睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群は、良質な睡眠の妨げになるだけでなく、場合によって死に至るとても危険な病気です。
厚生労働省の調査では、睡眠1時間あたりの低呼吸数が20回以上起こる場合、5年後の生存率は84%まで低下する報告があります。また、2003年の2月に発生した居眠り運転による新幹線事故を起こした運転士も睡眠時無呼吸症候群であったといいます。
この事故をきっかけに、欧米にならって日本でも2007年より免許更新時に日中の眠気と睡眠障害の有無について質問されるようになりました。
睡眠時無呼吸諸侯群は自分の命だけではなく、人の命を奪う加害者になるリスクを秘めています。当院では、習慣的にいびきをかいている患者さまに一刻も早い治療の開始をお勧めしています。
こんな症状はありませんか?
自分が睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea syndrome)であるかチェックしてみましょう。以下の症状があれば早めにご相談ください。
- かなり大きないびきをかく
- 寝つきが悪く、夜中にトイレに行く回数が多い
- 息苦しくて夜中に目が覚めることがある
- 朝の目覚めが悪い。熟睡感がなく、睡眠時間を多くとっても頭がすっきりしない
- 日中やたらと眠い
- 朝起きた時に頭痛がする
- 朝起きた時に口の中が乾いている
- 喉風邪を引きやすい
- 車の運転中などに一瞬記憶が飛ぶことがある
- 一日中体がだるい
- 肥満気味である
いびきのメカニズム
睡眠中、口呼吸をしていると、舌が喉に落ち込んで気道が狭くなり、空気が通るときに粘膜が振動していびきが発生します。また食生活の欧米化、グルメ嗜好、飽食などによる肥満も原因になります。
いびきによる弊害
- 眠りが浅くなり充分な休息がとれないく
- 日中に眠気が襲い、記憶力や思考力の低下をもたらす
- 仕事の効率低下や居眠り運転のリスクが高い
- 高血圧、不整脈、心臓病、脳梗塞などの重大な疾患を誘発する
- 最悪の場合、死に至る
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こる。または睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上起こる病気です。睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)が断続すると、血中酸素の不足や強い睡眠不足によりストレス状態に陥ります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症候
- 日中の眠気や集中力の低下
- 起床時の頭痛、頭重感
- 居眠り運転
- 不眠、夜中に目が覚める
- 夜間頻尿
- 心疾患、脳卒中、高血圧症、糖尿病、腎炎、肥満の発症の原因になる場合がある
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因
- 肥満~肥満気味で顎の周りや首に脂肪がついている
- アデノイドなどの病気で、扁桃が肥大している
- 花粉症やアレルギーで、よく鼻がつまっている
- 顎が小さい
- 歯並びが悪く口が閉まりにくいため、口を開けて寝ている
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療の流れと治療法
いびきや睡眠時無呼吸症候群は歯科医院でも治療できます。
当院では、いびきがひどい、睡眠時無呼吸症候群の症状がある患者さまに呼吸器内科や耳鼻咽喉科で診察を受けて頂くことをお勧めし、かかり付けの医院をお持ちでない方についてはご紹介もしております。
しかし、中等度までの睡眠時無呼吸症候群であれば、当院でもスリープスプリント(マウスピース)を装着によるいびきの治療が可能です。睡眠時無呼吸症候群には鼻腔持続陽圧呼吸治療(CPAP=シーパップ)という装置を使った方法が効果的だといわれていますが、煩わしいマスクの装着を伴うため継続して治療を行えない患者さまが数多くいらっしゃいます。
また、高価な装置の購入やレンタルと、定期的な診察を必要するこの治療方法は患者さまにとって経済的・時間的に負担になります。
治療にはスリープスプリントがお勧め
スリープスプリント(マウスピース)による治療は就寝時に装着するだけで喉を広げる簡単で手軽な睡眠時無呼吸症候群の治療法です。
当院では患者さまのお口に合わせて作成しています。上下がやや動くように設計されているため楽に装着できます。
スリープスプリント治療のメリット
- 就寝時に装着するだけで手軽
- コンパクトで持ち運びに便利
- 旅先や出張先でも治療できる
- 維持費が必要ない
- 呼吸器内科や耳鼻科での診断書があれば保険適用内で治療できる
スリープスプリント治療は誰でも簡単に行える手軽さが魅力の治療ですが、ご状況によっては適用できないが場合があります。スリープスプリント治療をご希望される患者さまは、下記をご確認の上、当院までご相談ください。
スリープスプリント治療を受けられない患者さま
- 重度の睡眠時無呼吸症候群
- 鼻に疾患がある
- 残存歯数が少ない、もしくは無い
- 顎関節症
- 重度の歯周病