2025/09/18
こんにちは、歯科医師の上原です。9月に入っても暑い日が続きますね。
暑さのピークは過ぎたとはいえ、体調管理にはお気をつけください。
さて、お口の中で下顎の内側や上顎の中央などにコブのような硬い膨らみがある方はおられるでしょうか。
これは骨隆起といって、歯ぐきの下にある顎の骨が通常よりも過剰に成長し、隆起している状態です。
骨隆起は病気ではなく、体の自然な反応の一部で、噛む力による負荷に顎の骨が耐えられるように過成長したものです。
骨隆起がよく出来る部位
① 下顎の内側

② 上顎の中央

③ 上顎や下顎の頬側

骨隆起ができる原因
骨隆起は上記のような噛む力が強くかかる部分にできます。
発生原因は解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
① 歯ぎしりや食いしばり、ストレス
人はストレスを感じると無意識のうちに食いしばったり、寝ている間に歯ぎしりをすることがあります。
歯ぎしりや食いしばりは、顎に対し過剰な力を加え骨に刺激を与える要因 となります。
この刺激が繰り返されることで、骨が厚みを増し骨隆起が形成されると考えられています。
② 環境要因や習慣
力仕事をする方やスポーツ選手などぎゅっと噛みしめたり上下の歯を長時間接触させる癖のある方、
また硬い食べ物がお好きな方も骨隆起の原因になる可能性があります。
骨隆起による問題
骨隆起自体は悪いものではなく、骨ですから特に問題がなければ治療の必要はありません。
しかし以下のような影響が出ている場合には適切な対処が必要です。
① 義歯の適合が悪くなる
大きな骨隆起があると義歯を装着した際にうまくフィットせず、
痛みや違和感をひきおこすことがあります。
② 粘膜が傷つく
骨隆起の表面を覆う粘膜は薄いため、硬い食べ物などの外部からの刺激により、
傷つきやすく痛みや炎症を引き起こすことがあります。
骨隆起の対処法
① 骨隆起自体は治療の対象ではありませんが、骨隆起によって義歯と干渉する場合や
口内炎が繰り返し生じる場合には、外科的な除去を必要とする場合があります。




② 骨隆起そのものを完全に予防することは難しいですが、ナイトガード(マウスピース)を装着することにより
骨隆起の背景となった過度な負荷を軽減することは可能です。
ナイトガードは、寝ている間の歯ぎしりや食いしばりを物理的に抑える効果があります。
ナイトガードを装着することで、噛み合わせによる圧力を均等に分散でき、
骨隆起の主な原因の一つである歯ぎしりや食いしばりよる顎への過剰な力を軽減し、
骨隆起の進行を抑制する効果が期待できます。
骨隆起は日常生活におけるストレスなどの影響を受けることもありますが、適切なケアにより症状の進行を抑制することが可能です。
特にナイトガードの使用は、骨隆起の原因となる歯ぎしりや食いしばりのコントロールに非常に効果があります。
もし骨隆起や歯ぎしり、食いしばりなどが気になる場合にはお気軽にご相談ください。
2025/09/11
こんにちは。訪問歯科医師の村山です。
日々の診療で高齢者と接する機会が多いのですが、よく耳にするのは「昔はこんなんじゃなかった。歳いきましたわ。」と、
身体の不具合を訴えられる言葉です。「歳を重ねる」ことに医学的定義があることをご存知ですか。
老化の定義と特徴
老化とは、成熟期に達した個体が徐々に身体諸機能の低下・減弱をきたして死亡するまでの過程をいう。
老化によって生じる身体機能の変化が老化現象である。老化には次のような原則がある。
・老化の過程は環境の変化を受けず、時間に依存しており、これは先天的な因子(遺伝子)に規定されている。
・どのような生物にもみられる普遍的な変化である。
・常に進行して非可逆性の変化をもたらす。
・その結果、生存に関して不利な条件をつくり、死の確率を高める。
以上の老化4原則に従った老化を生理的老化という。一方、動脈硬化、糖尿病などは加齢とともに増加する慢性疾患であるが、
このような疾患によって促進される老化は上記の4条件を満たすものではなく、病的老化と呼ぶことがある。老化を細胞単位で考えると、
基本的には臓器機能を担う細胞の数が減少することである。その結果、細胞間ひいては組織間の交流も阻害され、組織や臓器の機能は低下してくる。
上記のように、老化は加齢に伴う変化であり、進行性で誰にでもみられるものである。
しかし個体差が大きく、臓器による差もある。脳、運動器、腎、性腺などは老化現象が著しく、消化管、肝、甲状腺などは比較的少ない。
これまで疾患の原因として老化という最も重要な因子はあまり重きをおかれていなかった。
しかし、ほとんどの疾患の有病率が加齢とともに急激に高くなることは、老化が多くの疾患の発症に深くかかわっていることを示している。
例えば胃癌、肺癌などほとんど全ての癌の罹患率は加齢とともに指数関数的に高くなる。うっ血性心不全、心筋梗塞などの心疾患も加齢とともに増加する。
肺炎による死亡は小児では激減しており65歳以上の高齢者がその大半を占める。高齢者にとって肺炎は死につながりやすい疾患であるといえ、
老人性肺炎は誤嚥によるものが多い。脳梗塞や脳出血も加齢とともに増加している。
日本人の4大死因となっている疾患は全て加齢または老化とともに発症頻度が高くなっており、老化がその最も重要な発症要因になっている。
ここまで読まれると何も良いことが書かれていないと感じられたかもしれません。ただ歳を重ねることは誰にでも平等におとずれる変化であり、
受け入れざるを得ないものなのです。

