2024/07/11
こんにちは。歯科医師の村重です。
梅雨入りしてからというもの、雨空と猛暑が交互にやってきて
身体には厳しいですが、皆さんもなんとか乗り切っていきましょう。
さて、皆さんは朝起きたときになんとなく顎が疲れていたり、
日中ふとしたときに歯を食いしばっていることに
気づいたことはありませんか?
そういった症状に心当たりがある場合、
ブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)を行なっているかもしれません。
歯ぎしり(ブラキシズム)とは、
上下の歯が非機能的な接触を生じている状態を言います。
寝ている時に起こる場合と、目覚めている時に起こる場合とにより、
睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムとに分けられます。
また、ブラキシズムは下顎の運動を伴う
グラインディング(いわゆる歯ぎしり)とタッピング、
一定の下顎位で行われるクレンチング(食いしばり)とに
分類することができます。
睡眠時ブラキシズムは基本的には中枢性の問題であり、
睡眠関連疾患と考えられています。
一方、覚醒時ブラキシズムは、様々な条件に伴って
獲得された習癖であると考えられています。
以下にそれぞれの治療法について説明します。
①睡眠時ブラキシズム 睡眠時ブラキシズムに関連する
因子は患者個々で異なるため、
現時点では確実にブラキシズムを抑制できる単一の治療法はありません。
ストレス、飲酒、喫煙、服薬、睡眠障害等の関与が疑われれば、
ストレスマネージメント、飲酒や喫煙に対する指導、
服薬の変更や中止などで抑制できる可能性があります。
これらは口腔の健康のみならず全身管理の面からも
まず行われるべきことです。
代表的な治療法として以下のものがあります。
スプリント療法:スタビリゼーション型スプリントを用いた
スプリント療法が、短期的にブラキシズムを抑制することが
報告されています。ただし、全ての患者に対して
有効であるわけではないこと、また有効であっても
これらの効果は短期的なものであり、長期間スプリントを
使用しているとブラキシズム・レベルは元に戻ることが
示されています。しかし、スプリントには歯や歯冠修復物を
ブラキシズムから保護することができるという利点があり、
スプリントによって睡眠中に生じる顎関節への負荷を
軽減できる可能性もあります。
薬物療法:薬物に関しては、筋弛緩剤である
ジアゼパムやメトカルバモール、
高血圧の治療に用いられるクロニジン、
ベンゾジアゼピン系のクロナゼパムなどにブラキシズム抑制効果が
あることが示されていますが、薬物依存、
副作用などの問題があり長期的には使用できません。
②覚醒時ブラキシズム 覚醒時ブラキシズムは、
咀嚼や会話などの機能時以外に観察されます。
覚醒時ブラキシズムについても、ストレスなど様々な因子が
関連してくる可能性がありますが、
睡眠時ブラキシズムと異なり、
無意識で行われるものばかりではなく、
意識的に行われる場合もあります。
いずれにせよブラキシズムが強い力を伴う場合や、
弱くても長時間持続すれば顎口腔系に対して
様々な為害作用を及ぼす可能性があります。
覚醒時ブラキシズムについては、覚醒時の現象で様々な
条件に伴って獲得された習癖と考えられるため、
理論的には患者指導により是正が可能です。
ブラキシズムは知覚過敏や、歯の破折や被せ物の脱離、
顎関節症に至るまで様々な症状の原因となります。
歯ぎしりの自覚があったり、
指摘されたことのある方は気軽にご相談下さい。
2024/07/04
こんにちは。歯科医師の西田です。
近畿地方もようやく梅雨入りしましたね。
毎日雨続きだと、家に籠っておやつばかり食べてしまいそうですが、そんなあなた、注意が必要ですよ。
血糖値が高め、歯ぐきの腫れが気になっているあなたは、さらに注意が必要です。
今日は歯周病と糖尿病についてお話を進めていこうと思います。
歯周病は細菌感染による慢性の炎症です。
進行すれば膿が出たり歯がグラグラして抜けてしまうことは良く知られていますが最近の研究によりさまざまな生活習慣病と関係があることがわかってきました。
その1つが糖尿病です。
あまり知られてはいませんが実は歯周病は糖尿病の合併症の1つといわれるほど深い関連性があります。
まずは下の図をご覧ください。
なぜ、歯ぐきの炎症である歯周病が糖尿病に関わってくるのでしょうか?
