タニダ歯科医院ブログ

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西宮市の「タニダ歯科医院」がお送りするブログです。

親不知

こんにちは、歯科医師の川村です。

 

今回は、親知らずに関してです。

 

先ずは、親知らずって何?

専門的には、第三大臼歯(智歯)と呼ばれています。

前歯から数えると8番目にあたる歯になります。

一番最後に、一番奥に生えてくる永久歯です。

元々ない方もいます。

一番最後に生えてくるために顎骨の中で

生えてくるスペースが不足しがちで、

常に生えてくるのが難しくなります。

このことが原因で腫れたり痛みが出てきたりします。

 

<智歯の疾患として・・・>

①智歯周囲炎

奥歯の辺りが腫れて痛い場合、智歯周囲炎かもしれません。

齲蝕ではなく、智歯周囲組織の炎症です。

智歯は、歯列の最後方で半埋伏(中途半端に生えている状態)

になることが多いです。

この状態では、歯の一部が口腔内に出ていても他の部分は粘膜で覆われています。

そのために粘膜と歯との間に深い歯周ポケットが形成されて、

その中で細菌が増殖して炎症が起こることがあります。

また、盛り上がった粘膜を咬んでしまい、傷が出来て起こることもあります。

下顎に起こることが多いです。

 

②萌出するときの痛み

智歯が萌出するときに、周囲の歯茎や隣の第二大臼歯を押してしまうために生じ

ることがあります。

智歯が萌出するスペースがあれば断続的な痛みが続いた後、歯茎が膨らんできて

萌出してきます。

萌出スペースが不足すると押す力が強くなり痛くなることがあります。

 

③齲蝕

智歯は一番奥にあるため歯ブラシが届きにくいため、デンタルプラークの除去が

困難で不潔になりやすく、齲蝕になりやすい傾向があります。

他の歯と同様に齲蝕の痛みが出てきます。

 

 

<治療方法>

智歯周囲炎の場合、急性炎症時は安静と局所洗浄、

抗菌薬の投与、鎮痛剤の投与を行います。

加えて、膿瘍(膿がたまった状態)が出来ていれば、

切開して排膿(膿を出す)を行います。

ただし、炎症が軽快しても智歯がある限り再発を

繰り返すことがあるために、抜歯をすることが多いです。

症状があるときに抜歯をすると、麻酔が効きづらかったりするので、

症状が軽快してから抜歯を行うことが多いです。

 

 

<抜歯の後に・・・>

抜歯後に起こりやすいのは、腫れと痛みです。

特に下顎の智歯抜歯後には腫れることが多く、

骨を削ったりすると腫れが出やすいです。

腫れが外に広がると頬が膨らんで見えて、上方へ向かうと顎の関節周囲

に近づくために口が開けづらくなることがあります。

腫れに関しては、抜歯後23日がピークで大体は1週間程度で

収まることが多いです。

抜歯後に多いトラブルとしては、ドライソケットと呼ばれる症状があります。

抜いた箇所がズキズキと痛み出すことがあります。

通常は、抜いたところの穴の部分は、血餅(血の塊)で満たされます。

その血餅がとれた状態がドライソケットです。

下顎に起こりやすいですが、予測は困難です。

この場合は、傷口に軟膏のガーゼを詰めて蓋をし、

頻回のガーゼ交換、消毒をしながら傷口の回復を待ちます。

 

