2022/05/06
こんにちは。院長の谷田です。
爽やかな五月晴れが心地よい季節になりました。
気温も上昇し、日中は少し動くだけで、
汗ばむ日も出てきましたね!
さて、汗をかく季節になると
体のニオイが気になりますが、
気にすべきなのは体臭だけではありません。
口臭も気にすべきニオイのひとつです。
たかが口臭…
そう思われるかもしれませんが、
なかなか消えない口臭の影には
実は深刻な病気が隠れているかもしれません。
◆誰にでもある生理的口臭
皆さんは朝起きた時に、
お口のニオイが「くさい」と
感じたことはありませんか?
起きた直後やお腹が空いている時、
緊張している時などは
だ液の分泌量が減少します。
すると、お口の中に細菌が増えてしまい、
口臭の原因となる揮発性(きはつせい)の
「硫黄化合物(いおうかごうぶつ)」が
たくさん作られてしまうのです。
硫黄化合物は
野菜が腐ったようなニオイや
卵が腐ったようなニオイなどに例えられ、
悪臭と言われることも。
この悪臭こそが、
「生理的口臭」の正体です。
しかし、ニオイの強さは人によって異なるものの、
生理的口臭は、誰にでもある口臭で、
食事や歯みがきをすることで口臭は弱まります。
また、女性はホルモンの影響によって
お口のニオイが強くなることもありますが、
一時的に強くなるお口のニオイは
それほど心配する必要がありません。
気がかりなのは、次の「病的口臭」です。
◆治療が必要な病的口臭
口臭の中には治療が必要となるものもあります。
それが、病気によって発生する
「病的口臭」です。
原因となる主なお口の病気には、
・歯周病
・むし歯
・舌苔(ぜったい)
などが考えられます。
この中でも1番考えられる原因は歯周病。
歯周病は細菌の感染によって引き起こされる疾患で、
進行すると
歯を支えている骨が溶かされてしまうことも。
しかも、歯周病の原因となる細菌は、
嫌なニオイの元となる硫黄化合物を生み出します。
また、舌に白っぽいものが付着している場合、
それは「舌苔」という細菌のかたまり
の可能性もあります。
舌苔に含まれた細菌を放っておくと
病的口臭は、
より一層強くなっていくのです。
口臭の原因はそれだけではありません。
「むし歯」も原因のひとつになり得ます。
むし歯が進行すると歯に穴が空き、
神経が腐敗してしまうことがあります。
すると、「その穴に詰まった食べかす」や
「腐敗した神経」から
強烈なニオイが生じるためです。
◆お口のケアで口臭予防
口臭には様々な原因が存在し、
中には全身の病気が関係している場合もあります。
しかし、口臭の原因の80%以上は
お口の中にあるといわれており、
その原因を減らすには、
お口の中を清潔にすることが大切です。
歯ブラシとフロスや、タフトブラシなどを併用し、
お口の中の汚れを丁寧に落としましょう。
そして、ご自宅での歯みがきだけでなく
歯周病やむし歯の早期治療につながる
歯科検診も欠かせません。
私たちが行うプロフェッショナルケアと
皆さまが行うセルフケアの2本柱で、
お口のトラブルを防ぎましょう!
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
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2022/04/28
こんにちは。歯科医師の村重です。
今年はこの時期になっても雨が多く、気温の変動も激しいため
皆様体調を崩されないよう、お気をつけ下さい。
さて、今回のテーマは前回に引き続き摂食・嚥下となります。
前回まで二回にわたって食形態についての内容でしたが、
今回は飲み物に付与する「とろみ」についてです。
水のようにさらさらとした液体は、速く動いてしまうので
誤って気管に入ることがあります。
とろみをつけることでゆっくりとした動きになり、
液体が気管に入るのを防げます。
そして、摂食・嚥下リハビリテーション学会では
嚥下障害者のためのとろみ付き液体を「薄いとろみ」
「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階に分けて
表示していいます。
以下に、学会が公表しているとろみの基準を引用します。
薄いとろみとは、中間のとろみほどのとろみの程度がなくても
誤嚥しない、より軽度の症例を対象としています。
口に入れると口腔内に広がり、飲み込む際に大きな力を要しません。
コップを傾けると落ちるのが少し遅いと感じますが、
コップからの移し替えは容易であり、細いストローでも十分に吸えます。
中間のとろみよりもとろみの程度が軽いため、患者さんの受け入れは良いです。
中間のとろみとは、明らかにとろみがあることを感じるものの、
「drink」するという表現が適切なとろみの程度です。
口腔内での動態はゆっくりですぐには広がらず、
舌の上でまとめやすいです。
スプーンで混ぜると少し表面に混ぜ跡が残り、
スプーンですくってもあまりこぼれません。
コップから飲むこともできるが、細いストローで吸うには
力がいるため、ストローで飲む場合には太いものを
用意する必要があります。
濃いとろみとは、重度の嚥下障害の症例を対象とした
とろみの程度です。中間のとろみで誤嚥のリスクがある症例でも、
安全に飲める可能性があります。明らかにとろみがついており、
まとまりが良く、送り込むのに力が必要です。
スプーンで「eat」するという表現が適切で、
ストローの使用は適していません。
コップを傾けてもすぐに縁までは落ちてこず、フォークの歯でも少しはすくえます。
摂食・嚥下障害をもった患者さんでも、その患者さんの状態に合わせた
食形態やとろみを選択することによって、リスクを最小限に抑えた
食事を提供することができます。
「食べる」「飲む」というのは何にも代え難い人間の大きな喜びの一つなので、
多くの患者さんがその喜びを持ち続けられることを願っています。
2022/04/21
こんにちは。歯科医師の西田です。
桜は終わってしまいましたが、
春 本番、色々な花が順番に咲いていく季節となりました。
芝桜、チューリップ、藤、ツツジ・・・。ですが、
今回のテーマは華々しい春の花とは無縁の、地味な内容になります。
皆さまは、デンチャー・プラークという言葉を聞いたことはおありでしょうか?