出血や膿の出ている歯周ポケットからは、炎症に関連した化学物質が血管を経由して身体中に放出されています。
中等度以上の歯周ポケットが口の中全体にある場合、そのポケット表面積の合計は手のひらと同じ程度と考えられています。
歯周ポケットの中身はなかなか外からは見えませんが、手のひらサイズの出血や膿が治療なしで放置されていると考えると、
身体全体からも無視できない問題であることが理解できると思います。
ポケットから出て血流に乗った炎症関連の化学物質は身体の中で血糖値を下げるインスリンを効きにくくします(インスリン抵抗性)。そのため、糖尿病が発症・進行しやすくなります。
糖尿病になると細菌に対する抵抗力や組織の修復力の低下、お口の中の乾燥等が生じ、それらが歯周病を悪化させます。
糖尿病だと歯周病に2倍以上かかりやすくなり、血糖のコントロールが悪いと歯周病がより重症化しやすいと言われています。
糖尿病と歯周病は互いに影響しあっており、歯周病が悪化すると血糖のコントロールは悪化し、歯周病を治療すると血糖のコントロールは良くなります。
ここでの歯周病の治療とは、患者さん自身のブラッシングによるプラークコントロールをしっかり行い、歯科医院で炎症の原因となっている歯石を確実に取り除く(スケーリング)ことです。そうすることで歯ぐきの炎症をコントロールできればインスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールも改善するということが、多くの臨床研究で報告されています。
現在、糖尿病患者は生活習慣の変化等により急増しています。
自覚症状が出にくいため糖尿病と診断されても治療を受けない人や治療を中断する人が約50%にもなります。
症状が重くなる前に、まずはタニダ歯科でご自分のお口の健康チェックを受けられてはいかがでしょうか?
2024/07/02
こんにちは。院長の谷田です。
7月に入り、夏の暑さが
本格的になってきました。
昼だけでなく夜も暑さが続くと
寝苦しさを感じることで、
なかなか寝付けずに睡眠不足に陥ることも。
この睡眠不足は
心身の健康にとっての大敵ですが、
実はお口にも悪影響を及ぼすことを
ご存じでしょうか?
今回は睡眠とお口の健康の関係性について
お話ししていきます。
◆睡眠不足で歯が危険にさらされる!?
不十分な睡眠によるリスクのひとつが
むし歯の進行です。
「しっかりと歯みがきをしていれば大丈夫」
と思われるかもしれませんが、
これだけでは
むし歯を防げない恐れがあるのです。
では、どのようにして睡眠不足が
むし歯の進行を招くのでしょうか?
その要因は、だ液の減少です。
だ液はお口の中の汚れを洗浄したり、
歯の修復を促したりすることで、
むし歯の進行を防ぐ役割を果たしています。
しかし、睡眠不足によって
自律神経が乱れると、
だ液の分泌量が減少します。
この結果、だ液によって
歯を守る働きが不十分になり、
むし歯が進行しやすくなります。
◆むし歯だけじゃない!?
睡眠不足によるもうひとつのリスク
睡眠不足によって引き起こされる
もうひとつのリスクが歯周病の悪化です。
歯周病は歯を支える骨が
溶けてしまう病気で、
最悪の場合は
歯が抜けてしまう恐れもあります。
では、睡眠不足と歯周病は
どのように関係しているのでしょうか?
これらを結びつける
キーワードが「糖尿病」です。
糖尿病は血液中の血糖の増加により、
やがてさまざまな合併症を引き起こす病気で、
数ある発症要因のひとつに
睡眠不足が挙げられています。
そして、糖尿病は
先に述べた歯周病と深い関係があり、
相互に症状を悪化させることが
明らかになっているのです。
いずれも自覚症状に乏しいため、
「気づいたら糖尿病も歯周病も悪化していた…」
といった事態にもなりうる、
まさに恐ろしい病気です。
◆良質な睡眠のカギは「歯の本数」にあり
先にご紹介したケースとは逆に、
歯の状態が睡眠時間に影響を及ぼすことも
あると言われています。
ある研究では、
歯の本数が少ないと睡眠時の呼吸を妨げ、
睡眠時間に影響する恐れがある、
との指摘をもとに、
調査が実施されました。
その結果、歯の本数が少ない人は
20本以上歯がある人に比べて、
睡眠不足、または長時間眠りすぎるリスクが
高くなることが明らかになりました。
このように、お口と睡眠は
お互いに深い関係性があり、
ときに健康そのものを左右するといっても
過言ではありません。
◆お口のケアと良好な睡眠で
健やかな毎日を!