虫歯にならない!キシリトールの働き①

こんにちは。歯科医師の村重です。

砂糖は摂りたくないけど甘い物が食べたい。そ

ういった思いを満たすものとして代用甘味料があります。

そんな中でも虫歯に対して特に効果が高いのがキシリトールです。

キシリトールは、ソルビトールやマルチトールと

同じ糖アルコールという甘味炭水化物の仲間です。

自然界では多くの果実や野菜に含まれています。

例えば、イチゴには乾燥重量100g中に約300mg

キシリトールが含まれています。

また、人の肝臓でも、1日当たり約15gのキシリトールが作られています。

私達がガムやタブレットなどのお菓子の形で口にするキシリトールは、

白樺や樫などの木から抽出されるキシランヘミセルロースを原料にして、

工業的に作られています。

自然界にあるキシリトールも、工業的に作られたものも、

同じ分子式(C5H12O5)ですので、両者に差はありません。

 キシリトールは、日本では平成9年(1997年)4月に

食品添加物として認可されました。

しかし、それ以前から10年以上、輸液に含まれる糖質として使用されており、

人体にも安全であることが知られています。

キシリトールは、砂糖と同じ甘味度を持っており、

溶ける時に熱を奪うので、口に含むとスーッとした冷たい感覚があります。

そのため、ミントの味によく合うことから、キシリトールを使ったお菓子には、

ミント味が多く見られます。

また、果物の味をより新鮮にする効果や、苦味を消す効果もあります。

 さらに、冷却効果があることから、布地に応用した夏用の肌着や寝具、

そして化粧品も市場に出ています。

 先に虫歯に効果的と書いたように、キシリトールを始めとする糖アルコールは、

虫歯の原因になりません。

糖アルコールからは、口の中で歯を溶かすほどの酸は作られないからです。

ソルビトールやマルチトールからは、

少量ですが歯垢(プラーク)中で酸ができますが、

キシリトールからは酸は全くできません。

また、キシリトールの方が甘みが強いので、

その甘味により唾液も出やすくなります。

 酸を作らないこと、そして、唾液の分泌を刺激して酸を中和することが、

キシリトールが虫歯の原因にならない理由です。

さらにキシリトールには、「虫歯の発生や進行を防ぐ」という、

他の糖アルコールにはない特徴的な効果があります。
キシリトールをガムやタブレットの形で一定期間以上口の中に入れると、

虫歯の原因となる歯垢が付きにくくなるだけでなく、

歯の再石灰化を促し、歯を固くします。

さらに、キシリトールには、虫歯の大きな原因であるミュータンス菌の活動を

弱める働きも持っています。
このような働きは、他の甘味料には見られない、キシリトールだけの効果です。
次回は、キシリトールの上手な使い方について書きたいと思います。

むし歯は子どもにうつります

 

こんにちは。院長の谷田です。
5月5日は「こどもの日」でしたが、
「端午の節句」でもありましたね。

 

鯉のぼりや五月人形を飾って、
お子さんの成長をお祝いした
ご家庭もあるのではないでしょうか?

 

日々の生活の中で、
お子さんの成長を感じる場面は
たくさんあると思いますが、
歯の生え変わりもその一つでしょう。

 

 

乳歯は生え変わりますが、
永久歯は生え変わりません。

 

子どもの頃から歯みがき習慣を身につけ、
むし歯を予防し、一生自分の歯で
お食事を楽しんでいただきたいと思います。

 

 

 

さて、みなさんは「むし歯はうつる」
ということをご存知でしょうか?

 

 

正確にいうと、
むし歯がうつるのではなく、
「むし歯菌」がうつります。

 

 

むし歯菌は生まれたばかりの
赤ちゃんのお口の中には存在しません。

 

しかし、お父さんやお母さんの口から
「だ液」を介して
うつります。

 

 

 

 

◆「どんなとき」にうつる?

 

むし歯菌はだ液に含まれるため、

・スプーンやコップなど食器の共有
・食べ物の口移し
・キス
・熱い食べものをフーフー冷ます

によって感染します。

 

 

 

 

 

特に感染しやすい時期は、
生後19ヶ月~31ヶ月の間。
『感染の窓』と呼ばれる時期になります。

 

 

 

 

◆妊娠中に増えるむし歯菌

 

お父さんお母さんの
お口の中にむし歯菌が多いと、
お子さんへの感染リスクも上がります。

 

大切な赤ちゃんの歯を感染から守るためにも、
親御さんのお口のケアは大切です。

 

 

特に、お母さんの場合は
妊娠中のつわりで食生活が乱れやすく、
口内環境が乱れがちに。

 

むし歯や歯周病になりやすいので、
いつも以上に入念なケアを心がけてください。

 

 

ブラッシングができない時でも、
軽く口をゆすいでおくのがお勧め。

 

お茶やお水を飲んでおくだけでも
むし歯予防になります。

 

 

そして、安定期に入ったら
歯のクリーニングを行い、
むし歯があれば
ぜひ治療を受けましょう。

 