定期的に歯医者に通院されている皆さまは、
プラークという言葉はご存知だと思います。
始めて衛生士さんの歯磨き指導をうけられた時、
歯の表面に付いた白いネバネバは細菌の塊だと伝えられ、
衝撃を受けられた方もいらっしゃると思います。
デンチャーは、歯科用語で入れ歯のことを指します。
そう。デンチャー・プラークとは、入れ歯に付いた細菌の塊のことを言うのです。
私たちは、訪問先のお宅や施設で、皆さまの歯と入れ歯を、
必ず磨いて清潔にして帰ります。デンチャー・プラークも、
歯のプラーク同様、健康を脅かす曲者だからです。
ここで、入れ歯の種類と材質についてお話します。
多くの場合、入れ歯の材料にはプラスチックが使われています。
プラスチック製の入れ歯は吸水性があり、汚れや細菌が付着しやすく、
装着中は粘膜と入れ歯との隙間に細菌が繁殖しやすいと言われています。
入れ歯は噛むと微妙に動き、柔らかい粘膜は刺激を受けます。
もしも入れ歯が不潔になると、デンチャー・プラーク中のカンジダと
呼ばれるカビの一種によって、入れ歯に刺激された粘膜に、
口内炎ができやすくなります。
カンジダによる口内炎は痛いため、食欲不振となり、体力が落ちてしまいます。
デンチャー・プラークの影響は、義歯性口内炎にとどまりません。
同一人物の歯のプラークとデンチャー・プラークの細菌の組成は、
似通っているため、デンチャー・プラークは、
残存しているご自身の歯の虫歯や歯周病の原因になりかねないとも言われています。
また、近年は、デンチャー・プラークが誤嚥性肺炎の原因菌や
MRSAの供給源になりうるとの報告もされており、
全身疾患を起こすリスク要因としても注目されています。
では、デンチャー・プラークにどのように対処すればよいのでしょうか。
ブラシによる機械的清掃と義歯洗浄剤による化学的清掃の併用が有効です。
毎食後、入れ歯を外して清掃し、1日1度は義歯洗浄剤で殺菌洗浄しましょう。
ティッシュコンディショナーなどの仮の裏打ち材、
軟質の裏打ち材などを貼っている入れ歯は、
ブラシで強く擦ると剥がれてしまうため、注意が必要です。
入れ歯も美味しく食事を摂るためのお箸やお茶碗などの食器と同じように考えて、
使用後は必ず洗って清潔にし、健康な毎日を過ごせるようにしたいですね。
2022/04/14
こんにちは!歯科医師の法貴です。
4月に入り新生活をスタートさせた人も多いと思います。
まだまだコロナも落ち着かない状態なので
体調管理に気をつけながら今年度も頑張っていきましょう。
さて今回は出産後の口腔内、歯科受診についてです。
出産後は新たに始まった育児に時間を追われ、
心身ともに疲労も増してくると思います。
妊娠中は自分自身のための歯磨きが習慣化できていても、
出産後に継続できなくなることは珍しくはありません。
赤ちゃんが寝ている時や、家族が育児を担ってくれている時に、
不十分になっている歯磨きを、丁寧にするように心がけてください。
使用する歯ブラシなどのグッズは特に
変更する必要はありませんが、歯肉に炎症症状などが
残存している場合には「やわらかめ」タイプの使用をしてください。
どうしても育児中心のせいかつになるので、
もし時間がなければ含嗽も一つの手です。
赤ちゃんへのう蝕原生細菌の伝播を予防するためにも、
口腔内に多量のプラークを長時間貯留させないことが
伝播のリスクを下げるうえでも必要です。
出産後6〜8週間で身体はほぼ妊娠前の状態に戻るため、
通常の歯科治療は可能です。しかし、授乳中の産婦では、
エックス線写真撮影、歯科局所麻酔、薬剤投与による
母乳への影響を心配する方が少なくありません。
エックス線写真撮影の際には必ず防護用エプロンを着用し、
胸部から腹部にかけて遮蔽するため、一般患者と同様に
問題はありません。また、照射方向は歯や顎の骨であるため、
授乳中であっても関連しないです。
歯科で使用する麻酔薬は、局所で作用し分解されるため、
授乳中であってもとくに問題はありません。
母乳を介して乳児が暴露される薬物は、
乳児に対する治療量の10%にも満たない量である場合が
多いと言われています。さんかげつを過ぎた赤ちゃんは
代謝機能がしっかりとしてくるので、薬剤の成分が
ごくわずかに母乳へ移行したとしても、
歯科で処方する鎮痛剤や抗菌剤に関しては
まず心配ないと考えられています。
どうしても授乳への影響を心配される方には、
歯科治療前に授乳してもらったり、
搾乳して冷凍保存していただく方法もあります。
気になることがあればいつでも
タニダ歯科医院まで相談してください。