健やかな生活を送るためには
良質な睡眠とお口の健康維持、
どちらも欠かすことができません。
毎日の生活習慣を整えつつ、
お口の状態に不安がある方は
早めに歯科を受診することをおすすめします。
日々のセルフケアで
万全の対策を心がけて、
暑い夏も元気に乗り切りましょう!
タニダ歯科医院
〒669-1133 兵庫県西宮市東山台1-10-5
TEL:0797-61-2000
URL:https://www.tanidashika.jp/
Googleマップ:https://g.page/r/CUn1zmeIAnWtEAE
2024/06/27
こんにちは。歯科医師の秋田です。
今年は梅雨入りが遅く晴れる日が多いですが、
今週に入ってついに雨も多くなりジメジメして来ましたね。
蒸し暑くもなって来ましたし、いよいよ梅雨が明けたら
夏本番がやってやって来ますので皆様夏バテ、
特に熱中症にはご注意ください。
今回は口内炎についてお話しします。
口内炎とはひとくくりにまとめると文字通り口の中に出来る
炎症の事を言いますが、その症状は多岐に渡ります。
分類で分けるとアフタ性、潰瘍性、カタル性等ありますが、
これらの種類を同定して治療を進める訳ではありません。
我々は基本的には口内炎を発見した時には
デキサルチン口腔用軟膏®︎(デキサメタゾン)を処方します。
デキサメタゾンはステロイドで強い抗炎症作用を持つため
患部に塗布後1週間もすれば基本的には治癒へと進むので大変重宝します。
しかしながら、この便利なお薬ですが全ての口内炎に使える訳ではありません。
それどころかこの薬を塗布することでかえって
症状が悪化してしまう可能性もあるのです。
その代表的な口内炎2つがヘルペス性口内炎とカンジダ性口内炎です。
2つについて説明しておきます。
ヘルペス性口内炎: 単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって起こる、
ウイルス性口内炎の一種です。 乳幼児に多く見られ、口の粘膜上の水疱、
歯ぐきの炎症、発熱といった症状が現れます。
水疱がやぶれると潰瘍になり、激しく痛みます。
口の中の痛みのために、食事や水分を受け付けず
脱水症状になることもあります。
ヘルペス性口内炎にかかると、その後もヘルペスウイルスは体に残り、
大人になって体調を崩した時に再燃することがあります。
しかし、症状は乳幼児のそれより軽症です。
カンジダ性口内炎: 口腔内でカンジダというカビ(真菌)の一種が
増殖して起こる真菌性口内炎です。
頬の内側や唇の裏側などに偽膜と呼ばれる白い薄皮ができ、
簡単に剥がれます。剥がした後は赤みを帯びていて、
周囲の粘膜も赤くなっていたり腫れていることがあります。
カンジダは皮膚や口腔内の常在菌ですが、
免疫が低下する病気や薬物の服用などで常在菌のバランスが崩れ、
他の常在菌より優位になることにより口内炎の症状を引き起こします。
上記2つについては来院の上口腔内診査を必要としますので、
気になる方は早めの来院をお勧めますし、
先に薬を塗ってしまい悪化された場合は上記の疾患を疑いますので
すぐにお薬を中止し来院される事をお勧めします。
これからの季節暑さによる免疫低下を引き起こす可能性が高いですので
くれぐれもご注意ください。
お薬に頼る前にご自身の免疫力強化や、口内炎発症に関わるビタミン、
ビタミンB2を積極的に摂取していただいて、
なるべく口内炎を引き起こさないようにする事が第一目標となりますね。
ビタミンB2は市販薬で言うところのチョコラBBがお勧めです。