 

 

 

◆むし歯になりやすいところ

 

乳歯がむし歯になりやすい主な場所は、

・奥歯や、上の前歯の「歯と歯の間」
・歯と歯ぐきの境目
・奥歯の溝

 

 

 

 

 

最初に生えてくる永久歯、
通称「6歳臼歯」も
歯ブラシの毛先が届きにくく、
むし歯になりやすい場所です。

重点的にケアしましょう。

 

 

 

 

◆乳歯のむし歯も放置はNG

 

一見、
「乳歯は生え変わるし、
むし歯になっても問題ないのでは?」

 

と考えてしまうかもしれませんが、
それは大きな間違いです。

 

乳歯にむし歯があると、むし歯菌の数が増えて、
すぐ下に控えている永久歯にも悪い影響を与えます。

 

特に、3歳を過ぎるとむし歯が急激に増加するので、
3歳までの予防も欠かせません。

 

 

感染に気をつけるのはもちろん、
ダラダラと食べないなど、
「むし歯になりにくい習慣」をつくりましょう。

 

 

 

 

 

歯科医院では治療だけでなく、
ブラッシング指導なども行っています。
大切なお子さんがむし歯になる前に、
ぜひ親子で歯のメインテナンスにいらしてください。

 

 

 

 

タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/

歯の再生

こんにちは。歯科医師の今泉です。

京都新聞より歯の未来に期待ができる記事が

載っていましたので紹介させて頂きます。

202156 京都新聞より

 

夢の「歯生え薬」開発進む、

マウスや犬で成功 先天性無歯症の患者のために

 

一度失えば二度と生えない大人の歯。

治療はもっぱら義歯やインプラント(人工歯根)を使うしかないのが現状だが、

京都市左京区のベンチャー「トレジェムバイオファーマ」は、

歯が再び生えるという夢のような「歯生え薬」の開発に取り組む。

乳歯が抜けた後に永久歯が生えそろわない先天性無歯症の患者に向け、

2030年の販売を目指している。

 

 京都大大学院医学研究科の高橋克准教授(現客員研究員)の

呼びかけで昨年5月に会社を設立した。

社長には、当時、高橋研究室にいた歯科医の喜早ほのかさんが就任した。

 

歯が何度でも生え替わるサメやワニと異なり、哺乳類の人間は1度きり。

ただ、人の細胞内には、乳歯と永久歯の次に生える「歯の芽」が

存在していることが先行研究で判明していた。喜早社長たちは、

歯の芽の成長を止めて2回目の生え替わりを防いでいるタンパク質を発見。

その働きを阻害する抗体を開発した。

 

 早速、先天性無歯症のマウスで試したところ実験は成功した。

イヌでも注射後4カ月で歯が生えてきた。

研究は今のところ順調で、23年には健康な人に投与する治験を開始し、

安全性や有効性を詳しく検証する方針だ。

 

 「薬で歯が生えるなんて、そんなことがあるのか」。

周囲の歯科医の驚きをよそに進む研究の原点には、喜早社長の実体験がある。

中学生のころ、顎に腫瘍ができる病気にかかり、手術で右の奥歯2本を抜歯した。

「ものをかみにくく、かみ合わせも悪かった。

ずっとこのままなのか心配だった」。不安と隣り合わせの日々は、

顎の骨が成長し終えた大学時代にインプラントを入れるまで続いた。

 

 先天性無歯症は、成長期の子どもにとって

栄養摂取や成長の妨げになりかねない。

先天性無歯症の治療薬を市場に投入できれば、

その後、虫歯や歯周病で歯を失った人を対象にした薬の開発を進める。

 

 喜早社長は「歯がなくなれば気力も湧かなくなる。

義歯やインプラントではなく、自分自身の歯でずっと過ごせる薬をつくりたい」と話す。

 

社長 喜早(きそ)ほのかさん

 

 京都大大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。

歯科医。顎の骨の病気で奥歯を抜いた経験から歯の再生研究を志す。

現場感覚を忘れないため、会社経営の傍ら京都市内の病院で診療も続ける。

 

今後の研究進行の記事がありましたらまた紹介させて頂きます。

 

お口の中のお花畑