場合は、
神様が咀嚼回数を増やして唾液の分泌を促してくれたのだと思って
しっかり噛んで食事を楽しんでください。
近年、戦争、飢餓がなくなった日本。
わが国では、ほとんどが病気で亡くなっています。
病気になりにくい健康作りは食生活!!
よく噛めて食事を楽しむ!!
ことだと私は、思っています。
そこで、最後に以下の6つを提案して締めくくりたいと思います。
①調理の工夫で多様な食生活を
②サラダ、スープなどの副食から食べる
③バランスのとれた食生活を
④おいしく楽しい食事の時間を
⑤良くカラダを動かす
⑥食の知恵を身につける
以上の項目に気を付けて
毎日の食生活を楽しんで過ごしていただけたらと思います。
良い、1日を!!
2023/08/22
こんにちは。院長の谷田です。
8月も終盤ですが、まだまだ日中の暑さは油断ができません。
熱中症への警戒はもちろんのこと、この時期は夏の疲れから来る体調不良にも気をつけたいところです。
「歯が痛む」「歯がしみる」といったお口の症状がでた場合には、どうぞお早めにご来院ください。
さて、上記の症状で歯科医院に行った際、「むし歯」と診断されることが少なくないと思います。
むし歯といえば先日、西宮市と西宮市歯科医師会のコラボで「むしば0教室」が行われました。
当日は私も相談歯科医師として、教室に参加されたお子さんとお母様の口腔内の診査を行い、悩みや質問にお答えしてきました。
この日のために、西宮市保健所の歯科衛生士さんが啓発用の展示物を用意してくれており、中でもインパクト大だったのがこちらです。
清涼飲料水に含まれている砂糖の量が、一目瞭然ですね。
炭酸飲料であれば、酸に砂糖のダブルパンチとなり、お茶や水がわりに飲んでいると悲惨な結果になってしまいます。
むし歯の原因の一つは、甘いものがお口の中に残ることでむし歯菌が作用し、口内を酸性にしてしまうことです。
たまに飲むのはいいと思いますが、飲んだあとは必ず歯みがきすることを強くおすすめします。
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2023/08/17
こんにちは、歯科医師の久貝です。
いや~、暑いです。
ホントに暑いです
だって季節は8月・・・真夏ですわ!!
皆さん元気に過ごされていますか?
夏バテになっていませんか?
こんな時だからこそ、しっかりと食べて元気になりたい所ですよね。
やっぱり、「しっかり食べる」って、すごく大事な事なんですよね
食べられないと、体が元気になれません。
「口から食べる」って、何気なく毎日の生活の中でしている
行為ですけど、訪問診療に行っていて つくづく感じることは、
「しっかり食べられる人は元気」という事です。
季節によって、食欲が無い時もあります。今の季節なら「夏バテ」。
もう少ししたら「食欲の秋」で、「食」が楽しい季節がやってきますが、
やっぱり「食べられる人は元気」です。
でもね、そういう毎日の当たり前の行為を邪魔する病気があるんですよ
「口腔癌」です。
口腔癌とは、口の中やその周辺にできる悪性腫瘍の総称で、
歯科口腔外科で扱う診療分野の1つでもあります。
口内にできるがんというと、少し怖い気もするでしょうが、
体にできる癌全体を含めると、
口内でのがんの発生率はおよそ1%から3%程度となります。
発生する部位によって呼び方が変わりますが、
口腔癌には下記に示すものなどがあります。
・舌癌
舌にできる癌を特に舌癌と呼びます。
口腔癌の中でも、舌が癌になるケースが最も多く、
口腔癌のおよそ40%を占めるものとなります。
・・・こんなのは僕らでも、判らない
・歯肉癌
歯茎にできる癌が歯肉癌です。
口内でできる癌の中では、およそ18%程度で、
上顎よりも下顎の歯肉が、癌になるケースが多いものです。
・口底癌
口底とは、舌の下にある下顎部分です。
ここにできる癌を口底癌といいます。
癌が広がると、周囲の歯肉や舌に転移しやすい特徴があります。
・頬粘膜癌
頬の裏側や唇の裏側の粘膜部分などにできる癌を、
頬粘膜癌といいます。全口腔癌の中では、
およそ10%程度を占めるものとなります。
・口蓋癌
口蓋とは、上顎の天井部分を指し、ここにできる癌を
口蓋癌といいます。舌癌や歯肉癌と比べると、
発生率は少ないものですが、癌を見落としやすい
部位となっています。
・口唇癌
唇にできる癌が口唇癌です。
日本人の口腔癌全体の中では、およそ1%程度の発生率で、
唇は癌になりにくい部位といえます。
しかし、欧米では口腔癌全体のおよそ25%から40%を占めています。
癌は発生する組織によって、大きく3種類あります。
.造血器でできる癌、
.体の表面組織(上皮)にできる癌、
.筋肉や骨にできる癌(肉腫)
になります。
造血器でできる癌には、
白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫などがあります。
体の表面組織(上皮)でできる癌には、
肺がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、乳がん、
そして口腔癌もその1つです。
口腔癌では口内の表面にできるものが多く、
見てすぐにそれと分かるという特徴があります。
また、肉腫としては、骨肉腫、軟骨肉腫、脂肪肉腫、
血管肉腫などがあります。
口腔がんの初期症状は、口内炎と似ているものです。
口内炎は、自然に治ってきますが、
口腔癌の場合は、自然に治癒しないものです。