2025/09/04
こんにちは。歯科医師の井畑です。
今回は子供の虫歯について書いていこうと思います。
生まれてから役半年後くらいから生えてくる乳歯は、大人の歯である永久歯に比べ、
虫歯になりやすく進行が早いという特徴があります。また、こどもは症状をうまく伝えることができず、
虫歯の発見が遅くなることも多いです。しっかり歯磨きしていたはずなのに虫歯ができてしまったと、
ショックを受ける保護者の方も少なくないかと思います。
乳歯の虫歯は永久歯と比べて、進行が早いことが特徴です。
エナメル質が薄く歯質がやわらかいことや酸に弱いことが、
虫歯の進行が早い理由としてあげられるでしょう。
また、乳歯の初期の虫歯は白い場合もあります。乳歯は永久歯と比べて歯の色自体が白い場合があり、
その為発見が遅れ、進行することもあるでしょう。

乳歯も永久歯と比べて虫歯になりやすい特徴を持っています。
乳歯は歯の表面にあるエナメル質は、歯を溶かす原因である酸から歯を守る役割を果たしています。
しかし、乳歯のエナメル質の厚さは永久歯の半分程度しかありません。
そのため、エナメル質が溶かされやすく、虫歯になりやすいのです。
さらに乳歯は永久歯と比べて石灰化が進んでおらず、永久歯に比べて歯質がやわらかいです。
そのため、酸に溶けやすく、虫歯になりやすいといえます。
乳歯は自然に抜け落ちるから放置してもいいのかというと様々なリスクがあります。
乳歯の虫歯を放置することで、歯根部分に膿が溜まることがあります。
乳歯が抜け落ちても膿が残り、永久歯の形成不全や変色を引き起こす原因となるでしょう。
また、通常より早く乳歯が抜け落ちることがあります。
乳歯が抜けて空いたスペースに周りの歯が倒れると、歯並びに影響を及ぼします。
更に、虫歯がある状態は、虫歯がない人と比べると虫歯菌の活動が活発になっている状態が多いままだと言われています。
すると虫歯の乳歯が抜けても生えてきた永久歯が虫歯になりやすいです。

では、乳歯の虫歯を予防する方法として何があるでしょうか、ここでいくつか紹介します。
乳歯の虫歯予防には、毎日の歯磨きが欠かせません。歯垢ができないよう、しっかりと汚れを落とす必要があります。
お子さまの歯磨きだけでは汚れを落とすことが難しいため、
保護者の方が仕上げ磨きをすることが大切です。仕上げ磨きを習慣化すると、
毎日口の中を観察することができ、虫歯の早期発見にもつながります。
そして、毎日の観察に加えて、歯科医院で定期健診を受けることが、虫歯予防や虫歯の早期発見につながります。
虫歯だけでなく、虫歯になりそうな歯も教えてもらえるため、虫歯になる前に予防することができるでしょう。
また予防処置として当院ではフッ素塗布や、
シーラントを行っていますので気になる方はご相談いただければと思います。
乳歯が虫歯になりやすい原因や乳歯の虫歯の特徴、治療法や予防法を解説しました。
乳歯の虫歯は早期発見・早期治療が大切です。
毎日の歯磨きや、定期検診によって、お子様の歯を虫歯から守りましょう。
2025/09/02

こんにちは。院長の谷田です。
9月頃からは新米が多く出回り始めます。
お米をよく噛むとだ液の分泌が促され、
消化・吸収がスムーズになるほか、
自然な甘みを感じることができます。
お米をよりおいしく味わうためにも、
日ごろからしっかり噛んで食べることを
意識したいですね。
ところで、この「だ液」ですが、
時折、お口の中や唇に水ぶくれのような症状を
引き起こすことがあります。
◆唇や舌にできる水ぶくれ、その正体は?
お子さんのお口の中に
小さな水ぶくれのような膨らみが見つかると、
心配になり、慌てて受診をされるケースが
少なくありません。
このような唇や舌にできる
半透明の膨らみは
「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」の可能性があります。

粘液嚢胞とは、
お口を噛んだり傷つけたりすることで、
だ液を運ぶ細い管が詰まってしまい、
だ液の行き場がなくなって
水ぶくれのようになってしまうものです。
見た目ほど心配なものではありませんが、
自然に消えることは少なく、
繰り返しやすいのが特徴です。
◆痛みはなくても油断は禁物
粘液嚢胞は子どもに多くみられる
お口トラブルのひとつで、
舌の先や裏側、下唇にできやすく、
直径5~15mmと大きさもさまざまです。
ただし、中に溜まっているのはだ液なので、
基本的に痛みを伴うことはありません。
「つぶれると中のだ液が出て小さくなりますが、
「しばらくするとまた溜まって膨らんでくる…
というのを繰り返すのが、
この病気の厄介なところです。

つい自分でつぶしてしまいたくなりますが、
傷口に細菌が入り
炎症を引き起こすおそれもあるため、
気になっても無理に触らず安静を保ちましょう。
◆治療法と注意したいポイント
粘液嚢胞の多くは自然に治ることはなく、
効き目のある塗り薬や飲み薬もありません。
膨らみが小さいものであれば
経過を見守ることもありますが、
根本的に治すには、
原因となっている小さなだ液腺ごと
嚢胞をとり除く外科処置などが必要になります。
特に、舌の裏側のやわらかい部分に
大きく膨らんだ「ガマ腫」と呼ばれるタイプのものは、
放っておくと食事や発音に
支障が出ることもあるため、
早めの受診が安心です。
◆気になる症状は早めの相談を
粘液嚢胞のほとんどは良性ですが、
再発を繰り返したり大きくなったりする場合は
治療を検討する必要があります。
また、まれにですが
別の病気が隠れていることもあるため、
自己判断で放置するのは禁物です。

お口の中に気になる膨らみ・できものを見つけたら、
早めに歯科医院を受診しましょう。
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
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