2週間以上治らないような口内炎があるなら、
歯科口腔外科で診てもらうべきです。
また、口内の表面が白くなっている箇所がある場合など、
癌の初期段階とも考えられます。
口腔癌が疑われる症状は下記のとおりです。
・治りにくい口内炎がある
・口内に固いしこりがある
・口内に出血を繰り返す箇所がある
・唇や口内にピリピリしたしびれや痛みがある
・口内に白や赤くなっている部分がある
・首のリンパ節が長く腫れている
それでは、気になる治療方法です。
口腔癌の基本的な治療は、腫瘍の摘出、放射線治療
、化学療法の3つが主流となっています。
良性腫瘍の場合には、腫瘍を摘出する手術が主体ですが、
癌は浸潤していると、きれいに切除できないこともあり、
転移している可能性もあるので、放射線治療や化学療法を
組み合わせる場合もあります。
外科手術は、癌に冒された病巣を切除する手術です。
浸潤する性質がある癌は、周囲の組織に入り込んでいるので、
癌細胞と正常な組織も含めた安全域といわれる部分を、
取り除く手術になります。
もちろん、切除する箇所は部位によって異なりますが、
お口の中を切除するので、手術後に咀嚼障害(食べ物を噛む障害)、
嚥下障害(飲み込む時の障害)、そして、見た目の変形といった
後遺症が残ることもあります。
また、取り除く範囲が広い場合には、
形成外科による修復が必要となることもあります。
放射線治療は、病巣部に放射線を当てることで、
癌を小さくしたり、死滅させる方法です。
特に、初期のがんで、病巣が小さい場合には、
放射線の照射だけで除去することも可能です。
化学療法は抗がん剤などを投与して、癌の勢力を弱める治療です。
化学療法を用いるのは、3つのケースがあります。
外科手術では切除できない場合や、手術前に腫瘍の活動を抑える場合、
手術後に転移の可能性のあるがんを死滅させる場合があります。
口腔癌に限らず、癌は早期発見と早期治療が肝心です。
口腔癌の初期のステージⅠであれば、
5年生存率がおよそ9割程度と高いものなので、
早期発見が第一です。
口腔癌は口内を見て分かるものがほとんどなので、
その多くは、歯科の治療中に見つかることが多いものです。
従って、定期的に歯のチェックを行っていれば、
発見される確率も高くなります。
なかなか、見つかる事はありませんが、やはり早期発見が一番です。
なので、タニダでの定期健診の際に、気になる事があれば
是非遠慮なさらずにご質問くださいね。
2023/08/10
こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
高齢社会を迎え、生活機能に支援が必要な人が多くなり、
医療・保健・福祉の密接な連携が必要とされています。
介護を必要とする人達の生活の場における支援を考えると、
医療・保健・福祉を分離して考えることなく、
それぞれの領域が密接に連携して「よりよく生きる」ための支援が必要です。
歯科からみると、口腔保健・歯科医療は生活機能の大きな柱である食物摂取機能と
言語表出機能の維持や回復を通して、自立と社会参加を支援していく領域で関与します。
今後も高齢社会に不可欠な福祉と連携した生活支援型保健・医療に積極的に参画して
介護を必要とする多くの人達の生活の質の向上に寄与することが求められます。
〔介護保険法〕
介護保険法は高齢者の自立支援を基本理念に、1997年に成立し2000年から施行されました。
これはわが国の高齢化に伴い、要介護高齢者が増加することに対して医療と福祉のサービスが
対応しきれなくなったことから、社会保険方式を創設し、
国全体で高齢者の介護を支える仕組みをつくろうとしたものです。
歯科医師はかかりつけ歯科医を中心に関与するとともに、
介護認定審査会の審査委員として介護認定にかかわる場合も多く、
また介護支援専門員の要請に応じてサービス担当者会議に出席して意見を述べる機会もあります。
要介護者・要支援者の多くが歯科治療や口腔ケアを必要とすることから、
介護保険法の内容とそれに基づく保健・医療と福祉の連携内容を理解することが求められているのです。
・介護保険法の目的
介護保険法第1条
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、
入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、
これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、
必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、
その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
・介護保険の制度としての特徴
→老後の最大の不安要因である介護を社会全体で支える制度
→社会保険方式により給付と負担の関係を明確にした制度
→利用者の選択により、さまざまな保健・医療・福祉サービスを総合的に受けられる制度
→介護を医療保険から切り離し、社会的入院解消の条件整備を図る制度
・介護保険の保険としての特徴
→北欧型の税金方式と、ドイツの保険方式の両者の長所を取り入れている。
→要介護に加えて、虚弱老人に対しての要支援(要介護になることの予防)を給付に加えた。
→残された能力を伸ばし、自立を図ることを積極的な目的として掲げている。
次回、歯科との関係についてもう少し詳細にお伝えしましょう。